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第七話:相手意識を育てる

今日は久しぶりに息子と近くの自然公園にクワガタをとりに行った。
収穫はコクワとノコギリを5匹。ちょっと不満だなぁ。次回は行く時刻をもうちょっと考えないと。
しかし、昨年あたりから、息子と私どっちがおつきあいでクワガタとりをしているのかわからなくなってきている。本当に行きたいのはお父さんかも!

さて、学研NEWの私の連載「ちょっと言わせてもらおう」は前も書いたように「hitorin.com発」だ。そこではじめて今回は連載される前にこちらに次号掲載予定のものをアップする。やっとこれで「hitorin.com発」が実現できた。

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先日、鳥取のある小学校の校内研究会に行った。
そこで授業が行われるクラスで給食もいただいた。
そのときに、横に座った男の子に「河原に温泉があるんだねぇ」という話をしていた。鳥取の方はすぐにおわかりだと思うが、三朝温泉のことである。あそこに一度行ってみたいと前々から思っていた。
「うん、あるよ。時間があったら行ってみれば?」とすすめるその子。
「行ってみたいんだけど、ここからちょっと歩くみたいだね」と私。
給食が食べ終わった頃、その子から1枚の紙切れをもらった。
見てみると、学校からその川にある温泉までの行き方が書いてある。つまり地図を書いてくれたのだ。よくよく見ていると、ランドマークである橋の他に、2つ載っている。
1つはお土産屋さん。私が温泉に入った後に寄ることのできる一番近くのお土産屋さんに印がついていたのだ。そしてもう1つは、貸しタオルの店。私がもし入ることになったときに困らないように、との配慮だ。
たしかに、地図は手書きでお世辞にもていねいとは言えない。しかし、はじめて河原の温泉に入るかもしれないし、帰りにお土産も買うかもしれないという私の状況を想定して、地図に盛り込んでくれたのだ。これぞ「相手を意識する」ことではないだろうか?「この」相手にとって、何が必要な情報なのか、彼なりに考えた結果があの地図なのだ。

プレゼンをするときにもやはり相手意識を加味して、と、教師は願う。
要点をわかりやすく伝えるという国語での取り組みももちろん大事だ。わかりやすい手段も見通しをもってスキルを鍛えていく。しかし、それだけでは相手意識は育たない。ましてや、「相手は〜〜ですよ。相手の立場も考えてね!」と言って、相手意識がつくのならことはカンタンだがそうはいかない。
さきほどの子が感じたような相手を想定するはめになるような文脈を学習活動の中でどうしかけていくかが重要だ。
相手によって表現をかえないければならない活動を入れることも良いだろう。さらに、リアクションの場を設定することも1つの手だ。特に小学校4年生以下の子どもたちにとっては、相手のリアクションがもらえてはじめて理解できることも多い。

いずれにしても、いろいろな場で横断的に意識をして入れていかないと、それこそ、相手意識は育たない。

コメント (12)

この手書きの地図から,価値や意味を拾い出した中川先生の眼力と解釈に敬服です。自分だったら,ありがとって言って,そのままポケットだったと思います。テストの点数だけではかれない子どもの「今」を見ることができる教師でありたいと思いました。

相手意識…。7月の課題で自分の解答に抜け落ちている部分です。クラスでのスピーチの際にどのように相手意識を入れ込むか、合否に関わらずちょっと考えてみます。

ありた:

相手意識を育てることが、自分の学級の課題です。ですから、とても興味深く読みました。

ありた@鳥取:

すみません、書きかけで送ってしまったので続きです。
授業での相手意識も必要ですが、クラスの仲間に対する相手意識というのもとても大事だと思います。まずそれがないと学級としても授業も成立しないというのが痛いほどわかりました。人に対して拒絶反応を示す子どもたちを仲間に引き込むのは「仲間といると楽しい」という経験なんでしょうね。そういう経験が少ないから勝ち負けにこだわってしまったり、相手の弱いところを徹底的に攻撃したりってなってしまうのだろうと思いました。

中川妹@広島:

連載を先取りして読めるなんて、ありがたいことです。(NEWを開く楽しみは減りますが)
さて、いつも本題から外れたところに反応してしまいますが、クワガタが近くでとれるなんて羨ましいです。どのようなところにお住まいなのかな・・・と勝手に想像しています。

海道@御園小:

相手のリアクションに出会えるチャンス。クラス全体に対する活動伝える活動と1対1での活動を比べると、1対1の方が目の前の相手の個性的なリアクションに出会えるし、自分の反応も小回りがきかせやすいように思う。いろいろな形での活動を工夫してみたくなった。ところで、温泉はどうなったのかな?

鈴木@山形:

今担任している子ども達につけていかなければならない力だということを感じながら読ませて頂きました。相手意識をつけるためにも、相手意識を育てるための教師の仕掛けや学級での取り組みを知りたいと思いました。

平井@岡山西小:

 相手意識,いかに具体的にもつことができるか(もたせるためのしかけをこちらが準備できるか),ここらあたりを夏休みにじっくりと考えなければと思い,読ませていただきました。
 私にとってすごくタイムリーでした。ありがとうございました。

yo-yo@徳島:

クワガタの話に反応。私も毎日、クワガタを探しています。学校の木々、プランターの下などを探すだけです。1週間で3匹ぐらいの割です。今日はカブトのメスでした。ミヤマ、ノコ、アカアシ、スジクワ、コクワなどがとれます。何時ごろ、どんな場所のどんな木にいるか?などなどの学習によって、とれる数が大きく変わってきますから、たかが昆虫採集、されど昆虫採集です。

先日、昆虫闇市(?)で10mmのパラワンオオヒラタを購入しました。○万円の極上でした。いやぁ、個人的な趣味です。

たなぽん:

 本当に、一枚の紙切れから、彼の思いを指摘されたこと、驚きました。まだまだ修行が足りません。
 相手意識を高めようなどと力が入ると、教師の側で、「相手は○○だから考えようね」などと、つい言ってしまいそうです。自分で相手の状況を想像するような力を付けることが大事ですね。段階があるのでしょうか。自身の課題です。
 今度こそ、河原風呂に入りにいきましょうね。

横レスで、申し訳ありません
思いやり ・・・ この子の両親、祖父母は
相手を思いやる心を家庭でしっかり伝えたんだろう
温かい家庭を想像してしまいました

大阪 よねだ:

今日 演劇界の達人とお会いした。表現の大切さを学んだ。相手を
見て表現すること いつの時代も大切だと思う。

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2004年07月18日 02:54に投稿されたエントリーのページです。

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