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第二十話:教育フォーラムは教師の学びを拓いたか?

先週の金曜は、エプソン販売の原田取締役が退任の挨拶にわざわざ金沢まで足を運んでくださる。考えてみたら駆け出しの研究者の時に共同研究で声をかけてくださったのが原田さんだった。今の研究フィールドは原田さんと出会ったことで広がった。東茶屋街で一献。今後の原田さんも応援したい。



土曜日は、金沢大学教育学部フォーラム。統括だったので、会の構成、人選、交渉を行う。加藤君もワークショップの調整をがんばっていた。今回は学部のフォーラムとしてははじめて少人数のワークショップ形式を取り入れたので、地元小松市ではさすがに告知をしてもらったが、あとは口コミ。しかしそれでも約130名になった。テーマは「デジタルコンテンツが拓く子どもの学び」。二部構成で、まずは中川参事官の講演。情報教育の現状にとどまらず、デジタルコンテンツの各論にも触れてくださり、後のワークショップに関むすびついた。第二部のワークショップでは、「総合(D-pro)」「国語(光村)」「社会(NHK)」「理科(JST)」の4つの分科会にわかれ、小グループになり深める。発表者、司会者、指定討論者がすばらしく、どの分科会もクォリティの高い議論が行われた。人選にまちがいはなかった。

それにしても、参事官も矢原小松市教育長も最後まで分科会に積極的に加わってくださった。その姿勢に頭が下がる。

今回はたしかに参加者の意識も高く、しかも上記のキャストがピカイチだったので、ワークショップも充実したものになった。しかし、もし初心者が多かったとしても、表面的な気軽さだけでは明日からの授業への意識の変容にはつながらないと思う。デジタルコンテンツにかかわらず、ITの活用が自分の授業にどのようにむすびつき、どんな効果が得られるかについて、「ちょっとした違和感」を持たせられなかったら何も変わらない。カンタンに使えそうなものはその簡単さゆえに、IT初心者教師は、結局わざわざ使わなくても(黒板で紙で教科書で)まにあっているという状況から抜け出ようとはしない。

そうなると、今回のフォーラムのような「ゆさぶり」をかけつつ、気楽さについてはハード・ソフトの選択や学習環境の工夫(手間をはぶけるような)をうまくからめるような校内運営の全体のデザインをする必要があるのだ。




コメント (7)

さくあゆ@NED:

「だます」というキーワードが頭の中をこだましています。
まずはデジタル教材利用への道に引きずり込むこと。それが第一歩なんですね。そして簡単すぎず、ましてや難しすぎずの「ちょっとした違和感」を感じさせることが大事なんて、目からウロコが落ちました。
番組制作者の立場からいうと、こんな番組でいいのかと迷っている、なんて口が裂けても言ってはいけないと思っていましたから。(もちろんタテマエは別ですが)
それにしても、中川先生を中心とする金沢の先生方はパワフルですね~。やる気と元気をいただきました。ありがとうございます。

:

 ぼくも参加しました。国語の研究指定があたっているので、光村デジタル教科書の分科会に参加しましたが、ぜひ、自分で使いたいコンテンツでした。会の後、光村の黒川さんと直接お話しする機会があり、つながりをつくれたことが収穫でした。学校へ戻ってから、早速管理職を「だます」ためにプレゼンをして、デジタル教科書を備品購入してしてもらえるように働きかけましたが、はたしてどうなることか。でも、今回のフォーラムがひとつのきっかけになったことは間違いありません。

いのうえ@埼玉:

心身共に爽やかな疲労感の残る会でした。みなさんの真剣な眼差しが心に残りました。見事に仕掛けに乗せられてしまいました。懇親会も翌昼の丼も堪能しました。また金沢に行きたいなあ。

にしだ@金沢:

 土曜日は、職場の研究主任・学年ペア・ITサポーターの3人を「だまし」て一緒に参加させていただきました。光村さんのデジタル教科書が好評で嬉しかったです。次のターゲットは、事務の方と管理職です。
 思い起こせば、私も中川先生に「だまされ」たんだなぁ。実践センターの廊下で「「どっちにする?」と選択を迫られた瞬間がそうでした。でも今では、校内研ではなかなか味わえないスリリングな学習の場を与えてくださっている中川先生に感謝しています。20日のまとめにもありましたが、日々教材研究に努め、キモの分かる教師になりたいです。

くろかわ@光村図書:

教育フォーラムは昨年の羽咋に続き、2度目の参加になります。今年は、ぐぐっと中川先生らしくスリリングでスピード感のあるホットな会になりましたね。おかげ様で、国語デジタル教科書も高い評価をいただき、ほんとにうれしく思っています。多くの先生方から貴重なご意見をいただき、感謝感謝です。
 ポスト2005年のICT教育、あるいはデジタルコンテンツ活用の普及は、デジタル教科書がキーになると自負しております。でも、実際にお使いいただけないと「絵に描いたソフト」になってしまいます。みなさま、「だまされた」と思って、ぜひ一度ご活用くださいね。授業がより活性化すること、請け合いです!学校予算がない場合には、そこであきらめずに、教育委員会のご担当者に言って予算を申請していただくように働きかけることが肝要です。これを機会に、より豊かな学習環境をデザインしていこうではありませんか。ご一緒にがんばりましょう!そして、また、金沢の夜を盛り上げましょ~!

mipo:

IT活用が、授業研究の中で討論された素敵な会でした。グループセッションに関しても、学ぶことが多くありました。すじの通った会をお誘いくださってありがとうございました。

まさまさ@大根布小:

教育フォーラムは3回目の参加になりますが、回を重ねるたびにどんどん進化し、内容が濃くなっていくようです。国語分科会で司会を担当し、みなさんにはご迷惑をかけたのですが、とても充実した面白い内容でした。黒川さんの「デジタル教科書は教科書を忠実に再現したものであり、教科書の上を行くものではないし、教科書の下を行くものではない」と言う言葉や石田先生の実践内容から見える今年度の教科書と17年度版のねらいの違い、「資料」扱いとはいってもどう読ませたら良いのかといった疑問・・・等など、深い教材解釈とこれからの課題がきちんと見えた思いです。デジタル教科書を利用し効率よく学習しながらも、また教科書(本)、文章、そして言葉に返る、そういう授業デザインを模索していきたいと思いました。参加されたみなさん、指定討論者のみなさん、ありがとうございました!今後ともよろしくお願いいたします。

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2004年11月24日 01:04に投稿されたエントリーのページです。

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