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第七十六話:Fairway Primary School訪問

先週の火曜日から現地時間の土曜日まで、英国ブライトンにICT活用校の視察に行く。しかし、ブライトンのホテルでは(古くて?)アクセスできず。日本に戻ってからアップすることに。1校目はブライトン市内にあるFairway Primary Schoolを訪問した。



授業では

授業はちょうど3,4年の複式学級の算数のSUDOKUの授業をみた。どうも全校の人数と予算の関係でどこかの学年が少ないとこういう措置をとるらしい。予算の目安は350人で、それ以下だと、今回のような複式などの工夫を学校個々で検討するようだ。複式は上についていく意欲を高める上で良いというのが対応してくれた教頭先生の見解だ。ただ、明らかに今日見た授業では低位の2グループには授業内容がつらそうだったが。学級の人数は17人。4つのグループにわかれており、クラス内で習熟度別になっている。授業はいっしょに進めるが、TAがついていたり、問題がちがったりしている。



黒板とIWBの活用

ICT環境であるが、黒板の上にホワイトボードとIWB(e-黒板)が設置されている(写真参照)。この数年でどんどん従来の黒板からIWBの各教室への導入が進んでいるらしい。PJはあたりまえのように天つりだ。英国では、IWBが教室に入ると、これだけで授業をするパターンが多いらしいが、たまたま見た授業では、担任のMrs.S.Chambers先生は、ホワイトボードに、考え方を示すカードを順番に貼っていき、IWBでは、算数の問題を提示して、そこに子どもたちの発言(回答)を書き込んでいた。どちらかというと、日本的(?)な活用方法だが、これはめずらしいのかな?それにしても、教師の説明(発言)時間がどの授業も長い。この形式だと逆にIWBだけで黒板は必要ないかもしれないと感じた。



メディアに関する教育と国語

メディアに関する教育は国語(English)とLiteracyという科目の中にいくつか盛り込まれており、これをきっちり系統立てて行うのはいわゆる中学のころ(ステージ4)のMedia
Studyという科目で、だ。(日本でこのきっちり系統立てては、本来高等学校の教科情報でやるべきだと思うのだが、教科書の内容、教員の意識、ICT環境の貧弱さなどが原因で、そうはなっていない)

アレンジしてくれたキースさん@ブライトン大学(奥さんはこの学校の音楽の先生らしい)によると、国語の中でデジタルカメラで学校の紹介や絵や写真と組み合わせたデジタル日記を作成しているが、メディアの特性と言語活動の関連づけを考えた授業を行っている教員は残念ながら少ないという。キースさんや同僚のアブリルさんは、もっとたくさんのメディアとふれる機会を小学校学年(ステージ1や2)のうちから作りたいと願っているようだ。



ICT活用指導力とICT環境

5年くらい前からイギリスの学校ではPC導入がさかんに行われている。3年くらい前にNew Opportunity
Skillという全国一斉(財源は宝くじ基金)のICT活用に関する教員研修と認定制度が導入されたが、現在はなくなったようだ。結局、実施内容や徹底度に地域の差が出てきて、有名無実になった。スキルアップそのものを行うのは今も日本でもあるが、これはなかなか定着しないと思う。なぜなら自分の授業カイゼンに直結しないものを教員が本気で受け入れる切実感がないからだ。

日本もイギリスもスキル的な面は外部のテクニカルサポーターを充実させるべきだと思う。ここについても聞いてみた。イギリスは政府が昨年度は各校に9000ポンド、本年度は4000ポンドを配っている。しかし、これらは使用用途が決まっており、昨年度はハードに、今年度はソフトの購入に限られている。つまり、ここからテクニカルサポーターを雇うわけにはいかない。来年度は人につくかどうかはわからないようだが、野中さんによると、学校によっては、校長の力で人や予算をもってきて、テクニカルサポーターを何人もかかえている学校もあるようだ。

予算がたりない学校は活用授業が充実できずに悪循環になっている感じがした。



国語とメディアの関係、ICT指導力教員の問題など、もちろん背景等ちがうことも多いが、抱えている問題は共通点がだいぶあるように感じた。



今回、7人という大所帯での訪問となったが、現地にいる野中さん@和歌山大学には、学校のアレンジからアブリルさんご夫妻とのディナーまで、本当にお世話になった。ありがとう。




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2006年06月19日 23:56に投稿されたエントリーのページです。

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