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ひとりごと アーカイブ

2004年06月23日

第一話:とうとう開始!(しなくちゃいけないよね〜?)

hitorin.comがM2のちのちゃんをリーダーとして、新装開店して1ヶ月。

中川研究室の学生や内留の先生による「研究室日記」も盛況を見せている。

そうなると、

「研究室日記はスタートしたのに、どうして先生のこのページはスタートしないんですか?」

「毎日更新されないこのページを見てはじまるのを楽しみにしています」等々、言われ続けて1ヶ月。

そろそろ腰をあげないとなぁと思い、よくよく考えてみると、

学研NEWの連載「ちょっと言わせてもらおう」は『hitorin.com発』とうたっているではないか!にもかかわらず、このhitorin.comからはこれまで何も発していない。逆に、バックナンバーを学研NEW編集部の好意でここに掲載させてもらっている始末だ。

ということで、ようやく重い腰を上げた。

しかし、このページはけっしてデイリー(日記)にはしない。それは続かないし、私の芸風に反する。書きたいときに気ままに書くのが中川流だ。

あくまでも、上記「言わせて」を本当にhitorinn.com発にするその素を綴るページにしたい。

ずっと書かない日が続くこともおおいにありうる。

それにしても、続かなくなったら叱咤激励をよろしく。

2004年06月24日

第二話:海外出張に出るということ

現在、ED-MEDIA2004という国際学会の発表でスイスに来ている。
今回は、東北学院大の稲垣とうちのM2の小林との共同発表だ。
内容は携帯電話の活用に関する子どもたちの受容意識の分析だ。
スイスと言っても、ミラノから電車で1時間のルガーノというリゾート地だ。
メニューもテレビもみんなイタリア語。食事に必要な品目のスペルだけようやくわかる程度だ。
そういえば、さっきテレビをみていたら、サントリーの「燃焼系」のCMをイタリア語でやっていた。なんとも変な感じ。
ホテルのまわりは総菜屋さんや果物屋さん、ホテルや高級ブティックが混在していて、何度歩いても飽きない。
さて、今回の目的はもちろん学会発表と参加だ。自分の研究テーマに関係ある内容も探したいと思っている。
しかし、海外出張には他の目的もあり、そちらの方が大きい。
それは、「誰にも邪魔されずにじっくりと仕事ができる時間を確保する」ということだ。日本にいると、どうしてもこれはかなわない。「1週間、私は山にこもります」というわけにもいかないからね。そんな中、海外出張は学会参加の時間をさしひいても、たまった原稿をたくさん書け(今回は書きかけを8本持ってくるはめに)、数多く抱えているプロジェクトや協同研究の構想の練り直しや進み具合の確認をじっくり行える。ちなみに、 D-proの現在の形(フェーズ2)を構想したのもニュージーランドの学会の時だ。さすがにメールは毎日300通くらい来るので、どこにいても読んで出していかないととんでもないことになるので仕方がないが。
ということで、年に2回は海外出張が必要だ。

いや、学会発表だってば。

2004年06月27日

第三話:中川流校内研究授業整理会の試み

学会発表は無事終了。反響があってまずは成功。携帯を活用するというネタが興味をひいている。さすがに携帯を学校で活用するという試みは、興味をもってくれた参加者の国(中国、台湾、カナダ、ケニア、オーストラリア、スイス、フランスなど)ではまだないようだ。もっとも日本でも教育現場でのモバイル環境の検討はこれからだろう。特徴を活かし学習活動にどうむすびつくのか、ふみこんで考えないと意味がない。今回の学会では、見つけた!と思ったら日本の例(長崎大学)だった。我がプロジェクトでは、授業事例の分類や子どもたちの意識の変容、教師の活用場面での配慮点など、起こったことを分析・調査している。それに対して、前出の長崎大学グループは携帯上で子どもたちが使える動植物のコンテンツを作成・提供している。研究対象が微妙にちがうので、今後どこかでリンクしてもおもしろいかもしれない。

さらに、一度フィンランドにも行く必要があるかも。

スイス最終日は、ルガーノから電車で1時間足をのばして、山内さん@東大、宇治橋さん@NHKたちとミラノ(写真)へ。歴史の重みを感じる街だが、さすが観光客が多い。ルガーノでは、我々以外あまり日本人はみかけないのに。



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辻さん(大野町小)のHPにも中川研究室日記にも載っているが、6月18日に金沢市立大野町小学校の校内研究会があった(これから書く内容はこれらもあわせて読んでいくと、よりよくわかる)。授業者は講師の室谷さん。学校規模の小さい大野町小では、講師といえども授業公開の順番がまわってくる。でもそこがまたイイと思う。

誠実な授業ぶりにも好感がもてた。

教師集団の雰囲気も良好で、授業後も暖かくも厳しい指摘が飛び交う。

そんな中、定期的にこれから入ることもあり、今回から新しい試みを取り入れた。

授業を見る前に入り口で2色の付箋紙を校内の教師に配る。青は「なるほど!」、赤は「これは、、?」という内容を気づいたままに書いていく。必ず全員何か書く。1回の付箋紙には1つの内容のみを記入していくのが唯一のルールだ。これを終了後、模造紙に貼り、研究リーダーを中心にカテゴリー分けしていく。

さて、このやり方にどのような意味があるのだろうか?

私は以下の4つをあげたい。

1)整理会を印象批判に終わらせない。

さきほどの付箋紙で貼られたもの「のみ」をもとに、議論していく。ここが大事。あとから主観的な感想は受け付けない。その時みんなで書いたもので勝負する。それがたりなければ、見方がたりないのだ。

2)今日の授業で何が起こったか、たくさんの眼で授業を立体的に見ることができる。全員が書いているので、全員が発言するハメになる。全員が書くことにより、むしろ見た側の参観者の勝負になるのだ。付箋紙もなんとなく書いていても、青に書いた理由、赤に書いた理由をふりかえって述べなければならない。

3)カテゴリー分けを行うことにより、授業者は自分が行った授業の観点を振り返ることになる。また、原則として交通整理をするファシリテーターは研究主任(研究リーダー)にやってもらう。普通の授業後の整理会とちがって、観点を整理し、何が課題になっているのか、瞬時に判断し進めていかなければならない。研究主任(研究リーダー)にとっては、そういう鍛えになる。(大野町小では、今後も辻さんにこの役をずっとやってもらう)

4)この方法をとると、助言者による一方的な大岡裁きにならない。よく最後に指導主事や大学教官が出てきて、良かった悪かったを言われて一喜一憂している姿を見る。でも、最終的には校内の教師集団がどのように授業を見る眼をつけていくかが問われなければいけない。そのような意味で、この方法は良いと思っている。あくまでも主役は授業者を含めた校内メンバーのはずだ。



タイトルに中川流と書いたが、もちろんこのような方法でやっている学校もあるだろう。あえて中川流というならば、議論の最中に私がファシリテーターやメンバーに、木を見て森が見えなくならないように、つっこみをいれることかもしれない。

有田さん(鳥取)から中川研究室日記の方に「この方法の適性人数は?」と質問がきているが、これはやりかたにもよるだろうが20人が限度か。もちろん、観点別の分科会形式にしたり、観点整理までをやってあとは全体討議形式にしたりするとその人数は20人の限りではない。

いずれにしても、校内の授業検討ではいろいろな方法を試してほしい。

2004年06月30日

第四話:情報モラルについての対談

スイスから帰ってきてなかなか休ませてくれない。月曜日にさっそく東京でいくつか仕事。
中でも、8月に行われる松下教育研究財団の助成に関する成果報告会のコーディネート打ち合わせがあったが、今年新たな試みを入れるのでとても楽しみだ。昨年助成を受けた人たちと今年受けた人たちが入り乱れての1日になりそうだ。

その後、日本教育新聞社本社で、連載している「情報活用推進室Vol.7」の対談収録。
ゲストは、コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕氏。久保田氏は大変バイタリティがあり魅力的な方だ。
さて、今回のテーマは情報モラル。
久保田氏の持論として、情報モラルを1つの森に例えている。この森には、「知的財産権(著作権を含む)」「個人情報やプライバシー」「コンピュータセキュリティ」「情報リテラシー」「マナーやルール」という木がある。これらは1本1本の木であるけれど、根が複雑に絡み合うことによって森全体が守られている。つまり、著作権だけを取り上げて子どもたちに伝えるのでは不十分だと説く。

まったくその通りだと思う。教師の側で、根がからみあっていることを理解できないと、授業で扱ってもトンチンカンな扱いになるし、第一ここが学びの場面!という個所を見逃してしまうだろう。

この対談で私が主張したことは大きく2つ。

上記に関係して言うと、何もわざわざ「さぁ今日は情報モラルの時間です」とカリキュラムに組まなくても情報モラルを子どもたちに考えさせる場面は普段の学習活動、生活場面にたくさんころがっている。つまり、「普段の情報モラル感覚が教師に大事」だということだ。

もう1つは、何か問題が起こったときに、それを規制するだけではなく学びの素材として取り上げてほしいということ。くさいものにフタをすることで問題解決という風潮はもうやめてほしい。特に子どもたちが現在あるいは今後触れることの多いもの・ことは学校教育の中で授業の中でおおいに取り上げていくべきだ。



くわしい内容については、後日、日本教育新聞紙上にて。

2004年07月04日

第五話:成長し続けるD-project

夏が来た。
毎年、夏がくると楽しみにしている食べ物が2つある。
1つは「鱧」だ。特に鱧の落とし(造り)に梅肉をつけて食べるのはやめられない。今年はまだ食べていない。京都の仕事の時かなぁ。。
そして、もう1つが「冷製トマトのパスタ」。もう大好物だ。週に3回でもイイ。先日は、M2のちのちゃんと4年の田口が昼飯に作ってくれた。これがまたとびきりうまかった。「リストランテ:実践センター」でもやるか!
さて、上記2つの食べ物について、読者のみなさんにおいしい店を教えてもらいたい。どうせ夏は全国とびまわっているので、どこの地域でもかまわない。
情報を求む。

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D-project2004がはじまった。
おもえば、アドビの北川さんと「デジタル」「デザイン」の2つのDをキーワードに、ITにふりまわされることなく、子どもの学びをみつめて授業をデザインしていけるような場を作りたいと語り合い、意気投合したのが3年前。1年勝負でやってきたのがとうとう3年目に突入した。
以前、このD-proをNPO化したらどうかということも検討した時期があった。しかし、今はまったくその気はない。NPO化することでのメリットが感じられないからだ。どんなに参加する学校が多くなっても、フットワーク軽く動きやすいコミュニティでありたい。第一、NPO化したらすぐにやめられない。守りに入りたくはないのだ。もちろんNPOそのものを否定しているわけではない。D-proというコミュニティがNPOにそぐわないと言っているのだ。今年もメンバーのニーズと状況をみながら来年度を判断していきたい。今を大事にしていくだけだ。



さて、D-project2004は、4つの柱を軸に活動している。



D-projectの柱:その1「プロジェクト」

今年度、まずは10のプロジェクトでスタートしている。今年は特にリーダーにゆだねている部分が大きい。リーダーの名前を見ればそれも納得していただけると思うが。

・マニュアル作成プロジェクト(リーダー:熊本大学附属小学校前田教諭)

・連画:絵のリレー2004(リーダー:横浜市立大口台小学校佐藤教諭)

・デジタル表現コンテスト(リーダー:和歌山県熊野町立熊野小学校山中教諭)

・ユネスコリーフレット制作(リーダー:三重県暁学園暁小学校水谷教諭)

・子どもの広場(リーダー:枕崎市立枕崎小学校益永教諭)

・高校生のためのデジタル表現活動(リーダー:慶応義塾中・高等部田邊教諭)

・気軽に!デジタル実践(リーダー:京都市立新林小学校山本教諭)

・ユニバーサルデザイン(リーダー:砺波市立砺波東部小学校白江教諭)

・Global School Project(リーダー:金沢市立大徳小学校清水教諭)

・調査研究プロジェクト(リーダー:綾瀬市立土棚小学校河崎教諭)

各プロジェクトにはそれぞれ協賛の企業や団体がついている。つまり、それぞれが協賛交渉をし、共同研究の視点を明らかにしながらの産学あるいは官学共同プロジェクトなのだ。



D-projectの柱:その2「ワークショップ」

D-projectでは、「単なる技術取得研修に終わらない」「授業を想定した受講者参加型」のワークショップが好評を得てきた。そこで、D-project2004では他の団体や教育委員会等へメンバーやノウハウを提供しながら共同でワークショップを行っている。「パンフレット制作」と「連画:絵のリレー」については、昨年に引き続き、研修やイベントで実施する。そして、今年は大門高等学校の江守さんをリーダーに「動画制作〜CM研究〜」のワークショップパッケージ作りに着手している。

これまでに約50の地域や団体からのオファーがあり、D-pro式研修のあり方を広げている。また、D-projectから講師が派遣しなくても地域で研修ができるように、D-projectのサイトからワークショップ研修用パッケージの申し込みができるようになっているのだ。



D-projectの柱:その3「ネット上の情報提供、情報共有」

D-projectでは、Webサイトやメールマガジンで情報を提供するとともに、メーリングリストで情報共有を行っている。現在、約350人が参加。さらに、プロジェクトごとのメーリングリストがあり、それぞれが実践コミュニティを形成している。



D-projectの柱:その4「公開研究会」

D-projectでは、年に2回公開研究会を行っている。

今年度も7月24日(土)に和歌山で開催することが決定している。

ちょうど現在、申し込み受け付け中だ。60名限定なので、ぜひ早めに申し込んでほしい。



今年もD-projectが熱い!

2004年07月11日

第六話:校内研究に入るということ

このごろ「次のひとりごとはいつ出るんだ?」というメールをよくいただく。

ありがたい話だ。同時に、連載の原稿を1つ増やしてしまったんだなぁと、後悔。



帰国してからの怒濤のごとくの授業研究、授業公開参観10連戦(神奈川県大和市立上和田小学校、石川県野々市町立御園小学校、石川県鶴来町立朝日小学校、千葉県船橋市立行田東小学校、岡山県岡山市立西小学校、金沢大学教育学部附属小学校、石川県内灘町立大根布小学校:2回、石川県金沢市立大野町小学校、富山県氷見市立窪小学校)が終わった。まだ3学期制の学校も多く(逆に言うと、2学期制の地域が増えてきた)、この時期の講師をまねいての授業公開は本当に大変だ。授業を公開してくれた先生方や校内の関係者の方々に敬意を表したい。



毎年、校内研究会への指導・助言のオファーはうなぎのぼりに増えている。日程的なバッティングで申し訳ないけどお断りする学校も後をたたない。それだけ情報教育的な視点(かならずしもIT活用のなんたらかんたら、だけではない)で研究している学校が多いということが一番の理由だと思う。教科と総合の関連を研究している学校も少なくない。

私には大学の授業を含めた学内の仕事もあるし、企業等との共同研究もしている。D-proや中川塾など抱えているプロジェクトもたくさんある。文部科学省や経済産業省の仕事もあれば、教科書や指導書の作成にもかかわっている。研究の構想やそれにからむ執筆もある。それらの時間を確保しつつも、数年前からできるだけ校内研究の依頼は断らないで受けるようにしている。

そうは言ってもはじめて依頼がきたときに条件をつけている。それは「単発で、つまり一度だけよばれるのであればお断りする」ということだ。ときどき、たまたま市や町から講師招聘1回分の予算がついたから誰が「よばなくてはならない」という理由で依頼が来ることがある。これは必ずお断りする。

つまり、お引き受けする条件は、「少なくとも年度内に何回か授業ををともなった校内研究に参加し、継続的にかかわれること」だ。

だいたいちょっと学校にうかがっただけでその学校の何がわかるというのだ。これはクラスの子どもたちと担任の教師の関係と似ている。子どもたちの実態を把握しながら具体的な手だてを考えていくのではないか。学校研究に外部の人間が入る場合も同じだと思う。できたら指導案検討をブロックや学年単位で行うときにもかかわれるのが理想だ。そうすると一人ひとりの教師の顔がわかるだけでなく、思いやこだわりもみえてくる。それがあると、授業デザインについて共同でじっくりと研究できる。残念ながらここまで入り込んでいる学校は4校にとどまっている。



研究者にはいくつかのタイプがあるように思う。専門の分野によってもちがうだろう。ただ、私は少なくとも「現場に入ってナンボの研究者」だと思っている。生粋の研究者にはかなわない部分が山ほどある。一方で、現場から離れないそれ自体が強みだと思っている。だからできるだけ授業を見て、校内研究会に参加し、「引き出し」を増やすように心がけている。もちろん授業者はじめ校内の先生方に返せるものは返していく。



今日現在で定期的に入っている学校は19校。

学校ごとにつけている「中川流極秘カルテ」も、かなりの分量になってきた。

2004年07月18日

第七話:相手意識を育てる

今日は久しぶりに息子と近くの自然公園にクワガタをとりに行った。
収穫はコクワとノコギリを5匹。ちょっと不満だなぁ。次回は行く時刻をもうちょっと考えないと。
しかし、昨年あたりから、息子と私どっちがおつきあいでクワガタとりをしているのかわからなくなってきている。本当に行きたいのはお父さんかも!

さて、学研NEWの私の連載「ちょっと言わせてもらおう」は前も書いたように「hitorin.com発」だ。そこではじめて今回は連載される前にこちらに次号掲載予定のものをアップする。やっとこれで「hitorin.com発」が実現できた。

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先日、鳥取のある小学校の校内研究会に行った。
そこで授業が行われるクラスで給食もいただいた。
そのときに、横に座った男の子に「河原に温泉があるんだねぇ」という話をしていた。鳥取の方はすぐにおわかりだと思うが、三朝温泉のことである。あそこに一度行ってみたいと前々から思っていた。
「うん、あるよ。時間があったら行ってみれば?」とすすめるその子。
「行ってみたいんだけど、ここからちょっと歩くみたいだね」と私。
給食が食べ終わった頃、その子から1枚の紙切れをもらった。
見てみると、学校からその川にある温泉までの行き方が書いてある。つまり地図を書いてくれたのだ。よくよく見ていると、ランドマークである橋の他に、2つ載っている。
1つはお土産屋さん。私が温泉に入った後に寄ることのできる一番近くのお土産屋さんに印がついていたのだ。そしてもう1つは、貸しタオルの店。私がもし入ることになったときに困らないように、との配慮だ。
たしかに、地図は手書きでお世辞にもていねいとは言えない。しかし、はじめて河原の温泉に入るかもしれないし、帰りにお土産も買うかもしれないという私の状況を想定して、地図に盛り込んでくれたのだ。これぞ「相手を意識する」ことではないだろうか?「この」相手にとって、何が必要な情報なのか、彼なりに考えた結果があの地図なのだ。

プレゼンをするときにもやはり相手意識を加味して、と、教師は願う。
要点をわかりやすく伝えるという国語での取り組みももちろん大事だ。わかりやすい手段も見通しをもってスキルを鍛えていく。しかし、それだけでは相手意識は育たない。ましてや、「相手は〜〜ですよ。相手の立場も考えてね!」と言って、相手意識がつくのならことはカンタンだがそうはいかない。
さきほどの子が感じたような相手を想定するはめになるような文脈を学習活動の中でどうしかけていくかが重要だ。
相手によって表現をかえないければならない活動を入れることも良いだろう。さらに、リアクションの場を設定することも1つの手だ。特に小学校4年生以下の子どもたちにとっては、相手のリアクションがもらえてはじめて理解できることも多い。

いずれにしても、いろいろな場で横断的に意識をして入れていかないと、それこそ、相手意識は育たない。

2004年08月06日

第八話:この2週間

ずっと週に一度は発信してきた「ひとりごと」だが、とうとうここに来て力尽きてしまった。毎年恒例の「死の(?)ロード」に出ているからだ。この数年、いわゆる夏季休業中は土日もなくとにかく走り続ける。準備・本番を繰り返す自転車操業状態に。今回は主な足どりを書くことにする。

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7/24(土):D-project和歌山大会。ノリノリの会でD-proらしい(写真:左上)。山中さんと豊田さんががんばった。内留5人と学生全員のバックアップが効いた。ありがとう。

教科書会議2つ、企画開発会議2つを経て、7/28(水):社会科教育センター全国大会。水越先生@関西大学司会のパネル登壇と高学年発表での助言。ほぼぶっつけ。

7/29(木)、30(金):IMETS。動画制作のワークショップでは、田邊さん、江守さん、飯田さん、池田さんの登場。わずか2時間でやらなくてはならなかったが、進め方も素材もかなり完成版に近づいてきている。わずか1ヶ月で驚くべきバージョンアップ(写真:右下)。別の部屋で辻さんが発表。ポイントをしぼったいい発表だった。

7/31まで:3ヶ月内留の山本さん@氷見、谷井さん@富山が修了。2人とも学校、研究会と本当に精力的に参加した。これから学生を連れて実践を見せてもらうのが楽しみ。

7/31(土)、8/1(日):2005年の教室を考える会in鹿児島(写真:右上)。100人以上集める。懇親会でもほとんど人が減らない。驚異的だ。実行委員のがんばりが実を結んだ。

8/2〔月)栃木県情報教育研究大会講演。250人。会場の反応がよく助けてもらった。栃木の研究会中核メンバーは熱い。講演会終了後、なんと昼に宴会。楽しかった。

8/3(火):石川県野々市町研修講師。30分時間をオーバーしてしまった。こんなに時間オーバーははじめて。次回同様の時間で行うときには、1つ目の課題をカットして、他の2つの課題に対しもっとていねいに解説する必要がある。小林と田口がサポートに来てくれた。私が何も言わなくても、何を準備し、どういうサポートをするべきかわかっている。

8/4(水):松下教育研究財団成果報告会コーディネート。分科会とワークショップ。ワークショップは成果報告会ではじめての試み。でも盛り上がったのでまずは成功。ワークショップに参加していた遠山理事長(前・文部科学大臣。写真:左下)からも「とても良かったから来年もやって〜!」と激励(?)される。

8/5(木):NHKデジタル創造講座講師。中村さん@三重県教育委員会と。今回の課題(プレゼン場面の授業作り)は前回よりもシンプルで良かった。中村さんは参加者をのせるのがうまい。

この日はD-proのワークショップが2ヶ所同時に行われていた。講師として、水谷さん@三重暁小、ちのちゃん、山本さん@京都新林小、山田さん@和歌山大谷小にお願いする。両ヵ所とも盛況に終わったようだ。講師メンバーはD-proきっての一線級だ。

8/6まで:今週で2週間内留の中井さん@名古屋が修了。短時間だったが、たくさんの先生方とかかわってくれた。地元研究会でのこれからの展開にエールを送りたい。

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企業との共同開発にかかわる打ち合わせとか、原稿の取材、大学内外の各種会議は抜いているので、上記のイベント以外にも行間は朝から夜まで何かは埋まっている。

そんな中、まもなく唯一の夏休みに入る。メールのレスポンスも悪くなる予定。その後は後半も走り続ける。




2004年08月15日

第九話:ファインダーからのぞく事実

今年の短い夏休みは屋久島にした。縄文杉までぜひ行きたかったのと、カヌーをしたかったのと、大好物のアップルマンゴー&パッションフルーツをたくさん食べたかったからだ。

カメラでたくさんの縄文杉や息子を撮った。動画でも静止画でも撮った(下記参照)。



しかし、撮りまくりながら「あ、またやってしまった。。」と思った。

せっかく縄文杉がそこにあり、すばらしい森の中にいるのに、ファインダーごしにしかその場にいない自分に気がついたのだ。

撮ることにいっしょうけんめいになると、目の前にあるモノやヒトを体全体で五感で感じることがおろそかになる。つまり、「見ているのに見えていない」状態になる。

こういうことはこれまでも何度かあった。ホエールウォッチングをしているとき、実践研究仲間がポスターセッションしているとき、息子の運動会のとき、決定的瞬間はいつもファインダーごしだった。



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学習場面で子どもたちが見学や取材に行ったときはどうだろう?せっかくの体験のほとんどすべてを体で感じないで、撮影に終始する(させられる)ことはないだろうか?持たされた機器の扱いにふりまわされ気をとられて、何がその場で起こっているのか、結局はわかっていない、充分に感じていないということはないだろうか?

もちろん、取材活動のときにビデオカメラやデジカメ等のIT機器を使うな、と言っているのではない。子どもたちの「わかる」や「知りたい」をサポートする強力なグッズであることは疑いない。



しかし、それを最初から最後まで「使わせるのが見学や取材ではあたりまえ」という場合が特にIT活用バリバリ教師では陥りやすいのも事実だ。対象のモノ・コト、ヒトに触れることが目的なのか、IT機器を使いまくるのが目的なのかがわからなくなっている場合も少なくない。

状況によって子ども一人ひとりによってケースバイケースであるはずだ。今はどういう場面なのか、この子にとってどうなのか、この機器の特性は何なのか、子どもたちにとって慣れているのか、見通しとさじ加減を考慮する必要が教師にはある。

最終的には、子どもたちが自分でIT活用(「活用しない」という判断も含めて)の場を選択できる力をつけることが重要なのだから。




2004年08月21日

第十話:先端情報技術の近未来

とうとう今日(21日)で45歳。

自分ではまったくその自覚がない。でも明け方まで原稿を書いていると、ちゃんと体は教えてくれる。40前まではそんなことなかったのに。いやだなぁ。。



私が担当している大学の授業の中で、コーディネートをしている全学部共通の教養の授業がある。「先端情報技術の近未来」という授業だ。もともとは吉田先生(金沢学院大学)や黒上先生(関西大学)が金沢大学にいらしたころからの開講科目だ。

毎回、「先端情報技術の近未来」という授業名にふさわしいその道の第一線で活躍されている方を講師として招いている。毎年少しずつ新しい講師をお願いし、現在に至っている。(講師は、今や私が話を聴きたい方を招いていると言っても過言ではない)

内容は先端医療から液晶技術、デジタル放送、デジタルアート、ネットカウンセリング、ユニバーサルデザイン、天文、デスクトップパブリッシングなどなど、多方面に及んでいる。

毎年予定受講者数の2倍〜3倍の希望者があり、教室規模の関係で抽選せざるを得ない人気科目だ。1年生への開講科目なのだが、大学院生や現職教員にぜひ聴いてほしい科目なのだ。内容だけでなく、講師の方の生き様が感じられ、本当に魅せられる。NHKのプロジェクトXの授業版のようだ。

興味おありの方はメールを。授業は10月4日(月)からだ。



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H16先端情報技術の近未来:主な講師(※敬称略)



○医療における情報技術 

  大石勝昭(金沢医科大学)

○新聞と情報技術

  吉岡淳也(株日本教育新聞社)

○デジタルアートの世界

  中村理恵子、安斎利洋(アーティスト)

○電子コミュニケーションと社会の変革

  鳥山朋二(NTTサービスインテグレーション基盤研究所)

○教育の情報化

  加藤隆弘(金沢大学教育学部)

○ネットカウンセリングの可能性

  松井 功(株ビューテックラボ)

○液晶技術の進化と可能性 

  船田文明(株アルテデック)

○デジタル放送が拓く新しい学び

  箕輪 貴(NHKエデュケーショナル)

○光ディスク技術の進化と可能性 

  横川文彦(株パイオニア)

○情報技術が支える暮らし

  関根千佳(株ユーディット)

○天文科学と情報技術 

  高野誠鮮(羽咋市役所農林水産課)

○デスクトップパブリッシングの進化と可能性

  北川久一郎(株アドビシステムズ)

2004年09月07日

第十一話:空中ブランコ

このところ、ひとりごとがストップしてしまった。

この間に実に多くの方々から「次はいつ?」と激励をもらう。ずっと更新しないこのページにアクセスしてくれた人がたくさんにることに感謝。

昨日は愛媛で愛媛県教育委員会、NTT西日本、D-project共催の高等学校教科「情報」の研修。ぎりぎりのところで金沢に戻って(羽田経由)くる。今日は朝から集中講義だ。あぶないあぶない。



さて、今日は最近読んだ中でのイチ押しの本の紹介。

奥田英朗の「空中ブランコ」だ。直木賞受賞作なので、読まれた方もいらっしゃるのでは?

主人公は伊良部という精神科医。とにかく破天荒で精神状態ぎりぎりのところで駆け込んだ患者(本書では5作なので、5人)に対して、実にお気楽に対応する。その対応に驚き不快感をあらわにする患者。おまけに相手が苦しんでいる内容に果敢に(?)挑戦し、楽しんでしまう。さらに抵抗を続ける患者。しかし、状況はさらに悪化し、また伊良部先生のところへ足を運んでしまう。そうこうしているうちに、いつのまにか自分の空回りを自覚し始める患者達。読んでいるうちに、結局、こういう治療が最良であると思わせてしまう。

伊良部先生のような生き方にはあこがれすら感じる。

まっしぐらに解決の糸口を探し、正面突破もいいが、まったく別の視点からのアプローチを模索することも、教育現場では必要だ。もっとも、模索などという行為自体が伊良部先生の辞書にはないだろうな。

無表情に注射をする(どんな症状でも)看護婦マユミちゃんの存在も秀逸。



ただ、本当に秀逸なのは、文章のうまさ。端的な表現である上に、繰り返しをうまく使っている。参考にしたい作家の一人だ。



なお、収められている作品は

「空中ブランコ」「ハリネズミ」「義父のヅラ」「ホットコーナー」「女流作家」の5作。

オススメの本が教育書じゃなくてごめんなさい。でも、私は読む本の半分近くは、いわゆる教育書ではありません。

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奥田英朗/著、文芸春秋、2004年4月発行

1,300円(税込)

2004年09月13日

第十二話:教育現場のIT活用を阻害するものは

先週末は、新しいプロジェクトや研究の構想・企画が続いた。情報モラル関連、IP電話、ネット対応ディスプレイ活用、研修システムに関するものだ。どう展開していくか関係者とひざを突き合わせて考えるこのひとときは何事にもかえがたい。今後の展開が楽しみなものばかりだ。こういう機会がたくさん得られることは本当に幸せだと思う。



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上記のプロジェクトにもからむが、私がかかえているプロジェクトのうちのいくつか(というかほとんど)は、その市町村を越えて、他の市町村の学校や専門機関、専門家との情報通信ネットワークを活用してのコラボレーションが想定されている。でも、これがなかなかままならない。ポートをあけたり、他地域との交流のためにテレビ会議システムや掲示板を使うこと自体、何度も交渉を繰り返さなければGOが出ない。いや、出れば良い方で、例え管理職が細かく説明しても結局NGになり、交流を断念せざるをえないケース(地域、学校)も多々ある。



環境自体は回線がINSからケーブルや光になり、はるかに速くなってきているし、コンピュータ室だけでなく教室にもどんどんネットワーク対応のコンピュータが設置されつつある。しかし、現状を見ていると、インターネット環境が物理的によくなっていくとそれと反比例するようにこれまでちょっとでもできていたことができなくなって(制限されて)いるように思うのは私だけだろうか?



やる気があるのに思うようにできない全国の現場の教師から以下のような声をもらっている。

・地域のインターネット運用について、これまでの教育委員会直接担当から外部の会社委託になったために、これまで各学校個別対応してくれていたことがすべてNGになった。

・コンテンツの開発も行っており,よい教材もたくさんあるが、市外の学校からは、活用できない。何故使わせないのかと聞いたところ「うちの市がたくさんのお金を使って開発しているのだから,他の市町村に使わせるのは抵抗がある。」と返事をされた。

・地域サーバのフィルターがホワイトリスト方式(委員会のお眼鏡にかなったサイトのみ学校で閲覧ができる)のため,限られたコンテンツでしか調べ学習を行えない。また,検索の際jpeg画像にフィルターがかかる。

・教育委員会以外が主催している情報教育の研究会の案内などを出すことを断られた。「そのような会に町内の教師が参加したことでネットワーク等でいろいろな活用をができることを知り,やりたいと言い出したら困る」という理由のようだ。



もちろん、私が知っている多くの都道府県市町村の担当者(指導主事など)は、学校現場でのIT活用が広がるように、環境整備はもとより、IT活用の授業アドバイスまでも根気強く、積極的かつ熱意をもってやっておられる。私も元は教育委員会でそのような担当をしてきたので、理解をしてくれないわけのわからぬ行政職の上司を説得するのがいかに大変かわかっているつもりだ。

でも一方で、せっかく前向きに活用してようとする教師に冷や水をあびせるような事なかれ主義の担当者も少なくない。



すぐには変わらないこともあるだろう。しかし、文句だけ言っていても始まらない。やるべきことをやり、こういう授業をこんなふうにやりたいというイメージ(ゴール)を持ち続けることが大事だと思う。それが不十分だとしても、できる環境の中で実績を残していくことが何よりの説得材料になることはまちがいない。

また、状況がカイゼンするための情報交換ももっと積極的に進める必要がありそうだ。それぞれの立場でできることはまだまだあるのではないかと思う。

2004年09月20日

第十三話:フィンランド滞在記

水曜日(15日)から実に短期だが、19日までフィンランドに行ってきた。わずか現地では正味3日間の滞在だ。前後が詰まっていて、どうしようもなかった。目的は、現在のメイン研究対象の1つである教育でのモバイル環境の調査だ。東大チーム(山内さん@東大、宇治橋さん@NHK、中原君@MIME、真川さん&中野さん@ベネッセ)と15日に合流。中原君はボストンからの合流らしい。こちらかは小林を同行させた。

この時期のフィンランドは寒いと思っていたが、想像以上に寒かった。ジャケットの他に、もう1枚長そでをもっていって本当に良かった。ヘルシンキのみの滞在となったが、港町でこじんまりとしていてとても過ごしやすい町だ。港ではたくさんの屋台が毎日出ていて、のぞいてみるだけで楽しい(写真:左)。さすが北欧の国だけあって、町の建物や家具まであやゆるもののデザインが秀逸。写真中の上はノキア本社のロビー。庭?はクルーザー乗り場になっている。また、ホテルの部屋もシンプルで過ごしやすかった(写真:中)。



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さて、今回の訪問先は2つ。

1つは、ヘルシンキ美術デザイン大学のメディアラボ10周年記念シンポへの参加だ。研究室日記にもあるが、12月のICCEで発表を控えている小林にメディアラボの教授に対して研究内容の説明を指示(写真:右上)。次の日のノキアでのプレゼン(こちらの方は1日目より落ち着いてプレゼンができていた)も含め、12月の良い経験になったと思う。そのための今回の同行なので。

さて、メディアラボ10周年記念シンポだが、内容はもとよりとても興味深かったのがシンポの構成だ。基本は司会1人とシンポジスト3人が舞台にあがり、デジタルシティズンのあり方などのテーマにそってセッションが行われる。その後、質問の時間は設けず、すぐ横の会場でセッションごとの場所があり、登壇した4人がそこに控えている。質問したい人はそれぞれのブースに行き、自由に意見交換を行う、という仕組みだ(写真:右下)。この形式は参加者のことを考えるととてもおもしろい。ただ、聞きっぱなしにならないからだ。どこかでアレンジして参考にしたいと強く思った。

次の日はノキア本社。3人の方とお会いした。残念ながら教育の専門の担当の方ではなかったが、どうやら携帯の教育活用は進んでいない。前日のメディアラボの研究者が家庭でも使えそうなiアプリをいくつか開発しているくらいだった。そういう意味では、「今やれることをどんどん日本でやっていこう!」と、山内さんと確認できたことが大きい。話の内容としては、最初にお会いしたRitta
Uanska氏は企業向けのe-ラーニングトレーニングプログラムを作っていて、これにコミュニケーションやサポートの場をネットワークやモバイル環境を使って行っていく場を実験的に試行している、ということらしい。この件は、教員研修マネージメントに関するe-ラーニングの場を構築していくことを中川塾や大学の仕事の1つにしつつある私にとっては今後参考にしたい取り組みだ。

今回の訪問については、誘ってくれた山内さん、アレンジしてくれた宇治橋さんに感謝。




2004年10月04日

第十四話:合同ゼミ

またまた「ひとりごと」を発する日があいてしまった。

この2週間は、11/13、14に東京工科大学で行われる全日本教育工学研究協議会の連名発表(今回は24本に及ぶ)の論文校正・アドバイスに連日追われている。そろそろ自分のも書き始めたいところだが、たぶんそれはぎりぎりになると思う。しかし、24人はそれぞれ論文の精度を高め、自分が納得するレベルまであげようと本当にがんばっている。私も精いっぱいそれに応えたい。



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先週の火曜日、水曜日は和歌山大学豊田研究室とうちの研究室の合同ゼミ合宿だった。すでにうちの小林や和歌山大学の北川さんが研究室日記で報告している。

全員の卒論・修論、研究にかかわる5分発表それに関するフリーセッション、豊田、加藤、中川のつっこみ。小林、北川2人の学生による話題提供とテーマをしぼった議論。豊田さんのミニ講演と私のまとめ。休憩時間もそこそこに2日間びっちりのスケジュールだった。



夜は夜で、月1回石川、富山県内の教師と行っている「授業力向上ゼミ」にも参加してもらった。9月の発表者は金沢市立三馬小学校の島田さん。2年生の体育リズムダンスの実践発表。学級経営とリズム活動をどう関連させ、生かしているかがポイントだった。討議の絡め方がまだ甘く、参加者全員の今後の課題だ。実践内容自体はすばらしかった。この授業力ゼミは私の専門である教育工学や情報教育とはまったく関係ない。授業力そのものをいっしょに高めていくためのゼミだ。

その後、合同ゼミと授業力ゼミの懇親会を行ったが、20:30〜開始(しかも平日)にもかかわらず、40名以上の参加。清水町小(富山市立)の相川さんは金沢に宿泊して朝の6時に学校出勤に向けて出発したようだ。みんなすごすぎる。



はじめて合同ゼミ合宿を行ったわけだが、

・ゼミ内ではわかっている研究内容でも、知らない相手にゼミ形式で伝えなければならない

・同じ学生、内留同士、わけのわからぬ発表はできない

そのようなほどよい緊張感の中で全員が発表できた意味は大きい。

もちろん、お互いに仲良くなって学生、内留同士が卒論、修論、研究成果を意識してつながる意味もまた大きい。

今回、Win-Winになったことが確認できたので、また来年もやりたいと思う。

最後に、この合同ゼミではホストとなったうちの研究室の大学院生(竹内、笹島、小林)を中心に学生が自分たちで考え、和歌山とのメールでの進行、発表者打ち合わせ、会場設営、司会、タイムキーパーや夜の会のタクシー手配、懇親会切り盛りまですべて運営していた。私がやったことは大筋の2日間の方針を示しただけ。後は何もしていない。本当に育っている。それを感じられたのが一番の収穫かもしれない。

2004年10月14日

第十五話:公開研究会でなかなかみることのできない総合の授業場面

現在、週に2校平均でどこかの学校の授業研究に入っている。

今日は静岡県湖西市立鷲津小学校の堀尾光宏教諭の総合的な学習(4年)の授業公開と検討会に講師として訪問した。この授業は昨年から関わっている西縁総合教育センターの総合的な学習部会の研究員への指導の一環だ。



単元名は「鷲津のほこり、豊田佐吉に学ぼう」だ。ねらいは3つあるが、特に「豊田佐吉の偉業や発明、ものづくりなどに関心をもち、進んで調べたり、アイディア品を作ろうとしたり、発明のすばらしさを伝えようとしたりする」というものだ。

単元は74時間に及び、大きくわけると「1)佐吉について知ろう」「2)発明にちょうせんしよう」「3)発明の大切さを伝えよう」の3本だてになっている。

公開の本時は、「3)発明の大切さを伝えよう」の1時間目だった。第二次の最後までに外部の専門家の方などにアドバイスや指摘をもらいながら、子どもたち個々が自分のこだわりのアイディア品を完成させ、今後の柱になる学習問題を話し合う、という場面だ。



授業はこれまでの場面の写真入りの教師の用意した「書き込みシート」に各グループで学びになったことを想起しながら、これから学習問題にしたいことを相談することからはじまった。

子どもたちからは、最終的には、「他の発明家のことも追究したい」「(自分の作ったアイディア品を)本物にしたい」「下級生に伝えたい」など、それぞれの思いを共通テーマとして出してきた。教師の方は、いずれ「町づくり」の活動につなげたいという思惑から「佐吉そして、発明のすばらしさを地域の人に伝えたい」という流れにもっていこうとしていた。それでもていねいに子どもの発言をくみ取りながら、インタビューのビデオを出すか出さないかを授業中に判断しながら、共通テーマへの落としどころ(収束地点)をさぐっていった。



総合では、子どもたちの思いに寄り添いながら、いっしょに学習問題を作っていくことが重要だ。これを教師からの一方的な課題提示のみにしてしまうと、指示待ちの子どもたちになってしまい、総合の醍醐味は失われる。

しかし、子どもたちの思いのみにまかせていると、特に今回のように4年生くらいではどこに流れていってしまうかわからない。つまり、難しい場面なのだ。日ごろの子どもたちの育ちもファシリテーターとしての教師の力量も問われる。しかし、総合の単元を進めていく中で、節目になる重要な場面であることもまちがいない。



以上のことから、なかなか研究授業のような公開では、このような場面を見せてもらえない。たしかに発表の場面あたりの方が無難なのだ。教師の想定できる範囲でたいていは進めていける。

しかしだからこそ、堀尾教諭が本時の授業場面を公開した意味は大きい。つめかけた多くの参観者もたぶん「自分なら〜している」「あの場面では〜すべきだった」と、いろいろな意見をもったはずだ。そういう考えをめぐらせる授業だったのだ。

こういう公開授業が今後も見ることができることを願ってやまない。



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あさっては日帰りで高知市内の小学校に入る。

大好きなぎょうざ屋台(夜の8時からなんだよね。屋台のオープンが)に行けないのが心残りだ。




2004年10月24日

第十六話:2005年の会ファイナル終了

金曜日は、朝からエプソンカラーイメージングコンテスト審査(500点もの審査を一人で終える。さすがに終わったときは目がチカチカした。でも昨年より教師のかかわりのうまさを作品から感じることができた)、午後から神奈川県座間市の情報モラルの研修会講師。夜は原稿書き2本。

体調下降気味のまま2005年の会に突入した。

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この土日は、第5回2005年の教室を考える会だった。200名が参加。今回も参加者の意識の高さを感じた。

これまで第0回大会から6回続いた「2005年の教室を考える会」は今回の2日間をもって終了した。10月はじめに、正式に終了することを4人で話し合って決める。

まもなく2005年を迎える。会の名前もそうだが、この会の果たしてきた役割は大きいが、同時に当初のねらいはおおむね達成されたのではないかと思う。他にもプロジェクトをたくさんかかえているが、いつも感じるのは「引き際が大切だ」ということ。今なら、参加者の次への動きへのきっかけや後押しになる。

なんといっても、多くの人がここで出会い、高い問題意識をもった者同士が化学反応を起こし、さまざまなヒューマンネットワークが構築された。

この会を通じていつも私が願ってきたのは、自らの思いを語り、さまざまな立場の人の思いを知り、共感しながら、元気と勇気をもらって日ごろの実践活動、営業活動に活かすことだ。何より、本当に自分がやれることをやりきっているのか、問い直してほしいと思ってきた。そして「バランス感覚」と「ビジョン」をもってほしいということだ。年に一度か二度、自分をみつめなおす節目と出会いの場になればと思ってきた。

しかし、これは参加者が決めることだろう。



最後になったが、いっしょにこの会を企画、運営してきた堀田さん、大笹さん、狩野さんに心から感謝したい。自分だけでできることは限られていることも、4人で知恵を出しながらやってきたからこその今日があると思う。

また、両方の学生にも感謝している。学生の動きあってのこの会の成功がある。

そして、社長はじめバディの方々にも本当に感謝したい。終了後、バディの社員の方のランチタイムでお礼を言わせてもらったが、社内でそれぞれの専門の仕事をもちながら、実にたくさんの方が誠意をもってバックアップしてくださった。思いを1つにして関わってくださったことに一番感激した。

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終了後、中川塾の児玉師範、佐藤師範、辻さん、中川(妹)さん、田中さんが残ってくれ、新規開発商品に関する意見をくれた。疲れている中での検討会参加に感謝。




2004年11月04日

第十七話:IPテレビ電話研究会発足

先週の金曜日は上和田小の授業公開研究会。「つくれ!子ども世界」をテーマに教師集団が一丸となってとてもすばらしい研究会だった。その後の懇親会もとても楽しかった。土曜日は、息子が通っていた小学校の地域ボランティア。息子はもう卒業したが、さんざんお世話になった学校だ。謝礼はカレーの給食お替わり付き。

今週前半は、実践センター卒論・修論・内留の中間発表(※次号で紹介予定)、およびお疲れさま会&センターへの所属が決定した新2年生の歓迎会。学研NEWの新年号の特集対談取材。堀田さんと。ちがうようで同じ、同じようでちがう堀田さんとの対談はエキサイティングでおもしろい。



さて、今回の話題は、IPテレビ電話研究会発足の話。三田隆治さん(IT・携帯ジャーナリスト)、進藤晶子さん(フリーキャスター、元TBSアナウンサー)、矢野貴久子さん(カフェグローブ・ドットコム代表取締役)と私の4人が中核メンバーの研究会だ。記者会見を行った。東京駅前の丸ビル1階のカフェで行ったということもあり、華やかだった。

NTTのCMなどを見ていると、カメラつき携帯の次のトレンドはお財布携帯のようだが、私はテレビ電話機能ではないかと見ている。さらに、教育の世界でも私のまわりにいる教師はあたりまえのようにテレビ電話あるいはテレビ会議システムを授業で活用している人が多い。

ただ、一般的にはまだまだこれからだろう。そういう意味でさまざまな分野の人間がそれぞれの視点でIPテレビ電話にかかわらずテレビ電話そのものについていろいろと検討していこうという研究会だ。かなり期間限定になると思うが、3人の視点は示唆に富んでいるので、教育活用の参考になるではないかと期待している。

サイトは、

www.tvphone.jp

だ。一度ご覧になってほしい。

2004年11月07日

第十八話:卒論・修論・内留報告の中間発表

週末は高知へ放送教育四国大会。コンテンツや番組活用についてのたくさんの方向性を示してくれたのではないかと思う。特に野村さんの授業は総合でありながら、また動画制作でありながら、うしろにきっちりと国語のとりくみがみえた。今後の情報教育の実践研究に対して示唆にとむ授業だったと思う。

前日は最終便で高知に入り、さっそく餃子の屋台へ。「まっちゃん」がいっぱいでもう1つのお気に入りの「安兵衛」へ。うまいっ!!

岡校長はじめ、土佐の市原さん、次の日授業の野村さんもかけつけてくれた。そして金沢から参加のちのちゃんと高知の大学にかよっている妹のまいちゃんも合流。楽しいひととき(写真提供:ちのちゃん)。



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さて、11/1に行われた卒論・修論・内留報告の中間発表。



田口「デジタルコンテンツの効果的活用法の検証」

だいぶすっきりしてきたが、目的のケタをもっと落とすことが大事。

野畑「学校教育における携帯電話の活用考察」

抽出した実践校(白江級)でのデータどりは順調。しかし実践校に着目する意図は何か?まだ明確になっていない。

山根「小学校英語教育に関する一考察」

ニーズの高いテーマ。しかし野畑同様、なぜ、この研究に実践校(清水級)だけをとりあげるのか?明確にする必要あり。

飯田さん「身近な自然から考える環境学習のための教材開発」

大変意義のある取り組み。あとは中心を明確にすること。中心が「学習支援のためのコンテンツの作成」だとすると、そのプランや意図が作成にどう関連したのか、今後、どういう評価項目を作成するのかを明らかにすることが重要。

長井さん「学びを深める総合的な学習の時間」

来年の実践への熱意が感じられる。「地域貢献型学習」は従来の総合の取り口とどうちがうのか?ここが目的にも考察・結論にもからんでくる。

西さん「進路意識を育む授業についての考察」

こういう取り組みは中学校で特に重要である。問題意識がクリアであることが評価できる。しかし、研究の落とし所としてどこにあるのか?教師のものさしがまだわからない。

小林「教師の信念に基づく授業ストラテジーの関係性の解明」

論文としては完成度がかなり高い。しかし、コーディネーション方策のマトリックスができたプロセスをもっと説明する必要がある。

竹内「情報活用能力を埋め込んだ国語科授業における教師の手だてと配慮に関する分析」

今後教師にとっても考えなければならない大事なテーマ。論文としては、分析の結果(特に大事にしていた手だてや配慮)は国語科の中のねらい、指導書の記述とウェイトとしてどうちがうのか、まだ不明確だ。



最後に全体として、

○まだ説明不足であること

 →目的と考察、目的→考察を再検討せよ

 →のりしろ(ストーリー)を明確に

  パーツはそろっているんだけど、それを活かしていない

  積み上げが不十分

○そろそろいつも論文の完成を考えよ

 →中間発表が終わってそのままほっておく時期ではない

ことを全員への課題として話す。



ここにきて、ちょっと差がせばまりつつある。地道にがんばる者は強いんだよ。




2004年11月18日

第十九話:全日本教育工学研究協議会終わる

11月13日、14日と東京工科大学で全日本教育工学研究協議会が行われた。

前日の「発表決起懇親会」は、60名の参加。発表者がたくさんいるのに大宴会になってしまった。関東の地で60名もの場所のきりもりをしてくれた小林、ちのちゃんはじめ学生、飯田さん、西さんの内留組に感謝。

共同発表や関連発表は全部で26本。内容は下記の通り。(写真2,7:石倉さん@鳥取提供、写真4:石井さん@徳島提供、写真1,5,6,8:田中さん@長崎提供、写真3:田口提供。写真9:中野さん@石川提供)



・低学年国語の「書くこと」領域における構造化の効果〜ウェビングを活用して〜(有田さん)

・小学校高学年児童の文書による情報伝達能力の評価についての研究〜200字お手紙日記の分析〜(石倉さん)

・情報活用能力を埋め込んだ国語科授業における教師の配慮〜情報教育的視点を持つ教師の実践を通して〜(ちのちゃん)

・学級日誌型ソフトウェアの利用における書き表す力の分析(辻さん)

・ルーブリックを作成・活用した自己評価を行う際の留意点の検証(中野さん)

・携帯電話を小学校の教育活動に活用した教師の配慮に関する研究(小林)

・NHK学校放送番組の活用における一考察〜高学年社会科学習に番組を取り入れる場面や学習形態の工夫〜(白江さん)

・新時代の授業を創る「デジタル教科書」の開発について〜「国語の力」を育むIT活用について〜(馬場さん、石田さん)

・「連画:絵のリレー」に取り組む教師と子どもたちの意識のズレの分析〜教師の支援のあり方を明らかにするために〜(佐藤さん)

・教育用コンテンツを活用したe-learning教員研修システムの開発とその評価(高橋さん)

・本時の学習過程におけるNHKデジタル教材の利用方法に関する研究(村井さん)

・デジタルコンテンツ活用授業の効果についての事例研究(森本さん)

・交流目的に応じたメディア環境に関する一考察〜D-project学社産連携ユネスコ・世界寺子屋運動リーフレット制作〜(水谷さん)

・携帯電話の多地点テレビ電話接続による遠隔授業の試み(山本さん)

・国際交流に必要なコンテンツと情報発進力の育成(清水さん)

・教育用デジタルコンテンツの開発及び普及(大谷さん)

・全国の教室にデジタル教材を普及させるためのパッケージの開発〜先進的な理科教育用デジタルコンテンツを活用して〜(佐和さん)

・デジタル表現を支援する動画編集のコースウェア設計〜授業やワークショップで利用できる動画教材のパッケージ化〜(江守さん、田邊さん)

・e-Learningを核にした実践研究コミュニティの構築〜IT活用授業研究「中川塾」の構想〜(これは私の発表)

・子どもたちの構成力を鍛える動画制作(山下さん)

・授業実践力の向上を目指した「ワークショップ」の成果と課題(豊田さん)

・コーチング・スキルを用いたIT活用推進の研究(岩崎さん)

・携帯電話の教育利用と児童の受容態度についての事例研究(稲垣)

・授業におけるIT活用のために必要な担任教師に対する校内支援〜校内における支援活動の評価より〜(田中さん)

・情報教育支援Webサイトにおけるコンテストの運用とその効果〜相互評価を行う投票システムの活用〜(山中さん)

・授業で役立つマニュアルサイトの開発(前田さん)



こういう場ではじめて発表の人も回数を重ねている人も、最後の最後まで少しでも自分の考えを明確にすべく、細部にこだわり、妥協しないでがんばった。

それぞれに次の宿題もあるが、自分自身をほめてあげてほしい。




2004年11月24日

第二十話:教育フォーラムは教師の学びを拓いたか?

先週の金曜は、エプソン販売の原田取締役が退任の挨拶にわざわざ金沢まで足を運んでくださる。考えてみたら駆け出しの研究者の時に共同研究で声をかけてくださったのが原田さんだった。今の研究フィールドは原田さんと出会ったことで広がった。東茶屋街で一献。今後の原田さんも応援したい。



土曜日は、金沢大学教育学部フォーラム。統括だったので、会の構成、人選、交渉を行う。加藤君もワークショップの調整をがんばっていた。今回は学部のフォーラムとしてははじめて少人数のワークショップ形式を取り入れたので、地元小松市ではさすがに告知をしてもらったが、あとは口コミ。しかしそれでも約130名になった。テーマは「デジタルコンテンツが拓く子どもの学び」。二部構成で、まずは中川参事官の講演。情報教育の現状にとどまらず、デジタルコンテンツの各論にも触れてくださり、後のワークショップに関むすびついた。第二部のワークショップでは、「総合(D-pro)」「国語(光村)」「社会(NHK)」「理科(JST)」の4つの分科会にわかれ、小グループになり深める。発表者、司会者、指定討論者がすばらしく、どの分科会もクォリティの高い議論が行われた。人選にまちがいはなかった。

それにしても、参事官も矢原小松市教育長も最後まで分科会に積極的に加わってくださった。その姿勢に頭が下がる。

今回はたしかに参加者の意識も高く、しかも上記のキャストがピカイチだったので、ワークショップも充実したものになった。しかし、もし初心者が多かったとしても、表面的な気軽さだけでは明日からの授業への意識の変容にはつながらないと思う。デジタルコンテンツにかかわらず、ITの活用が自分の授業にどのようにむすびつき、どんな効果が得られるかについて、「ちょっとした違和感」を持たせられなかったら何も変わらない。カンタンに使えそうなものはその簡単さゆえに、IT初心者教師は、結局わざわざ使わなくても(黒板で紙で教科書で)まにあっているという状況から抜け出ようとはしない。

そうなると、今回のフォーラムのような「ゆさぶり」をかけつつ、気楽さについてはハード・ソフトの選択や学習環境の工夫(手間をはぶけるような)をうまくからめるような校内運営の全体のデザインをする必要があるのだ。




2004年11月30日

第二十一話:メルボルンの小学校訪問記

今週の日曜日からちょうど1週間の日程でオーストラリアのメルボルンに来ている。目的はICCEという学会(小林が発表で連名発表)参加だが、黒上さんのコーディネートで地元の小学校に訪問することができた。

メルボルン郊外のApollo Parkways Primary Schoolで、黒上さん情報によると、25周年を迎えたらしい。1学年3クラスで幼稚園の年長さんにあたる1年生予備クラスから6年生まで児童数760名だの学校だ。低学年は21人まで高学年は24人までにおさえられているらしく、教室内はゆったりとしている。

カリキュラムはプランニング週間というのがあるらしく、その時に年間カリを細かく決めている。専科は音楽、体育、美術、イタリア語、テクノロジー、図書などが配置されている。他はクラス担任が受け持つ。

年度終わりであったため、6年生は「Passport to Year 7」という科目を行っていた。どうもこれは日本の総合的な学習の1つにあたるように思った。「Passport to Year
7」というのは、7年生の先生、つまり、自分が卒業した後の中学1年生の担任の先生に送る自分史のファイルのことで、自分がどんな人間でどんなことを小学校でやってきたかをファイルにまとめる学習だ。ただ、漠然とポートファイルを作成するのではなく、相手が明確であり、とても良い題材だと思えた。



この学校を訪問して特筆すべきことは2つ。

1つは、全クラスの教室にパソコン(それもMac!)が6台ずつ置いてあり、子どもたちは本当に使いたい子が自分の用途に応じて使っていた。それが完全に確立しており、まさに道具としてのパソコンになっていた。これは学校全体で共通理解がきっちりはかられていることと1年生の時からずっと教室にこれだけのパソコンが置かれていることが重要だと思った。

もう1つは、図書室が本を読むだけでなく、学習作業空間になっていること。ちょうど低学年の子が本を読んだ後に、そこで本にまつわる絵を描いていた。図書室には絵を描く道具やハサミ、のりなどが置かれており、いつでも使えるようになっていた。学校建築においてもそうだが、日本の学校ももう少し自由でやわらかい発想が必要だと改めて感じさせられた。



写真1:図書室。こうやって寝ころびながら作業するのもOKだ

写真2:美術室。普通教室もすべてそうだが、教室の上の方から自然光がさしこむ

写真3:廊下もまがりくねっている

写真4:教室のレイアウトは担任と子どもたちによって個性が光る

写真5:「Passport to Year 7」の授業風景。ひねた小学生?が1人写っているぞ

写真6:「Passport to Year 7」のテキスト




2004年12月09日

第二十二話:ICCE発表無事終了

オーストラリアから帰ってきてからあけて今週はさすがにタイトだ。

中川参事官との日本教育新聞新年号の対談、デジタルコンテンツのインタビュー対応。3つの学校の校内研究会講師。財団との打ち合わせ。IP研究会でのジャーナリスト三田氏との対談。某教育雑誌新連載と特集号の企画打ち合わせ。NHK教育放送企画検討会議。そしてもちろん大学の授業、ゼミ、卒論指導、教授会、センター構想打ち合わせ、新しい委員会の委員長受諾&メンバー招集などの学内仕事。



今回もオーストラリア話。

メインの渡航目的であるICCE国際学会での小林の発表は無事終了。

前の日は私の部屋で英語発表の特訓&最後の仕上げ。でも、当日はきっちりとまとまっていた。身振りもついて合格点。質問もたくさんもらう。その後のちのちゃんの質問対応もばっちりだった。がんばったね、2人とも。

小林の発表は現在プロジェクトで進めている小学校における携帯電話の教師側の活用タイプの分類と分析。今回のICCEでも、他の国のこのような形での携帯電話の研究事例はなく、質問も前提条件などのものが多かった。今後もこの研究テーマを発展させながら発表していけそうだ。

発表が終わったので、ちょっと足を伸ばしてタスマニアへ。レンタカーでまわる。中核都市のホバートを一歩外に出ると、信号がぜんぜんなかった。オーストラリア滞在中、何度も牡蠣を食べたが、タスマニアの牡蠣は群を抜いてうまかった。絶品だ。

今回は、中川研究室から小林、竹内、西、飯田の4人と行った。向こうで黒上さん、堀田さん、石塚さん、寺嶋君、内垣戸と合流。学会発表、参加がメインであったが、楽しく過ごした。小林、ちのちゃんともこれだけ長い時間いっしょに過ごしたのもはじめてだった。堀田さんには「家族のようだな」と言われたが、果たして兄か父か。。




2004年12月12日

第二十三話:自身のカイゼン計画を

12月1日から羽田空港の第2ターミナルビルがオープンした。(写真参照)

ここにはANAが入っている。私はほとんどANAを利用しているので、これからいつもお世話になる。

やはり、新しくて気持ちがいい。特にラウンジはレストラン並の広さになった。



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さて、私がかかわっている主な研究会や助成・応募論文などのアナウンスだ。

ぜひ、ご自身のカイゼン計画に入れて参加・挑戦してほしい。





●(社)日本教育工学振興会(JAPET)」主催セミナー●

開催場所:大阪ビジネス会議センター (当スクエアとなりのビル地下1階)

開催日:12月25日(土)

開催時間:午後 12:30 〜 午後 3:30まで

●情報教育ソリューションフェア2004大阪●

開催場所:エプソンスクエア御堂筋

開催日:12月25日(土) 午後 3:30  〜 午後 6:30まで

    12月26日(日) 〜 27日(月) 午前 10:30 〜 午後 6:30まで

問い合わせ:

エプソンスクエア御堂筋

「情報教育ソリューションフェア2004大阪」事務局

電 話:06−6205−2727

FAX:06−6205−2728





●2005年の教室を考える会in中部研究会●

ねらい:中部の核となる人たちをつなげよう!ー新たな活動の始動へ!ー

キャッチフレーズ:2005年の教室の環境やねらいを校内で広めるためには!

■日程:1月29日(土)午後1時〜1月30日(日)正午

■場所:KKRホテル名古屋

■申し込み:事務局水谷(s-kmizu@galaxy.ocn.ne.jp)





●2005年の教室を考える会☆関東支部公開研究会●

テーマ:授業力アップにこの一手(IT)〜いつもの授業にもう一工夫〜』

期日:2005年2月5日(土)13:00〜16:00

会場:内田洋行 東京ショールームC3(東京都中央区新川2-4-7)

内容:誰でも気軽にできる教科におけるIT活用

   体育・国語・算数・社会などではどう活用する?

   体験しよう!2005年の教室環境

   中川一史先生(金沢大学)によるアドバイス など

   情報交流会(懇親会)もあり

参加費:1000円

お問い合わせ・申込み:事務局井上(inoue@inoken.info)





●D-project春の公開研究会(全国大会)●

これまでさまざまなメディアでデジタル表現を中心とした情報教育の教育のあり 方、きらりと光るアイディアなどを発信し続けているD-projectが春の公開研究会を行います。あなたもぜひいっしょに参加して「D-projectな1日」を過ごしてみませんか?4月からの授業のヒントが必ずみつかります!

■日時:2005年3月20日(日)

■場所:全共連ビル

東京都千代田区平河町2-7-9

Tel:03-5215-9501

地下鉄有楽町線・半蔵門線・南北線 永田町駅下車Y4出口より徒歩2分

地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅下車 D出口より徒歩7分

■対象 教員をはじめとする教育関係者

■お問い合せ 最新の情報は、D-project WEBページにてご案内します。

近日中にプログラムを決定し、お申込受付を開始しますので、 しばらくお待ちください。

D-project事務局

TEL:(03)3222-8943

FAX:(03)3222-8893

■問い合わせ:d-project@event-info.com

■詳しくはこちら





●松下教育研究助成●

「第31回(平成17年度)実践研究助成」

「第12回(平成17年度)研究開発助成」

■募集期間:平成16年12月1日〜平成17年1月31日(消印有効)

■申し込みはこちら





●わいわい実践論文コンテスト●

わいわいレコーダーを活用した実践例の論文コンテスト

■締め切り:平成16年1月10日

■申し込みはこちら





●第22回教育メディアコンテスト●

メディアを活用した授業実践論文の募集

■対象:北陸三県の教師

■申し込み締め切り:12月28日

■論文締め切り:平成16年1月5日

■申し込みはこちら




2004年12月17日

第二十四話:サンタさんと息子

今週もいろいろあった。

学研NEWやりとり、ぎょうせい「悠」やりとり、財団やりとり、著作権協会久保田氏講演依頼やりとり、IPテレビ電話研究会連載コラム執筆、箕輪さん@NEDの先端授業&センター関係者への特別ゼミ、学部授業、大学院授業、石川&富山の教師対象の授業力ゼミ(長澤さん@松任・蕪城小発表)、研究科委員会(大学院の教授会)、センターゼミ、メディアコンテスト会議、カシオ来研、アイ・オ・データ細野社長&金子さん@NTTコミュニケーションズ打ち合わせ、スカイ来期の打ち合わせ、ベネッセ打ち合わせ、D-pro打ち合わせ、NHK社会科5年番組委員会、NHK新番組打ち合わせ。。。

授業力ゼミは来年の6月まで発表者が決定する。すばらしい!3月は木原さん@大阪市立大が来てくれることになる。

IPテレビ電話研究会連載コラムは来週で区切り。来週は真鍋かをりさんのコメントも掲載される予定。

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突然だが、今日は息子の話を。

息子は現在中学校1年生。しかし、まだサンタさんを信じている。最初は実は知ってしまって信じているフリを?とも思ったが、どうやら本当にまだ信じているようだ。

「浜田(息子の仲の良い友達)のところにはサンタさんもう来ないらしい。ボクは保育園がキリスト教だったから来たのかな」

この保育園はとにかく子どもたちの夢を壊さないことには細心の注意を払っていた。プレゼントを24日までに親から集めてサンタさんから受け取ったということで24日に渡されるのだが、園児が読めないはずの園のお便りにも「例のもの」という暗号(?)が使われていた。子どもへのメッセージカードも筆跡がわからないように必ず左手で書くことなどが指示されていた。(こういうことに徹底するってすごいよね。)

その後も毎年サンタさんは2階の息子の部屋の窓のところにプレゼントを置いていく。昨年だったか一昨年だったか、朝、大騒ぎだった。「サンタさんが来た!窓のところの恐竜(の置き物)もまがってる(※芸が細かいでしょ)し、ベランダにトナカイのフンも落ちてる(※それは鳥の糞)よ!!」

もちろんいっしょに激しく驚いたけど。

そして、今年。もう中学にもなると何がほしいのかこちらにはわからない。先日も何気なく「今年はサンタさんに何をお願いするの?」と聞いてみた。

「もうちゃんと決まってるよ。だいじょうぶ、サンタさんはわかってるから!」



いや。。。だから、困るってば。。



※写真はメルボルン市内。ちゃんと「サンタへの郵便ポスト」も設置されている!




2005年01月03日

第二十五話:新年に向けて

この年末年始にネット世界から切り離された1週間を某国でゆっくり過ごした(写真参照。どこだかわかります?)。

年末年始に私がつかまらなくて気をもんだ方が各方面にいらっしゃったことはメールでよくわかったし、大変申し訳なく思う。1週間たまったメールの処理を行っているが、丸1日やってもまだ終わらない。

ただ、いろいろと迷惑をかけるが、ずっと走り続けるのはやめようと思っている。たまに視界から消えることがあるがご容赦を。



さて、新年があけた。

今年は私にとって大事な年になると思う。これまで広げてきたものを少し紡ぐ時期にきている。今後の自分の大きな絵は描けてきているのだが、これまで数年間、その絵の部分部分をちょっとずつ描きながら広げてきた。これからもそれは続けるが、ペースと量を落とし、それらをつなぐフェーズに入っていく。今年はその元年というところだろう。



読者のみなさんにとって今年はどんな年なんだろう?




2005年01月09日

第二十六話:わかったつもりにさせていないか

新年早々、ベネッセとの調査研究構想やNHK新番組のラインナップ構想会議、雑誌特集記事執筆、小学校国語指導書校正作業、新プロジェクトメンバー推薦、D-pro春の公開研究会申し込み準備、中川塾課題コメント準備、学内会議など、すでにトップギアに入り始めている。

そうえいば年末から来年度の依頼・打診が多く舞い込み、すでに8月と11月の予定はかなり埋まってきた。IMETSはICTテーマの私の相棒(実践発表者)を決めなくてはならない。

今年も充実した1年になりそうだ。



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「バカの壁」は一度は読んだことがあるだろう。あまりにも有名な最近のベストセラー書籍だ。あのバカの壁の冒頭に養老氏がある夫婦の妊娠から出産までのドキュメンタリー番組を授業で見せたということが書かれている。学生の反応は男子学生と女子学生で見事に分かれた、というのだ。要するに男子は出産に対して実感を持ちたくない。だから男子は細部に目をつぶって「そんなの全部知っているよ(以前、保健で習った)」と言い、女子はディテールまで見て「新しい発見をした」と言ったらしい。日ごろ私たちが「知っている」ということの実態は実はそんな程度なのだと断じている。

確かにそうだよなぁと思う反面、これって自分がやっている仕事にもおおいにあてはまるな、と思い始めた。



これまで私はさまざまなデジタルコンテンツ作成や普及の仕事に関わってきている。特に、国関係の仕事は規模も大きく、またばく大な費用をかけ、量的にも教科や校種・学年をカバーするように作成している。作成時には、第一線で活躍している教師や企業もかかわり、それぞれ充実したコンテンツを提供している。どのようなコンテンツが必要なのか、どういうインタフェースなら使いやすいのか、論議を重ねて公開される。

しかし、コンテンツが充実してくればくるほど、子どもたちを上記の男子学生のような状況にさせる危険性があるのではないか、と思うようになった。子どもたちが実感をもちたいと思う前に「わかったつもりにさせていないか」のではないだろうか、と。



もちろん、やみくもにデジタルコンテンツを使うのはナンセンスだ。デジタルコンテンツにかかわらず、教師の意図が明確である上でそれに適した教材や教具を授業に登場させるのは当然のことであり、それが授業の質を問うことにもなるわけだ。

デジタルコンテンツを活用するする場合にもその意図があるはずだ。それは以下の4つに集約されるだろう。

1)知識・理解の補完・定着

 ・なかなか体験できないことを疑似体験する

 ・くりかえし練習する

2)イメージや意欲の拡充

 ・見ることで想像力を刺激する

 ・実際の体験の意欲化を促す

3)学び方の補完

 ・うまくいくポイントをつかみやすい

 ・実験の手順がわかる

4)課題や疑問への発展

 ・見ることでさまざまな疑問がわいてくる

 ・学習課題に収束するようなきっかけになる

この4つのどれにもあまりヒットしないのであれば、それは使わない方が絶対に良い、ということになる。



ただし、仮にヒットしたとしても、知識の表面的な補完のみに終わらないようにすることが大切だ。授業場面1つとっても、「これが今日の授業の答えです」と言わんばかりに水戸黄門の印籠みたいにしたり、45分の授業中ずっとデジタルコンテンツを使い続けたりしていると、いつのまにか子どもたちは「わかったつもり」になっていくだろう。

うまく活用していく鍵は「デジタルとアナログの融合」にあると思う。実際のインタビューや実験などにうまく展開できるような、「わかる」「できる」にうまく効くようなデジタルとアナログの行きつ戻りつがどのように授業デザインできるかがポイントだ。最初の例ではないが、いかに普段の授業で子どもたちに実感をもたせられるか、問題意識や追究意欲を高められるか、ありきだ。

いつも子どもたちが「わかったつもりになっていないか」疑ってかかることが重要ではないだろうか。

2005年01月18日

第二十七話:D-project春の公開研究会申し込み始まる!

私が会長をしているD-projectが恒例の春の公開研究会を行う。

一年で終了しようとしていたこのD-proが毎年新しい試みに挑戦しながら丸三年になった。

今回は特に「子どもの学びとデジタル表現」に焦点化して展開していきたい。

ぜひ参加して「D-projectな1日」を過ごしてみてほしい。4月からの授業のヒントが必ずみつかりるはずだ。

申し込みは、こちら



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■日時 2005年3月20日(日)  9:30〜18:00 (懇親会18:30〜20:30)

■場所 全共連ビル

東京都千代田区平河町2-7-9 Tel:0120-888-694

地下鉄有楽町線・半蔵門線・南北線 永田町駅下車Y4出口より徒歩2分

地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅下車 D出口より徒歩7分

■対象 教員をはじめとする教育関係者

■参加費    3,000円 (税込)

 ※当日会場でお支払いいただきますのでご用意下さい。 ( 懇親会費は別途)



◆ 第1部 ◆

9:30-10:00

1-1 基調講演 「D-projectのめざすもの」 本館4F 大会議室

デジタルをキーワードにした授業実践は今後どのように進むのか、D-projectはそれに対し、何を提供していくのか、トップ2人が対談します。

中川 一史(D-project会長/金沢大学教育学部附属教育実践総合センター)

北川 久一郎(D-project事務局長/アドビ システムズ 株式会社)



10:00-10:40

1-2 パネルディスカッション 本館4F 大会議室

D-project活動を通した授業での展開と子どもの学びについてプロジェクトリーダーが熱く語ります。

<司 会>

豊田 充崇(D-project副会長/和歌山県 和歌山大学教育学部附属教育実践総合センター)

<パネリスト>

プロジェクトリーダー



10:40-12:00

1-3-a プロジェクト発表会 本館4F 大会議室

今年度のD-projectの活動と意味について、プロジェクト毎に分かれて報告します。興味のあるプロジェクトの発表にご参加ください。きっと今後のデジタル活用の参考になります。

・「デジタル表現コンテスト」プロジェクト

・「ユネスコリーフレット制作」プロジェクト

・「気軽にデジタル実践」プロジェクト

・「マニュアル実践活用」プロジェクト

・「連画:絵のリレー」プロジェクト

・「ユニバーサルデザイン」プロジェクト

・「子どもの広場」プロジェクト

・「GLOBAL SCHOOL」プロジェクト



10:40-12:30

1-3-b[中・高校生版]動画ワークショップ 定員36名

本館地下1F 会議室

メイン講師:田邊 則彦(神奈川県 慶應義塾湘南藤沢中・高等部)

※事前お申込が必要です。定員になり次第締切とさせていただきますので、予めご了承ください



◆ 第2部 ◆

12:00-14:50

2-a 情報交換会 本館4F 大会議室

プロジェクト発表会の資料を自由にお取りいただきながら、実践者と情報交換できる場をつくりました。「聞き逃した」「もう一度聞きたい」各セッションの情報を手に入れてください。もちろん日ごろの実践の資料を自分で持ち込んでもOKです。



13:00-14:50

2-b[小学生版]動画ワークショップ 定員36名

本館地下1F 会議室

メイン講師:飯田 淳一(金沢大学 内留)

※事前お申込が必要です。定員になり次第締切とさせていただきますので、予めご了承ください



13:00-14:50

2-c 子どもプレゼン ユニバーサルデザインプロジェクト コンテスト

本館地下1F会議室

ユニバーサルデザインに関する学習活動の総決算として、プロジェクト参加校の代表の子どもたちが「私の製品提案」をします。

コーディネーター:

白江 勉(プロジェクトリーダー/富山県 砺波市立砺波東部小学校)

山下 雅美(プロジェクトサブリーダー/石川県 内灘町立大根布小学校)

江戸 理 (コクヨS&T株式会社)

生形 瑞絵(コクヨS&T株式会社)



◆ 第3部 ◆

15:00-17:00

3-1 実践ポスターセッション 本館4F 大会議室

実践の発表が繰り広げられます。D-projectらしく、すべてポスターセッション形式ですので、直接、質問をしたり、体験したりすることができます。また、今回は投票もあります。

<司 会>

豊田充崇(D-project副会長/和歌山県 和歌山大学教育学部附属教育実践総合センター)

山中 昭岳(D-project副会長/和歌山県 熊野川町立熊野川小学校)



17:15-18:00

3-2 まとめ 本館4F 大会議室

《実践ポスターセッション 投票結果発表》

<ポスターコメンテーター>

水谷 浩三(D-project副会長/三重県 暁学園暁小学校)

山本 直樹(D-project副会長/京都府 京都市立新林小学校)

前田 康裕(D-project副会長/熊本県 熊本大学教育学部附属小学校)

《まとめにかえて》

中川 一史 (D-project会長/金沢大学教育学部附属教育実践総合センター)

北川 久一郎(D-project事務局長/アドビ システムズ 株式会社)



18:30-20:30

懇親会

会費制 5,000円(税込) ※会場でお支払いいただきますのでご用意ください。

大プレゼント大会あります!とにかくここまで参加したら顔を出してみましょう。貴重な情報や仲間を得るには、この懇親会で!



※上記内容は、変更になる場合があります。最新の情報は、随時こちらのページにてお知らせいたします。

■お問い合せ D-project事務局

TEL:(03)3222-8943

FAX:(03)3222-8893

E-mail:d-project@event-info.com

2005年01月28日

第二十八話:2005年の教室を考える会ファイナル支部大会がスタートする

D-project春の公開研究会の申し込みがはじまって1週間たった。すでに約80名の申し込み。定員36名のワークショップはすでにまもなく定員に達する。お早めに!



2005年の教室を考える会は、堀田さんとのツイントップで年に1,2回の全国大会を核に、支部もたくさんたちあがり、この数年間活動してきた。

しかし、2005年になり、研究会のスタイルも定着し、また各地域での研究会もたちあがり、その役目をほぼ完了した。

今後、4つの支部がファイナルを行い、幕を閉じることになる。明日の中部大会を皮切りに行われる。興味のある方は今からでも参加できる会もあるかと思う。問い合わせをしてみてほしい。しかし、多くの地域でヒューマンネットワークを構築し、実践をともに追究していく本当のスタートはこれからだ。



◇各支部の大会

「2005年の教室を考える会」in中部 1月29日(土)、30日(日)

「2005年の教室を考える会」in関東 2月5日(土)

「2005年の教室を考える会」in九州 2月19日(土)、20日(日)

「2005年の教室を考える会」inみちのく 2月26日(土)、27日(日)



2005年の教室を考える会全国本部の大笹さん、狩野さんのインタビュー記事はこちら




2005年02月12日

第二十九話:インターネット社会の功罪

2005年の教室を考える会in関東は大成功に終わる。当日は総勢130名くらいの大盛況。中核メンバーは構想から準備まで本当によくがんばった。会場になった内田洋行のご尽力にも大感謝だ。私も自分の役割を果たせて良かった。

「これまで私の実践の研究にからんでこなかった人たち(情報教育ビギナー)への普及」は、自分のこれからの1つのテーマでもある。



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先週末からひどい風邪をひいて完全ダウン。

年に一度くらいは風邪をひくが、こんなになるのは数年に一度だ。

しかしそれでも熱にうなされる中、「あぁあの仕事の引き継ぎしなくちゃ」「あのメールは催促がきているだろうなぁ」と次から次へと思い出す。

やおら起き出し、横になりながらパソコンを開くと予想通りのメールの山。



まったくなぁと思いながらも、しかし、イイことだっていっぱいある。

まずは、大学関係のメールの処理。これだってメールがなければこのうちいくつかは電話でたたき起こされることになったかもしれない。メールだからこそ、「少しの猶予」をもらったわけだ。こちらも送るだけ送ってまた横になることができた。

メールの利点1

○いつでも送受信しておける

しかし、「送るだけ送る状態」は何もこちら側だけでの専売特許ではない。先方もしかり、だ。ちょっと間をおくと、「(再送):、、、」なんてのが頭についたメールもよくいただく。ふ〜〜。



次に書類のチェックメール。これも本来なら大学など現場に行って確かめるべきものを添付ファイルで送ってもらえる。Faxだと確認電話が後からきたりするが、返事もメールでOKだ。ざっと読んでチェック箇所を指摘して完了。

メールの利点2

○どこにいてもできる

しかし、送りやすいがために、移動の多い私にはモバイル環境で添付でつけられるのはたまらないことが多い。時間をかけてダウンロードしたあげくに、「すみません、さっきのはまちがいでこちらがホンモノ、、、、」。ふ〜〜。



なんといっても、急ぎのものがこんなに早く次から次へと相手に届く手段はない。今日中に返さなきゃいけない重要メールも1時間ほどで完了だ。会社や役所等の退庁時間にも間に合った。

メールの利点3

○すぐに反応できる良さ

しかし、すぐに反応するということは相手もそうだということだ。こちらがレスを返したばかりに、倍の返しが来る。「送信メールは受信メールを招く(中川語録:第4章5節)」。こっちは病の床からやっとのことでメールしているのに。。ふ〜〜。



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教育の世界でよくインターネットというと、有害情報、匿名性、個人情報の漏えいなどをどうするんだ、と(特に管理職から)言われることがある。

しかし今こそ、もっと身近な伝え合う手段としての特性の理解を授業でじっくり考えることも大事なのではないだろうか。



あぁまたメールがたくさん来ている。

本当に今のネット社会、良いのか悪いのか。。。。

2005年02月22日

第三十話:中川塾1期生卒業合宿終わる

先週末の中川塾からはじまり、今週も満載だ。土日は年度末まで休みなし。

木曜日は卒論発表会があった。野畑、山根、田口の3人が発表。ゼミ合宿より格段よくなった。他の教官からの質問にもかろやかに答えていた。前日夜に小林、竹内がアドバイスしてくれていたようだ。こういうかかわりは本当にうれしい。

今週。エプソン取締役を退任された原田氏と打ち合わせ。原田氏とお会いすると「けっして守りに入ってはいけない」と勇気づけられる。松下教育研究財団助成審査。いくつかの授業の成績処理。小林とちのちゃんの修論査読結果作成。授業力ゼミ(富山の水木さん発表)。新潟県小千谷市情報教育研究会講演と発表に対するコメント。学内選挙。情報コース卒論発表会2。専攻会議。堀田さん(静岡大)と論文打ち合わせ。神奈川県綾瀬市研究員発表会講評と講演。NHK高学年プロジェクトまとめ。会長をやっているメディアコンテスト発表会。講演は著作権協会の久保田氏。



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この土日に、IT活用実践研究「中川塾」の合宿があった。

今回は、塾生がまさにこの1年間の総決算を行う合宿だ。

課題もこの1年をふりかえった自分の実践の弱さと改善を5分で語るもの。師範の3人からは暖かくも厳しいアドバイスがとぶ。グループセッション、塾生による補足タイム、懇親会。2日目は校内研修に関するグループ対抗プレゼン。そしてゲスト講師前田さん(熊本)の研修に関する講演。示唆に富むすばらしい講演だった。その後師範3人によるパネルでこの1年間を総括。最後に私からまとめ。

今年の中川塾がここまでこれた一番の要因は何につけても塾生15人のがんばりに尽きる。プライドも何もかもはがされてのスタート。容赦のない毎月の師範の指導。でも一度も誰も脱落せずに切磋琢磨し同時に仲間意識を維持しながらここまでこれた彼らの前向きの姿勢と能力の高さに敬意を表する。塾生15人まちがいのない人選だったと今さらながらに思う。必ずこの1年の取り組みを栄養にして、さらに実践を極めてくれると信じている。と同時に、2期生を鍛えるのに今度は力を発揮してほしい。修了証を渡しているときに、涙が出そうになった。

そして、師範。いつも的確にずばっと指導をしていたのはさすがというほかない。毎月の評価は想像を絶する大変さだったと思うが、この先もときどき読み返すとその指摘はいつも新鮮であることがわかるはず。中川塾はこの3人の師範あってこその塾だ。ここまできてもさらに自分自身をのばそうとするその姿勢も塾生には響いたと思う。

また、このような特別なプロジェクトに賛同していただいた松下教育研究財団の桜林前局長、下田新局長、そして則常さんにも感謝したい。

最後に、影でこのプロジェクトを支えたのは、実践センターの松能君と学生のささじ〜、もえちゃん、小林、ちのちゃんだ。ありがとう。



中川塾はe-Learningを核にしているが、システムがどれだけよくてもうまくいかない。いかにコミュニティをマネージメントするかにかかっているのだ。それを実証的に研究する場でもある。今年度のプロジェクト運営としての反省を活かし、来期に発展させていきたい。




2005年03月17日

第三十一話:続・この2週間

またまた「ひとりごと」が滞ってしまった。

この2週間をふりかえる。



高等学校19年度版教科「情報」教科書最終検討会。

鳥取県三朝西小学校校内研。田中さんがとても頑張っているので、校内の雰囲気もとても良い。これまでの蓄積を感じる。完田さんの授業もいろいろと検討する観点を提供してくれた(写真4)。研究自体はまだまだ焦点化されていない点を指摘した。それも田中さんがリーダーだからこそ要求するレベルも高い。必ずここからいいものに向かうと思う。夜は県内からPICTのメンバーが集まってくれ総勢15名の飲み会に。平日の夜なのにこんな盛大な会になり感謝。夏のD-pro
in 鳥取の話も具体的になってくる。D-proは夏に宮城、鳥取とたてつづけに地方大会を行う。それぞれ工夫された会になりそう。楽しみだ。

CEC成果報告会。今回は学校企画のポスターセッションは事務局にまかせ、分科会のコーディネーター。北陸三県石川県教育工学研究会。座長とパネラー。内留の長井さん、飯田さん、西さんが発表。この内留3人は本当によくがんばった。方々でたくさんのプレゼンもこなしてきた。

つくば市、牛久市合同の情報担当研修会。毛利さんががんばっている。ようやく約束が果たせた。

実践センターセミナー(学情研共催)。テーマは「再検討:校内研究」、講師は木原さん(写真2)。学校研究の意義や実際をとてもわかりやすく整理してくれる。さすがに語り口が鮮やかだ。平日の夜なので口コミのみの会にしたが、大入り満員だった。その後木原さんを囲んで授業力向上ゼミのメンバーと一献。8月末の大きな情報教育研究会に再度来てもらうことに。石川県文化情報フォーラム委員会資料説明を受け、意見を述べる。NHK電話取材。中川参事官とメールで打ち合わせ。

野々市町立御園小海道級授業参観(写真1)。春にも参観に行ったが、確実に子どもたちが育っている。海道さんが学級経営を地道にしっかりとやっていることがよくわかった。金沢市立大野町小学校校内研究今年度の総括と来年度に向けての相談対応。

学研NEW編集部。次号特種記事インタビュー、新連載企画や特集の打ち合わせなど。日本教育新聞の特別企画で蔭山さん@土堂小と対談(写真3)。前日は夜9時ごろ到着にもかかわらず蔭山さんが合流してくれる。一献。メディアには出ない裏話もたくさん聞けておおいに盛り上がる。次の日はモジュール学習参観後に対談。対談でモジュール学習と機能的学力の関係までふみこめなかったのは残念。しかし蔭山さんの熱い思いに敬意を表したい。終了後、日本教育新聞のインタビュー対応。尾道散策の野望(?)はかなわず。でも尾道ラーメン。

松下教育研究財団、エプソン、科学技術振興機構、光村図書打ち合わせ。

この2週間は、プロジェクトの継続(発展)やまだ言えない新プロジェクトのたちあげが次々と決まる。人選にあけくれている。目鼻がつくまで一人で決めなければ先に進まない。孤独な作業だ。

中川塾2期生もほぼ決定する。ぐっと平均年齢が下がる。1期生も皆力を貸してくれることになった。強力なメンバーだ。すでに5月の合宿の準備が進んでいる。

その他、論文打ち合わせ、秋の学会打ち合わせ、大学の仕事(後期入試監督官、教授会、研究科委員会、シラバス提出、合否判定、センター打ち合わせ、学科会議など)。そして19日のD-protop会議、20日のD-pro公開研究会に向けて、多くのことへの指示メール。




2005年03月24日

第三十二話:D-projectが大事にしてきたもの

D-project(デジタル表現研究会)の春の公開研究会が終了した。当日は総勢250名以上を集め、朝9:30より18:00まで「高速道路に乗ったような感じ(参加された速水道弘さん@鳥取県:談)」の怒濤の8時間半の研究会だった。



おおまかな流れは以下のように進んだ。(同時進行がたくさんあった)

・対談:会長、事務局長が語るD-projectがめざすもの

・パネルディスカッション:D-projectプロジェクトのすべて

・プロジェクト別分科会:

・プレゼン公開リハーサル:

 →今回は子どもたちによるプレゼンテーションの場面がいくつかあった。小学生が高校生からプレゼンの極意を学んだのもD-proならでは、か。

・動画ワークショップ:

 →中高の教師用と小学校の教師用のワークショップがそれぞれ行われる。

・情報交換会:

 →3年目にしてはじめての試み。参加者や協賛企業が資料をもちよって名刺がわりに交換した。また、ゲリラプレゼンも行った。

・ユニバーサルデザインコンテスト:

 →参加校の子どもたちによる自分やクラスで考えたユニバーサル製品のプレゼンコンペ。参加した子どもたち同士の意見交換も行われた。

・ポスターセッション:

 →24組のさまざまな実践発表。見た人すべてがすぐに発表者に感想を返すのもD-pro式。

その後、約120名による懇親会。プレゼント抽選会で盛り上がった。



今回のテーマは、「デジタル表現と子どもの学び、そして教師の確かな手だて」だ。D-projectは発足して丸3年がたった。いろいろなプロジェクトや実践をここまで残してきているが、ともすると、その実践のアイディアや活動だけが目立ってしまい、「リーフレットをこのソフトで作ればいいんだね?」という話にすりかわってしまう。もちろんそれだけD-projectそのものが広く認知されてきたということなのだが、上記だけが伝わっていくのは本意ではない。

「何をやったか(学習内容としてのデジタル表現活動)」だけでなく、それとともに、「題材にどう迫らせようとしているのか」「授業としての意図(ねらい)は何なのか」「教師の手だてや学習環境としての工夫は何なのか」がきちんと語られることが重要だと思っている。それらを明確にしようとしていると、当然、ここでどのような力が子どもたちにつくのか、それは教科(総合)の中にどのように位置づけられているのか、を論じることになり、結局デジタル表現の活動ありきではなく、授業デザインそのものについて深く考えていくことに落ち着く。つまり、デジタル表現の学習活動を通して、授業づくりそのものを追究していきたいのだ。



今後もそのようなことを大事にながら、4年目に突入したい。

D-proは今年度さらに発展し続ける。

以下のように、夏の地方公開研究会開催も決定している。

2005年7月30日 D-project in 鳥取

2005年8月6日〜7日 D-project in 宮城

それぞれのサイトでアップされたらまたアナウンスする。



今回の模様は、毎日新聞サイトでもニュースになっている。実にくわしく記事にしてくれている。




2005年03月31日

第三十三話:ありがとう卒業生

今年度が終わる。この時期は別れの時期でもある。

今回、中川研究室は大学院生2人、4年生2人、内留生3人の「卒業生」を出した。



まずは、小林。

学部そして大学院とはじめから担当したという意味ではまさに第1号になる。自分たちで考え動く中川研究室の骨格は小林が作ってきたといっても過言ではないだろう。今後自身の実践を通して、これまで文章にまとおめてきたものをもう一度問い直してもらいたいと思う。



ちのちゃん。

小林とのツイントップはこの中川研究室には欠かせなかった。突っ走る小林としっかり者のちのちゃん。特に、研究室メンバーの思いをさりげなく受けとめ、サポートをしていた功績は大きい。気配りが効いている面とあのぼんやり雰囲気(ほめ言葉だってば)を今後も大事にしてほしい。



山根。

一番、内留の先生達に近かった学生は山根なのではないだろうか。どんな年代の人間ともすぐにうちとけることができるのは才能としか言いようがない。でも、これから現場ではとても必要なことだ。校内の教師集団の潤滑油になってほしい。鳥取には2つの学校に定期的に入っているので、今年も良く行くことになる。山根の授業も見てみたい。



みっき〜。

みっき〜がこんなに動画編集などにハマるとは3年生の時は思ってもみなかった。今後はこれだけのスキルを誰が受け継ぐのだろう?

みっき〜はよく気がつく。企業の方が打ち合わせに来るといつのまにかコーヒーが出てくる。この気配りを誰が受け継ぐのだろう?



飯田さん。

内留の1年間は、そのままD-proワークショップメイン講師の1年間だった。しかし、国語と動画制作を融合し、見事に方向を作り出してくれた。4月からもメインメンバーの一人として活躍してほしい。



西さん。

西さんほど、自分がかかえる教育課題に正面から立ち向かっている中学教師もいない。いつまでも何事も自分の血や肉にしようとするその姿勢をぜひともかかわる中学生は学んでほしいと思う。



長井さん。

総合と地域の活力を取り上げた研究テーマの意味は大きい。いろいろと注文をつけたが、総合のダイナミックさを活かしつつ自身の実践をさらに磨き、極めてほしい。



卒業ではないが、田口も研究テーマがだいぶクリアになってきた。この2年間でバージョンアップしていこう。ささじ〜、学校と研究の両立、やれるところまで突っ走ろう。



最後になったが、ここで培ったヒューマンネットワークをこれからも頼り、時には返し、大事にしていってほしい。

2005年04月10日

第三十四話:携帯電話の情報モラルプロジェクト

新年度が始まった。今年も駈け抜ける1年か。

今週は打ち合わせ等が多かった。

村岡さん@ジャスト打ち合わせ。デジタル放送関連の委員会@文部科学省委員就任受諾。堀田さん@静岡大と論文についてメール打ち合わせ。科学技術振興機構打ち合わせ。赤堀先生@東工大電話打ち合わせ。電子情報ボード活用プロジェクト校リストアップ。中川塾開始のためのもろもろの準備。則常さん@松下教育研究財団メール打ち合わせ。新番組の何度かの打ち合わせ@NHK。山本さん、赤司さん@アップルメール打ち合わせ。

これから定期的に入ることになった千代田区立千代田小学校校内研講師。国語と情報教育の研究。活気があっていい雰囲気。

大学も教授会、GP委員会打ち合わせ、授業打ち合わせ、中川研打ち合わせなど。

連載原稿執筆多数。



そして、携帯電話の情報モラルに関する研究プロジェクトの採択が決まった。これはこれまでの私のいろいろな共同研究のものと額のケタがちがう。かなり大がかりなものになると思う。携帯電話の情報モラルについてしっかり現状を調査し、コンテンツ開発まで踏み込み、方向性を提言していく。責任も重いが、やりがいのあるものになるだろう。中心メンバーの人選は確定し、打診。



携帯電話の授業での活用については、これまで携帯電話の教育活用プロジェクト(私とスカイとの共同研究)において、研究成果をあげてきているが、授業で使えるコンテンツの開発はこれからだ。特に情報モラルに関しては、さまざまな取り組みが行われるようになってきたものの、ワークシートや資料、デジタルコンテンツ等はあまりない。これらについて、研究開発するのも自分の大事な役割だと思っている。



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写真:横浜の自宅近く(金沢区)の桜。今が満開。




2005年04月18日

第三十五話:教師のIT活用レベル

先週も過密な1週間だった。

国語と情報教育プロジェクト打ち合わせ。今年度はデジタル教科書を研究する。デジタル教科書解説書打ち合わせ。ちのちゃんも元気そうだった。学研NEW新連載インタビュー。北川さん@アドビ&D-pro事務局長とD-pro打ち合わせ。終了後D-pro発展からの5年後10年後の話になる。お互いにビジョンを語る。夢は壮大だが、実現に向けてがんばりたい。こうやって同じ夢を語れる同志のいることを再確認。近未来型教室での授業研究プロジェクト打ち合わせ。笠原さん@NHK来研。一献。NHKの新技術と番組がどのような姿になるのか。これまでとちがうかかわりが加わりそう。村岡さん、永野さん@ジャストシステム来研。播さん、赤司さん、山本さん@アップルと教育市場の中期的ビジョンについてディスカッション。息の長い動きになることを切に望む。アップル教育セミナーコーディネータ承諾。科学技術振興機構普及促進会議。主査をやって4年になる。「理科ねっとわーく」は教員登録数10000人を超えた。澤井さん@学情研と携帯電話の情報モラルプロジェクト打ち合わせ調整。水越先生、JSTスタッフと6月の科学技術振興機構シンポジウム打ち合わせ。NPOブロードバンドスクールスタッフ会議@MS新宿。土曜の夜も会議(泣)。

浅野川小(金沢)校内研究相談。昨年度からどう積み上げるか。もうひともみ必要。三朝西小(鳥取)校内研究相談。だいぶしぼりこめてきたが、あと一歩。倉吉東中(鳥取)校内研究相談。図書館教育と情報教育のすりあわせが必要。千代田小(東京)校内研究相談。国語と情報教育の研究。軸がシンプルになってきた。

毎日新聞ネット版連載執筆承諾。学習情報研究特集号打ち合わせ。

大学も授業開始。メディア映像論、今年はCM制作。GP会議調整。研究科委員会。実践センターゼミキックオフ。今年から3つの領域より学生が合流する。富山から中川研究室へ今年度2人目の内留が決定する。5月から。

潮干狩り。ふらりと寄ったディーラーで新車を買ってしまった。またLAND ROVER。高価な買い物。



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これだけパソコンをはじめとするIT機器が学校に入ってきた昨今だが、それでもなかなか学校全体でITを「活用する」には至らない。校内の教師にはさまざまなレベルが存在するからだ。

私は教師のIT活用レベルを6段階にわけている。



【レベル0】

「無関心、知らない」レベル。レベル1がアンチジャイアンツであるのに対して、こちらは「そもそも野球に興味がない」層だ。このレベルの層を開拓するのは相当骨がおれる。情報の研究を受けるなど、何かきっかけが必要だ。

【レベル1】

「知っているけど抵抗がある」レベル。このレベルは、とにかく子どもたちがどのように使うのか、授業のイメージをふくらましてもらうために、リーダーは積極的に授業を見せることが必要だ。

【レベル2】

「さわってみる」レベル。何かのきっかけでちょっと試してみようかなと思い始めたレベルだ。しかし、ほうっておくと、またIT機器から遠ざかってしまう。

【レベル3】

「一度は授業でやってみる」レベル。校内研修の後などにこのような兆候が見られる教師がいる。しかし、強力なサポートがないと、日常的にはならない。

【レベル4】

「日常的に利用する」レベル。このレベルまでくると、だまっていても、ときどき使っている。

【レベル5】

「アナログとデジタルの関係を配慮しながら活用する」レベル。一見、レベル4と似ているが、まったくちがう。レベル4はかなりITにくわしい教師が多い。ともすると、ITを使うこと自体に走ってしまい、「何のために使うのか」「使うことでどのような効果があるのか」を忘れてしまう危険性がある。それに対し、このレベル5になると、体験や実験など、じかに触れたり、会ったりすることを大事にしながら、デジタルの良さもよくわかっていて、さじ加減をまちがわない。



校内の情報リーダーは、これら校内の教師のレベルを把握した上で、少しでも全体がレベルアップするように戦略を練る必要がある。

できれば、私はこうやって校内のIT活用を行ってきた、というエピソードを語ってほしい。

2005年05月05日

第三十六話:地元のおすすめすし屋

ひさしぶりに休日らしい休日を過ごす。

新車が届いた。前と同じLAND ROVERだが、別の車のようだ。あんなに重たい車なのにアクセルをふみこむと、ぐんと加速する。サスは固めだが、乗り心地は悪くない。息子は2つのサンルーフがお気に入り。ETCも取り付ける。

家の庭で土とたわむれる。野菜を育てることに。忘れていたにおい。



今回はGWらしく、すし屋の話題。

ご存知のように私には2つの地元(横浜と金沢)があるが、それぞれにイチ押しのすし屋がある。

横浜は自宅近くの「かねへい」。すぐ近くに、横浜唯一の漁港「芝漁港」がある。ここであなごやシャコなどが毎日水揚げされている。中でもお気に入りは、あなごの刺し身、シャコの握りと三崎港であがる本マグロのあぶりトロの握りだ。あなごの刺し身はちょうど鱧のように梅肉をつけて食べる。本マグロのあぶりトロは、かねへい自家製のポン酢をたらしていただく。いずれも絶品だ。

一人5,6000円の予算で充分堪能できる。

金沢は知る人ぞ知る「太平寿司」。地元野々市の大吟醸「日栄」を飲みながら、大将のおまかせで季節の旬のものを出してもらう。握りはしばらくでてこない。そのとき、何がうまいのか、ここで教えてもらうことが多いし、はじめて口にするものも少なくない。ここでのお気に入りは、白焼き蒲焼きセットのあなごの握りとノドグロの蒸し寿司。しめは必ず、「涙巻き(わさびのみの握り)」をお願いする。このすし屋は黒上さん@関西大学のお気に入りの店で、2人で造語も作った。だいたい1人あたり15000円になってしまうので、作った言葉が「一太平(→これが15000円を意味する。二太平といえば30000円)」。頻繁に行ける店ではないが、ピカイチのすし屋だ。



さて、読者の地元のおすすめのすし屋は?



写真は上段がかねへい。下段が太平寿司。




2005年05月12日

第三十七話:ホンモノパンフの本

GW後半から再始動。

日本教育新聞対談。堀田さん@静岡大打ち合わせ。東大@山内研究室。beat研究会。

光村図書@国語と情報教育プロジェクト打ち合わせ。3年目の今年はデジタル教科書の研究。その後企画開発打ち合わせも。やらなくてはならないことは満載だがおもしろい動きになりそう。黒川さん他企画開発メンバー&ちのちゃんと一献。楽しいひととき。

成瀬さん、釜谷さん@エプソンと新世代教室環境プロジェクト打ち合わせ。大判プリンタが教室に。安西塾長@慶応義塾。文部科学省地上デジタル放送検討協議会企画委員会。秋元メディア係長と若干の打ち合わせ。共同研究をしている稲垣論文が査読を通る。よくがんばった。

中川塾合宿準備にかかわるもろもろの指示。携帯プロジェクトミーティング打ち合わせ。光村プロジェクトメンバー検討。新世代教室環境プロジェクトメンバー検討。Apple教育セミナー打ち合わせ。大久保さん@内田洋行、Edu-EXPO2005打ち合わせ。NTT西日本が主催する教員研修日程調整。

大学GP会議。就職委員会。教授会。センターゼミ。伊藤、久嶋、呉の3人の発表。4年生卒論指導。ささじ〜修論指導。中川塾学生打ち合わせ。もえちゃん@4年はすっかり頼りになる存在に。ひさしぶりに小林と夕食。現場の大変さをひしひしと感じているようだ。数学まで担当しているらしい。

教育基礎演習。近未来の教室環境についてのグループ発表。授業中パイオニアの竹田さんらにテレビ会議で学生プレゼンのコメントをしていただく。実にするどい指摘、さすがだ。

八崎さん他@附属小校内研究打ち合わせ。まだ盛り込みすぎ。しかし八崎さんが附属に来てから情報教育のとらえがしっかりしてきた。辻さん@金沢市立大野町小校内研究打ち合わせ。今年はおもしろい研究会のやり方になりそう。田中さん@鳥取三朝西小校内研究打ち合わせ。さすがは田中さん、だいぶクリアになってきた。千代田小校内研究日程調整。



友だち100人プロジェクトに続くD-pro実践本第二弾として「小学生が作ったホンモノパンフ—企業のパンフレット作りから生まれた子どもの学びー」(山本 直樹, 中川 一史, 北川
久一郎, 山田 康子:共著、高陵社書店、¥1,470(税込)が発刊された。

2002年度に京都市立桂坂小学校の5年生山田級で行われた、子どもたちがクライアント(アドビ)からの要請で教育用パンフレットを本当に作ってしまう、という総合的な学習の実践だ。パンフレットそのものの研究から読者対象のリサーチなど、子どもたちのあくなき追究は続く。しかしそれでもホンモノとしての厳しさをクライアントからのNGという形で味わう。実践物語としてだけでなく、総合のあり方としても世に問うたつもりだ。ぜひ一読いただきたい。

D-proからは第三弾、第四弾を送り出していきたいと考えている。




2005年06月02日

第三十八話:中川一族の野望

だいぶ間があいてしまった。

書くネタは山ほどあるのに。。。

「教育における携帯電話の活用プロジェクト」は(中身についてはここで言えないが)4つの開発研究が走っている。先行の研究がほとんど何もない中での暗中模索が続くが、同時に大変エキサイティングだ。



さて、今週行われている「EducationEXPO2005in東京」の土曜日のセッションで、「中川一族の野望」と題したパネルディスカッションを行う。昨年は大喜利をこのEXPOで行った。今年は、ちょうど2005年を迎え、教育の情報化および情報教育についての今後の展望を立場のちがう方々と一度整理しておきたいと思っていた。そこで思い立ったのが、立場のちがう中川さん(一族)に集まってもらうこと。行政(文部科学省)には中川健朗さんがいる。文部科学省にいながら、本当にわかりやすく情報教育の施策等について全国を説いてまわっている。地域の情報コーディネーターとしては、徳島の中川斉史さんがピカイチだ。そして実践者では、交流学習を中心とした情報教育に関する実践が充実している広島の中川祥子さん。一人でも欠けたら成立しなかったのだが、みなさん無理をおしてかけつけてくれる。おもしろいセッションになると思うので、ぜひあなたも中川一族の野望を聞いてもらいたい。会場で一番大きな部屋をあてがってくれていると聞く。申し込みの締め切りは終了しているが、入れると思う。

ぜひ会場で!一族でお待ちしている。

2005年06月08日

第三十九話:野望セッションは大成功

先週もばたばた。科学技術振興機構学習支援事業研究協力地域への講演。科学技術振興機構普及・促進WG第1回会議。配信だけでなく授業の質的向上をどのように実現するかについて熱い議論。デジタル教科書@光村の活用ガイドができあがる。構成・執筆で協力したが、何よりも中山さんががんばった。国語と情報教育プロジェクト(MKJ)2005メンバー確定。携帯電話の情報モラル教材制作プロジェクトがキックオフ。NPOブロードバンドスクール総会。メディア映像論。学生のCM構想はまだ甘くほぼ全グループにNGを出した。授業力ゼミは内田さん(白山市)。総合を正面にすえてのいい発表だった。その後夜中まで懇親会。千代田小校内研究講師。だいぶ方向性がみえてきた。劇団四季「オペラ座の怪人」@汐サイト。私はとてもおもしろかったが、息子の芸風ではなかったかな。大笹さん、狩野さん@バディ。共同研究や新しい形のセミナーの件打ち合わせ。杉山さん@ベネッセ。共同研究打ち合わせ。小林、ちのちゃんたちとオイスターバー。D-projectリーダー会議についての指示。Web学級日誌プロジェクトメンバー就任依頼。常田社長、伊藤専務、黒川部長@光村図書。学内GP会議。科学技術振興機構の高等教育における評価委員就任受諾。高等教育対象の公的機関の委員は初めて。内灘町コンピュータ活用委員会講師。卒論指導。



前回お知らせした、土曜日のEdu-EXPO2005においての「中川一族の野望」が無事終了した。あの大きな部屋がほぼいっぱいになる盛況ぶりで、さらに多くの方がセッションの途中で質問・感想を書いてくれた。

中川一族の3人もノリノリで私のアドリブにも軽やかにつきあってくれた。

「ポスト2005年の教室をどう考える?」というテーマではじまったセッションも、「健朗おじさん」は、国の施策の進み具合をどう解釈しているかということと今後誰が何をおさえなければならないのかについて明快に語ってくださった。プレゼンは毎回パワーアップされている気がする。あどりぶの「つっこみ返し」もさすがだ。

「弟の斉史」は、ITを活用した教育においてキーパーソンとなるコーディネーターとして現状をどう見ているのか、うまくいっているのは何で何が問題かを語ってくれた。特に、コーディネーターの権限の拡大と各地域への配置は大賛成だ。

「妹の祥子」は、北海道とのお米の交流学習をとりあげ、すぐれたICT活用での実践事例を示すとともに、校内のまわりに広めるその配慮についても語ってくれた。

なお、くわしくは「毎日新聞ニュースサイト」

に多くのスペースをさいて載せてくれている。こちらを参照あれ。


2005年07月01日

第四十話:D-project夏の研究会

D-project夏の研究会の季節がやってきた。

これまで横浜、熊本、和歌山で実施してきたが、今年は鳥取、宮城の2ヵ所で行うという初の試みだ。どちらもそれぞれの実行委員ががんばっている。鳥取は「パンフレット作成」「ニュース作り」「デジタルコンテンツ活用」など6つのコース別校種別ワークショップが、宮城は「校内IT環境」「気軽なIT活用」「学校間交流」という3つコースが用意されている。また、ちょうどどちらも祭りの時期が重なっている。観光と勉強、一石二鳥で楽しめる。もちろん私も駆けつける。

ぜひ夏の鳥取、宮城に!



【D-project夏の研究会 in 鳥取】



7月30日(土)9:30〜17:00

米子コンベンションセンター「ビッグシップ」

〒683-0043 鳥取県米子市末広町294

TEL:0859-35-8111

主催:D-project夏の公開研究会in鳥取実行委員会

後援:鳥取県教育委員会、米子市教育委員会

■参加費 2,000円(当日集金)

■懇親会 4,000円

■定員  60名

■連絡先:

有田 浩子 鳥取市立西郷小学校

〒680-1225 鳥取県鳥取市河原町牛戸14-1

mail: nai@bronze.ocn.ne.jp

三朝町立西小学校 田中靖浩

〒682-0121 鳥取県東伯郡三朝町大瀬1110

TEL 0858-43-0001 FAX 0858-43-2911

Emali:d-tori@tanapon.net

■日程(予定)

9:00  受付開始

9:30〜10:00 全体説明、D-Pro概要

中川一史(D-project総括、金沢大学教育学部助教授)

10:00〜11:30 ポスターセッション

第1部(実践発表)

第2部(実践発表)

第3部(企業プレゼン)

11:30〜12:30 昼食(弁当)

12:30〜13:30 操作スキル講座(フォトショップel、プレミアel)

13:30〜15:30 ワークショップ ※希望コース別

小【低学年】導入期のIT機器活用

(ちょっとした使い方で、授業が盛り上がります。)

小【中学年】パンフレット作成

(フォトショップelを使って実際に作りながら、パンフレットの構

造とキャッチコピーの付け方を学びます。)

小【高学年】ニュース作り

(プレミアelを使って、画像と音声で短いニュース番組を作ります。)

小【図工】画像編集

誰でもできる楽しい授業を提案します。

中(理科)デジタルコンテンツ活用

高(情報)CM研究

15:45〜16:15 勉強したことを伝え合おう

16:15〜16:35 まとめ(中川一史:D-project総括、金沢大学教育学部助教授)

16:35〜16:50 お楽しみ抽選会

17:00 解散

★申込はこちら





【D-project夏の研究会inみちのく】



8月6日(土)13:00-8/7(日)13:00

「エポカ21」

〒989-5612 宮城県栗原市志波姫新熊谷279-2

℡0228-23-0021(代)

主催:D-project夏の公開研究会inみちのく実行委員会 

共催:みちのく情報教育フォーラム 

後援:宮城県教育委員会

■参加費:5,000円

■懇親会 4,000円

■宿泊費:6,000円(1泊:朝・昼食付・税込)

■定員 :60名

■連絡先:

東北学院大学教養学部 教育学準備室内

D-project夏の公開研究会inみちのく

実行委員会事務局 稲垣 忠

E-mail tinagaki@mba.ocn.ne.jp 

TEL:022-375-1180 FAX:022-375-1160

■日程(予定)

【1日目】

12:30  受付開始

13:00〜13:10 開会・日程説明

13:00〜13:30 オープニングメッセージ

 中川一史(D-project総括、金沢大学教育学部助教授)

13:30〜14:00 実践事例発表及び課題提案

14:10〜15:10 ワークショップ1【計画しよう】

 ※希望コース別で行います。(各コース先着順20名)

  (1)はじめよう!「校内IT環境カイゼン計画」

  (2)あらわそう!「気軽なIT活用で表現力アップ」

  (3)つなげよう!「学校間交流学習のはじめの一歩」

 ※夏休み以降にすぐ実践できるプランを協同で考えます。

15:10〜15:40 情報教育を支援する企業による「アピールタイム」

15:50〜17:30 ワークショップ2【検討しよう】

 ※ワークショップ1の計画を、協同で検討し、深めます。

17:30〜18:30 諸連絡・チェックイン

18:30〜20:30 懇親会 ※恒例「プレゼントタイム」もあります。

【2日目】

9:00〜 9:15 日程説明と諸連絡

9:15〜10:00 ワークショップ3【深めよう】

 ※成果の発表に向けて、まとめをします。

10:00〜10:20 提案しよう!「マイプラン」

10:30〜12:00 25分模擬授業(授業をしよう!授業を受けよう!)

12:00〜12:20 講評(中川一史:D-project総括、金沢大学教育学部助教授)

12:20〜13:00 昼食・閉会セレモニー

13:00     解散

★申込はこちら

2005年07月09日

第四十一話:ユニバーサルデザイン教材キット

各プロジェクトが動き出したり準備に入っている。

NFKプロジェクトキックオフ。3人それぞれの視点をもちこんでのユニークな研究成果が期待できそうだ。切磋琢磨していきたい。国語と情報教育プロジェクトのさざまな打ち合わせ。メンバーはまさに国語と情報教育のコラボレーションだ。どんな化学反応が見られるか?青木部長、小泉CP@NHK。今後の方向性について意見交換。三田課長@松下財団。8月の松下財団の成果報告会は今年度もワークショップを予定している。流れがクリアになってきた。あと一度の打ち合わせで確定。黒川部長@光村図書。もろもろの作戦会議。情報教育研修会@静岡。議員も市のIT関連の課からも多く参加。D-project2005の動き出しに関するさまざまな打ち合わせ。デジタル放送企画委員会に関するいくつかのアドバイス。科学技術振興機構の16の研究協力地域を集めた合宿に関する打ち合わせ。シンポジウムは大成功。携帯電話の情報モラル教材プロジェクト打ち合わせ。論文指導の会のもろもろの段取り。D-project地域大会の鳥取と宮城それぞれの打ち合わせ。鳥取は三朝西小への校内研前日に打ち合わせ。夜の9時到着にもかかわらず、多くのメンバーが待っていてくれる。ありがたい。横浜市情報モラル講演会打ち合わせ。全校(約550校)の担当者が集まる。16ヵ所で行われるD-project夏の研修会等の講師調整。NHK番組委員会日程&内容調整。D-projectユニバーサルデザインプロジェクト会議内容打ち合わせ。



さて、「ひとりごと」の前話のコメントで有田さん@鳥取、さくあゆ@NEDがすでに触れてくれているが、コクヨから授業で使える「ユニバーサルデザイン教材キット」が発売された。これはD-projectとコクヨの共同研究として製品化された初の成果物だ。特に、白江さん@富山、山下さん@石川、生形さん@コクヨの努力が形になったと言っても過言ではない。さっそく7/1の日経新聞、7/4の日本教育新聞でも大きくとりあげられていた。

中にはUD文具と通常の文具(マグネット)が入っており、そのちがいが体験できるようになっている。また、授業ですぐ使えるワークシートや授業の流れの例まで入っている。8グループ分が1セットになっている。

また、D-projectでは、この教材を活用した実践メンバーも募集している。やってみようという方は新装開店されたD-projectサイトまで。

「ユニバーサルデザイン教材キット」のプレスリリースはこちらから。

教材紹介ページはこちらから。

7/4発売にもかかわらず、すでに注文された学校も多い。とてもうれしい。

2005年07月31日

第四十二話:がんばれ愛媛・松山!

7/28日(木)松山のテクノプラザ愛媛で情報教育研修会が行われる。

今回は情報教育にかかわる3組織合同の記念すべき第1回大会だった。

関係者の努力が実り、開催にこぎつけた。参加者も県内から約200名。

広い会場がいっぱいになった。

「国語の力を育むITの活用(国語)」「ふるさと松山と連動した地域データベースの活用(社会)」「デジタル顕微鏡カメラを使用した効果的な学主指導のあり方(理科)」「高浜中学校における校内LANの活用状況」の4つの分科会とそれを受けての私の講演だ。

複数の組織がそれぞれの歴史をもって動いている地域は今だに多い。授業にどう役立つ研究会を開けるか、横のつながりをどう作っていくか、課題はいろいろある。しかし、今回の愛媛・松山のように、懸案はあるけども、実現にこぎつけることが何よりも大事だ。



前日にこの3つの組織の中核メンバー約20名が私の到着を待って懇親会を開いてくれる。とても熱いメンバーがひっぱっていっていることを実感できた。

石田さん、お疲れさま。素敵な仲間に囲まれているね。

2005年08月30日

第四十三話:まもなく再開

かなりこの「ひとりごと」も間があいてしまった。

この4日間で金沢→横浜→東京→高知→岡山→金沢→鳥取→東京→横浜という移動。これ(夏期巡業)が終われば少し余裕ができるかも。 どうも体が縦揺れに強くできているのか飛行機は平気だが、電車(横揺れ)は疲れる。

2005年09月11日

第四十三話:D-project夏の陣

9月1日をもってやっと夏期巡業が終わった。うちの研究室の学生もフル操業だった。田口以下本当によくがんばってくれた。小林は年休をとってサポートに駆けつけてくれた。内容については、「研究室日記」をぜひのぞいていただきたい。

打ち合わせに終われる日々。

秋の宮崎中川塾公開研究会相談対応。ジャストシステム新プロジェクト打ち合わせ。D-pro次期取り組み構想打ち合わせ。D-proワークショップe-Learning版構想打ち合わせ。e-スクールin鳥取打ち合わせ。教育工学会大会企画委員会。私の役目はシンポジウムのコーディネータと課題研究の司会、一般研究の座長、発表。11月の全日本教育工学研究協議会連名発表の内容対応。科学技術振興機構研究協力機関研修合宿指示と打ち合わせ。IT学力調査承諾。新世代教室プロジェクト構想打ち合わせ。

その他、書けないけど、今後を左右する重要な打ち合わせ数件。



この夏、もちろん巡業が続いたが、自分が直接行ったかどうかは別としてD-proがらみの研修やイベントがめじろ押しだった。

【プロジェクトオフラインミーティング】

6月のトップ会議を受けてこれまでに、「ユネスコ〜リーフレット制作〜」「教材制作」「動画制作」「学校連画〜絵のリレー〜」「デジタルミニ表現」「ユニバーサルデザイン」の各プロジェクトがメンバーによるミーティングを行う。どのプロジェクトも内容もさることながら、各自の提案が授業としてどうかの厳しい議論。ここが大事。

【パンフレット制作、動画制作等ワークショップ】

この夏、約30地域にてD-pro主催、共催のワークショップが開催された。講師にはD-proが誇るワークショップ運営軍団が大車輪の活躍。特に、田邊さん、益永さんは全国をまわったのではないか。おかげで動画制作ワークショップも研修キットがほぼ完成。今後はe-Learning版の制作に入る。

【連画イベント】

この夏は愛知博への参入があった。素敵なイベント会場で会場と一体となった連画の取り組みはやりがいも見ごたえもあったのではないか。

もう1つは金沢21世紀美術館での開催。地元の小学生がたくさん参加する。

ここ(金沢21世紀美術館)では、D-pro自体をいつか開催したい。

【夏の公開研究会】

昨年は和歌山、一昨年は熊本と、いつも夏に地方で行われているD-project夏の公開研究会だが、今年はなんと2週続きで2ヶ所での開催となった。

まず、D-project in 鳥取が7/30(土)に米子コンベンションセンターで開催された。有田さん、田中さん、池田さんを中心に地元研究会「PICT」のメンバーと米子西高等学校の生徒ががんばってくれた。特に6つのワークショップは秀逸でアナログとデジタルの関係を追究できた。全国大会でも力を借りたい。

その1週間後の8/5(土)、6(日)にはD-project in みちのくが開催される。早々と定員に達しただけあって昼もさることながら三次会まで盛り上がる。稲垣委員長を中心にみちのく情報教育フォーラムのメンバーががんばってくれた。2005年の会とD-proをあわせたような「みちのく」独特の内容にしあげてくれた。

来年の夏の開催地は(D-proが続けば、だけど)まだ未定。あなたの地域でやってみない?

2005年09月12日

第四十四話:釜山滞在記

四十三話、四十四話とたてつづけに発信。(これで今月終わらなければいいが)

さて、9月8日〜12日まで韓国の釜山に滞在した。

ちょうど北海道の夏、というところか。日中は暑いが朝夕は涼しくなる。

釜山で慣れないのがタクシーの運転の荒さ。人にもよるがたいていジェットコースターのようだ。でも食べ物はとてもうまい。人も親切だ。

今回の目的は、Learning Media and Technology for Future Education and
TrainingというConferenceで携帯電話の教育活用の分析について発表するとともに、モバイル教育利用のアジア各国の状況を把握することだ。2人の韓国のキーパーソンとも知り合いになり、さっそくモバイル活用実践校を紹介してもらい月曜日に即訪問までさせてもらえることになった。ありがたい。他にも特に韓国のモバイル用教材コンテンツの状況がわかり、収穫は大きかった。

発表も無事終了。林さん@岡崎女子短期大学が質問対応をがんばってくれる。黒上さんにも質問で助けてもらった。また、論文原稿ではちのちゃんに、発表原稿ではもえちゃんに大変世話になった。

夜は、黒上さん@関西大学、影戸さん、佐藤さん@日本福祉大学、大久保さん@内田洋行、梶本さん@三木市教育センター、石塚さん@静岡大学、そして携帯電話情報モラル教材プロジェクトメンバー等と焼き肉。というか他の日も焼き肉。

携帯電話情報モラル教材プロジェクトの打ち合わせも進む。今回も西田さん、佐和さん、稲垣、林さんががんばってくれる。澤井さん@学情研からもアドバイスをもらう。



写真1:今回Learning Media and Technology for Future Education and Trainingに先立って行われたARECフォーラムの1コマ。Dr.Leeにはその後、ICT実践校を紹介してもらう。

写真2:昼食はいつもビビンバ。左から林さん、呉さん、佐和さん。

写真3:発表した証拠。

写真4:焼き肉屋にはいつもこの2人が。。

写真5:あやしい屋台は市内のあちらこちらに。「ずし」はたぶん「寿司」のこと。

写真6:学生&院生対象のラウンドテーブルが行われる。写真のようにまさにラウンドテーブル!

写真7:ここの店はガイドブックにも載っていない。絶品のトッポッキ。しかも3人前で3000W(約300円)!

写真8:釜山港(日中)

写真9:釜山港(夜景)




2005年09月17日

第四十五話:釜山ICTモデル校訪問(小学校編)

釜山から帰ってきてから、時間的なツケが。。

新世代教室環境プロジェクト打ち合わせ。今後1年半の短期プロジェクトと10年計画の構想を練る。現在の教室環境の常識を超える。ぜひ実現したい。

国語と情報教育プロジェクト打ち合わせ。その後黒川さん、森下さん@光村図書と一献。こちらも次の次の構想を語り合う。いくつかの学会論文アドバイスをメールにて。小林先生@MIMEの依頼受諾。日本教育新聞対談打ち合わせ。

教育実習生の授業助言、研究科委員会(大学院の教授会)、理学部集中講義、附属小公開授業助言。1時間で5つの指導案に注文をつける。三朝西小公開授業事前研究会。2時から4時半とわずか2時間半で2つの授業を見て、その後の検討会。着実に準備が進んでいる感触を得た。



9月9日の午前中に、Learning Media and Technology for Future Education and Training主催のICTモデル校訪問があった。行ったのはMinan Elementary School。

ここは今年度からICTモデル校に指定されている。全校のクラス数は21。

土曜日は現在月一度の休み。来年度は二回になり、再来年度は三回に増えるという。土曜日はいわゆる総合学習的な内容が多いようだ。どこかの国のように、だんだんウィークデーが窮屈にならないと良いのだが。

今回の訪問では「伝統」をテーマにした授業が多かった。科目もさることながら、教室の配置、指導案まできっちり書かれており日本に近い感じを受けた。

参観した授業は以下の通り。

・自由裁量の時間(※日本で言うと総合的な学習にあたる)

 テーマ:伝統的な礼儀作法(4年生):写真3

・社会科と図工の合科

 テーマ:世界の国々(2年生)

・社会科

 テーマ:私たちの祖先のライフスタイル(5年生):写真4−6

・英語

 テーマ:How's your vacation(6年生)

全教室にOHC、プロジェクションテレビ、教師用パソコン、プリンタが設置されている。ICTモデル校だから設置されているわけでもないようだし、教師は日常的にプロジェクションテレビを活用している。つまり、ICT活用に拡大提示するスキルは入ってこない。これも教室に各1台あってこその話だろう。そのような意味で日本も早く教室にあたりまえの機器になってほしい。

コンテンツは豊富で日本のように配給元はさまざまなようだ。が、かなり数も豊富で充実している。日本のようなグループ学習は少ないように感じた。コンテンツも今回この学校であるいはAPECの発表で目にしたすべてのものは一斉授業の提示用のものだった。



写真1:まずは学校教育説明。

写真2:校内は靴にカバーをかぶせる。こういう手もあったか!って感じだ。

写真7;2年生の図工の教科書。しかし、どうやら日本でいう書写も図工で扱うようだ。前のページは書写のページになっている。

写真8,9:教室掲示。ほぼ日本と変わらない。




2005年09月28日

第四十六話:実践研究論文ネタ

11月の全日本教育工学協議会の論文締め切りが迫ってきて、連日、多くの論文に目を通し、手を入れている。それぞれがんばっているのだ。



論文といえば、ときどき実践研究論文について質問を受ける。そのときに、決まって言われる言葉がある。

「何を論文に書けばいいか。ネタがなかなかないんですよね。。」

そりゃそうだ。そのへんにころがっているわけはない。向こうから歩いてくるわけでもない。

日ごろから目をむけ、自分からつかみとり、苦しみながら生みだすものだ。

自ら課題をみつけ、解決していく。

まさに情報活用の実践力そのものではないか。

2005年10月03日

第四十七話:怒濤の数日間

もう1つ全日本教育工学研究協議会ネタを。

原稿締め切りが9/30の午後5時だった。その数日前から連名発表をしている人たち(辻さん@大野町小、飯田さん@大徳小、前田さん@飽田東小、田邊さん@慶応中高等部、青山さん@筑波大附属小、山下さん@西荒屋小、中川さん@池田小、山中さん@熊野川小、水谷さん@暁小、池田さん@扇町総合高、田中さん@蒲河小、石倉さん@成実小、鈴木さん@犬川小、河崎さん@土棚小、中野さん@金沢大附属幼稚園)とのやりとりの応酬だった。みんながんばっているし、レスは出したとたんに待っているのを充分にわかっている。途中段階の原稿がくるたびに、できるだけ迅速に対応した。

やりとりの程度はあるが、主に研究の目的と結果の整合性、研究の方法の明記、データの妥当性について、指摘した数日間だった。特に実践やプロジェクト等の目的と何について明らかにしているのか(研究の目的)を混同することが1,2回目の実践研究論文ではよく見られる。

しかし、問題は自分の発表のものの書く時間がとれなかったこと。エッセイ風の何かの原稿よりも短時間で締め切り直前に一気に書き上げてしまった。クオリティはまったく納得がいかない。それでも出した。連名で頑張っていた人たちに、「時間がなかったので私は出せませんでした」ではしめしがつかないからだ。しかし、いつも早めに自分が準備していればと反省。

2005年10月04日

第四十八話:ついに中川塾が公開研究会に

これまで秘密結社(児玉師範@宮崎:談)のように活動していた中川塾がとうとう公開研究会を開催する。

場所は宮崎。上記の児玉さん@師範、佐野さん@1期生、そして北村さん@2期生がそろっているいわば中川塾のホームグラウンドの1つだ。

あくまでもIT活用を切り口にしながらも授業カイゼンが中心テーマだ。1泊2日でどっぷりと参加者一人一人の授業づくりに迫る会になると思う。ただ聞いていてすまされることのない研究会が、それだけ自分の授業を見直す機会にはなるはずだ。

塾関係者はもとより、九州の精鋭の実行委員がみなさんをお待ちしている。



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   「IT活用実践研究会in宮崎」のご案内

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「ITの活用が子どもの学びにむすびついているのか」「ITの効果的な活用によって、授業がほんの少しでもいいからバージョンアップされるか」

授業力,メディア活用の際の指導力をしっかりと鍛えることを目的にした研修会。教師としての資質向上を図る2日間です。



■期日

  平成17年11月19日(土)13:00〜11月20日(日)11:30

■場所

  宮崎市教育情報研修センター

  http://www.mcnet.ed.jp/mcnet/

■参加費

  参加費は3000円です。当日受付にてお支払いください。

■内容

(1日目)

13:00 開会

13:10 放談「2日間の歩き方」

14:00 実践発表

14:30 ワークショップ1

 ・IT活用による授業カイゼンをテーマにワークショップを行います。

 (テーマは後日発表)

15:30 各グループによる第1次発表

 ・ワークショップ1段階での第1次発表

16:30 ワークショップ2

17:00 1日目まとめ

18:30 情報交換会(場所などは,後日お知らせします)

(2日目)

9:15 各グループによる最終発表

 ・ワークショップ1・2を終えて改善案を出して頂きます。

10:00 ポスターセッション

 ・後日,参加者募集します。

11:00 放談

11:30 閉会



■宿泊

  事務局で一括予約はしませんが,参加者には宿泊先の

 ご案内をさせていただきます。



■申し込み及び締め切り

 「IT活用実践研究会in宮崎」

  事務局長  佐野 工

    takumi.sano@nifty.com

 (11月2日までにメールにて)



 ┌──────────────────┐

 │「IT活用実践研究会in宮崎」実行委員会 │

 │                  │

 │  児玉 晴男   水野 宗市 │

 │  日高 正晴   渡邊 淑子 │

 │  渡邉 光浩   北村 義人 │

 │  田中健太郎   甲斐  崇 │

 │  佐伯 和伸   三宅 徹哉 │

 │  佐野  工(事務局長) │

 └──────────────────┘

2005年10月13日

第四十九話:英語が小学校で必須に?

とうとうきたな、という感じだが、英語が小学校に必須で登場するというニュースが流れた。

早ければ2年後に3年生以上で実施されるようだ。

教科書なのかテキストレベルなのか、英語教員の養成はどうなるのか(高校の情報のようにばたばたすることになるのか)などは、中教審等での議論待ちということだが、問題はこれでいよいよ総合の時間削減に手がつけられる可能性が高い、ということだ。

総合の成果(特に小学校の)が充分に議論されないまま、目先がかわっていくのは残念でならない。





追記:

上記の報道については、10月13日に文部科学省初中局教育課程課長名で、中央審議会で学習指導要領全体の見直しを行う中で外国語教育の改善充実についても議論しているところで、現時点では何も決まっていないという旨の通達を出している。

2005年10月19日

第五十話:まなびピア修了

先週の土曜日に鳥取で行われている生涯学習フェア「まなびピア2005」に日帰りで参加する。7:10羽田発8:20鳥取着という朝早い便にもかかわらず、空港に速水さん、有田さん、谷口さん、谷田さん、吉岡さん@NTT、北田さん@NTTが迎えに来てくれていてびっくり。ランチから黒田さん、田中さん、矢田さんも合流してくれ、10月末の放送教育全国大会および11月末の鳥取県情報教育研究大会(三朝西小公開)の打ち合わせもできた。特に、三朝西のシンポジウムはこのタイミングで打ち合わせができて本当に良かった。役割をそれぞれはっきりさせることが重要であることを指摘した。

午後からは、まなびピアでの発表。NTT西日本とD-proが共同開発しているe-Learning型D-proワークショップパッケージの発表をした。その後、矢田さん@附属小の模擬授業。わずか20分という限られた時間の中で、これから起こり得るチェーンメール等のかかわり方についてわかりやすく進めていた。さすがだ。

まなびピアは生涯学習フェアの一部ではあるが、ステージなどあき時間がけっこうあってもったいないなと感じた。教員対象のパネルやイベントなど、いろいろと盛り込んではどうだろう?




2005年10月24日

第五十一話:倉吉東中が躍進する秘密はどこにあるか

現在、私が定期的に校内研究の指導・助言にかかわっている学校は20校(と言っているうちに、神奈川県相模原市の情報教育推進の小学校が今後増えそうだ)。その中でも中学校でありながら、職員全体が情報教育の実践研究をしっかりやって成果をあげている学校がある。それが鳥取県倉吉市立東中学校だ。

何よりも校内研究はいつも真剣そのものだ。先日は運動会1週間前で練習後にもかかわらず、それぞれの学年からの提案があり、議論がくりひろげられた。当然教科はそれぞれだが、他の教科の授業の進め方も情報教育にひきつけてどんどんみんなでアイディアをだしていく。いつもいつも校内研究会は笑いがあり雰囲気も良い。前向きなこの学校のパワーの源は何なのか。

いろいろあげられるが、私は主に3つあると思う。



1)教師一人ひとりの授業への熱い思い

これまで何度も東中に行っているが、何といっても、より良い授業がしたい、という一人ひとりの教師の思いをいつも感じる。校内研究会では一度に3,4人が授業を公開し、放課後検討会になるが、妥協せずに物事が言える雰囲気がこの学校にはある。

2)管理職の柔軟さ

校長は本校の生徒や教育そのものに良いと思うことはすぐに取り入れる。授業にプラスになるような外部の協力はすぐにお願いする。校内の教師のためになるような研修にはきちんと本務として派遣する。

3)研究担当(兼・情報担当)リーダの巧妙な戦略

担当リーダーの岩崎教諭のコーディネーションは見事というほかない。

たとえばIT活用について、以下のようなことをじわりじわりとやってきた。

その1:ボトムアップ的攻略

岩崎教諭によると、「階層のある販売員システム状態」だという。

「ちょっとスキルがある人にソフトやネットワークの便利さをとにかく宣伝する」ことを発信源がやり、それを3人に知らせるとソフトやネットワークの活用場面が3倍人目に触れる、ということだそうだ。確かに東中では、たくさんの教師が活用する場面を見ている。

その2:トップダウン的攻略

「研究主任になる。そして学校の研究に情報教育を組み込んでしまう。

・それによって教師の授業力がアップする。

・それによって生徒の学力がアップする。

・心配されるスキル面などのフォローは誰々がしてくれる。

もたらされるメリット、心配されるデメリットの解決法を明示する。」(岩崎教諭:談)

まさに本人は有言実行だ。

その3:外堀埋められ的攻略

「校務にIT活用を組み込んでしまう。大多数の人がこりゃ便利!と思うようなシステムを導入すれば、使わない頑固少数派も外堀が埋まってしまったので観念して使います。その時に一番洗脳するのは管理職。管理職が使って、さぁみんなも使いましょうとアナウンスするようになればしめたもの。おれは使わない!と言うことは職務放棄に値するのでそうそう頑固者でない限りはしばらくすると落城すると思います。」(同教諭:談)

朝の職員打ち合わせの一部は完全に校内ネットワークの掲示板で行うようになった。その時間を生徒とかかわる時間に充てている。

後半部分はさきほど指摘したような管理職だからあてはまるという部分もある。頑固者管理職にはまたちがう攻め方が必要になるだろう。

それ以外にも、あまりにも逆にITに懲りすぎるような教師が出たときには、適度にさましながら進めていっているようだ。いずれにしても、岩崎教諭がトップダウン・ボトムアップ、アメとムチのさじ加減をうまくとりながら、全体を見通して進めていっていることが成功の秘訣だろう。



いずれにしても、最終的には生徒の力がどうつくのかを教師一人ひとりがそれなりに感じとれたからこその今の姿だろう。

一度、学校をおとずれてみてはいかが?いつもオープンなので歓迎してくれるはずだ。




2005年11月06日

第五十二話:宮崎の情報教育に風穴を

11月4日(金)宮崎市教育委員会の指定を受けて、水野さんの池内小の公開研究会があった。表現力をキーワードにした2年間にわたる実践研究の集大成の発表。人もたくさん集まった。何よりも、全員授業公開、ワークショップ型の部会、新地先生@宮崎大をコーディネータにしたパネルなど、これまでなかったような取り組みに次々と挑戦したその姿勢に敬意を表したい。児玉さんや水野さん、佐野さんががんばってきた宮崎の情報教育の実践がここからさらにカイゼンされていくことを願ってやまない。

この日は当初の予定から日程変更があったが、水野さんに一度行くと約束したので、それが果たせて良かった。



夜は児玉さん、渡邊(淑子)さん、渡邊(光浩)さん、佐野さん、日高さん、北村さん、野村さん、そして水野さんと再来週のIT活用実践研究会の打ち合わせ兼水野さんのご苦労さん会。おおいに盛り上がった。

次の日は午前中に、NFKプロ。発表は木原さん。春にたちあげる研究会のコンセンサスも得られた。

2005年11月22日

第五十三話:実践を真剣に斬られる場はあるか?

11月19日、20日の2日間、宮崎において、IT活用実践研究会が行われた。

この会は、中川塾の公開研究会でもあった。宮崎情報教育研究会及び松下教育研究財団の主催だ。

中川塾の妥協を許さない実践研究の空気を地元の先生方にも経験してほしいという地元メンバーの熱い思いから実現した会だ。運営は宮崎をはじめとする九州と沖縄の五県のメンバーからなる実行委員会が、講師は中川塾の塾長(私)と師範2名が担当した。

IT活用について実践を中心に考えるわけだが、要は授業カイゼンについての研究会だ。そのことは会がはじまって1時間もすればすぐに気がついたと思う。塾生でもある地元の北村教諭が実践をひっさげて登場。すぐに、師範から授業のねらいと実際の授業の流れの整合性について鋭いつっこみが入る。応戦するけど、答えに窮する発表者。会場はこの応酬をかいま見ながら、はじまって20分ですでに引いていった。中川塾では通常の光景だが、今回はこの手の研究会にはじめて参加した人も多く、緊張感が走ったことと思う。しかし、応酬を聞いているだけでは終わらない。すぐに「この北村実践のカイゼン案を提案せよ」と、グループ課題が出される。このように、ただ聞いていればすむ研究会ではなく、次から次へと課題が出て、グループ発表も講師からばっさりと斬られる。



このごろ、全国の学校の校内や地域の研究会をまわっていて、とても不満なことがある。

それは、数人の実力者(?)が授業の感想しか発言がないことだ。しかも、いろいろと指摘すべき点がたくさんあるのに、褒め言葉しか出てこない。なんとなく褒め合って時間が来てオシマイ。あれなら検討会をやる意味はない。

きっと先輩の後には発言できないかもしれないし、お互いの人間関係が気になるのかもしれない。また、一生懸命準備してきたのを知っているから言いにくいのかもしれない。

しかし、それが本当にお互いのためになるのだろうか?自分の実践を高めたいという気持ちが本当にあるのだろうか?

このようなケースは、継続して入っている学校は絶対にそういうことはないし、許さない。

見当外れの指摘は論外だ。でも、実践をする方も斬る方も真剣勝負でこそ、お互いの成長があるのではないだろうか。



IT活用実践研究会in宮崎ー中川塾公開研究会ーはそのような意味で大成功だったと思う。参加者も県内と県外(北は北海道から南は沖縄まで)の参加者は約半数ずつ。教員、情報アドバイザー、そして個人参加の企業や放送関係の人までさまざまだった。



今回の宮崎では、地元の先生が同僚などを多数ひっぱってきてくれて、IT活用研究にもかかわらず、メールさえもうまく使えない参加者も見られた。

しかし、終了後、誘った先生のところに、「行って良かった。また次も絶対に行きたい」と電話があったそうだ。



次回は沖縄開催がほぼ決定している。今後も、続けていきたい。




2005年12月03日

第五十四話:校内情報担当リーダとしての役割(三朝町立西小編)

今週は、24校の私が定期的に入っている学校の中でも、倉吉東中、三朝西小という鳥取を代表する2つの情報教育推進研究校に連日行くことに。金沢を朝の4時に出発。11時には東中に到着。4,5時間目で7クラスの授業を参観する。いつ来て見てもすべての教師の授業力が高い。放課後は、研究リーダーの岩崎教諭の企み(?)で、数学の教諭の授業発表とそのカイゼン提案を全教員でワークショップ形式で行う。こうやって、中学校であるにもかかわらず教科を超えて研究会を持てることができそうでできない。



次の日、鳥取県の三朝町立西小学校の授業公開研究会があった。

県の情報教育の指定校としての公開だったが、「プレゼンテーション」「メディアリテラシー」「情報モラル」を3つの柱として、全学年公開した。

情報教育の研究会というと、ともすると、IT機器ばかりが目立つ公開も少なくないが、この学校はITの活用はまくまでも日常の域を出ないで、授業提案そのものがしっかりとしていた。特に、私が常々主張している「デジタルとアナログの融合」が見事に実現されていた姿が印象的だった。

また、その後のパネルも実践者、コーディネータ、地域の研究推進の立場から、石倉さん、谷田さん、谷口さん、田中さん、入江さんが短い時間にうまくまとめていた。

これだけの成果をなぜあげられたかということについては、いろいろ考えられるが、何といっても情報リーダの田中靖浩さんの存在が大きい。

彼のここまでの集大成が参加者にたくさんのおみやげをもたらしたと言っても過言ではない。

では、田中さんはどんな資質を持ち、何をやってきたのか。



その1:環境の整備

現任校(西小)に来て田中教諭がまず行ったのが、環境整備だ。校内(町内)のシステムについて積極的に意見を言える立場に就き、ネットワーク整備をはじめ、管理者にとっても、使用者(教師・子ども)にとっても「安心、安全、いつでも、どこでも」の環境を作り上げた。また、当時機器が使われていない状況からデジタルカメラを全教室に配布したという。

その2:情報収集、現状把握

「ITをどんどん活用してください」と同僚によびかけるのは誰でもできる。しかし、よびかけただけでは動かないのが世の常だ。そこで、田中教諭は「何をしたいのかまず聞き(状況把握)、それに合わせた具体的なアドバイス」を行っているという。また、デジタルコンテンツなど、授業で使えるものについての情報収集を欠かさない。それがまたニーズに合わせてすぐに対応できるコツだといえる。

その3:迅速な対応

情報リーダに話を聞いて必ずあげるのがこの「迅速な対応」だ。聞かれたときに答えなければ、つまり時期を逸したらもう聞かないという場合がIT活用ビギナー教師には少なくない。これを承知している情報リーダは絶対にその機会を逃しはしない。

その4:トップダウン的なふるまい

今回、西小では、情報教育の公開授業あった。これを全学年公開にした上に、授業終了後の全体会で2クラスあるもう1つのクラス担任による実践の取り組みのポスター発表があった。つまり、ほぼ全員が発表するはめになっていた。また、IT活用に消極的な教師には特定の機器の教室配置などを半強制的に行っている。また、使える人には授業活用としての負荷をかけていたように見受けた。このことにより、結果的に全員が日曜的に使う素地が出来たのではないか。

その5:授業を見る眼

ただ単にITを活用すれば良いという時代は過ぎた。授業論をきちんと示せなければ参観者の目は肥えてきている。何が良い授業なのか、何はダメなのか、そのへんの見極めがきちんとできていることが実は一番重要な要素だ。ここがぶれてしまっては、せっかくの教師集団のモチベーションもちがう方向にむかってしまう。



いずれにしても、「負荷をかけたり、励ましたり」「授業そのものの意図や流れについて考えたり、IT活用の場面を想定したり」というバランス感覚こそがすぐれた情報担当リーダに必ず求められているのはまちがいない。




2005年12月08日

第五十五話:松下教育助成

松下教育研究財団から特別助成をしていただいているIT活用実践研究中川塾の中間報告を行う。現在、3カ年計画のちょうど中間地点だ。

大変高い評価をいただいた。本当にうれしいことだ。3年目の正式なゴーサインも出る。しかし、ここまで来たのは、財団のバックアップとともに、師範の3人、そして今年度塾生を育てる立場にまわっている卒業生15人のがんばりあってこそ、だ。心から感謝したい。彼らなしには今の中川塾は語れない。おかげで現塾生(2期生)もだんだん力をつけてきている。



さて、松下といえば財団の「実践研究助成」の応募要項が出ている。今回で32回になる。助成内容は1年間の研究に対し50万円(60件)だ。応募受け付け締め切りは1月31日だ。応募されてみてはいかがだろう?

2006年01月01日

第五十六話:謹賀新年

あけましておめでとうございます。

昨年もいろいろな人と関わりながら充実した1年をおくらせてもらった。

今年は、D-proの区切りと次のフェーズへの移行、新プロジェクトのたちあげ、某委員への就任、多くの学校とのかかわりなど、必要としてくれていることに感謝をするとともに、自分の中での創造地図をつむいでいきたい。

2006年01月11日

第五十七話:関西大学金沢大学合同プロジェクト研究会

もう昨年になるが、12月25日(日)、水越敏行先生をお迎えして関西大学金沢大学合同プロジェクト研究会が行われた。今回は体調の悪い中、先生の強いご意向により、関西大学、金沢大学の学生のための会が実現した。



当日は、水越先生はじめ、久保田真弓先生,久保田賢一先生,黒上先生,牧野先生@以上関西大学、亀井さん,寺嶋さん@長崎大、菅井先生@大阪大学、西端先生@大阪大学、鈴木さん@滋賀大、永田さん@兵庫教育大、黒田さん@富山大、中橋君@福山大など研究者多数、また、関西大学の学生も15人が参加した。こちらからは、現場の先生、内留、学生など15名が参加、他に日本教育出版の辻田さんなど、センターの上の部屋はいっぱいになった。



テーマは「プロジェクトを研究にしていくには」

金沢大学からは、

「教材等開発に関するプロジェクト」

・ユニバーサルデザインキット開発

・携帯のモラル教材開発

・デジタル教科書

「教員の資質向上に関するプロジェクト」

・教師のための授業力向上ゼミ

・IT活用実践研究ー中川塾ー

・D-pro

について、辻さん、山下さん、佐藤さんなど、かかわっている現場の教師にも発表してもらった。

関西大学からは、

寝屋川プロジェクト

(寝屋川の小学校と韓国の小学校の交流サポート)

プロジェクトA

(芥川高校ほかの教科「情報」のサポート)

マルチリソース活用研究会

(デジタルコンテンツを活用した授業プランの検証・蓄積)

の発表があった。

その後、参加者全員で関心のあるテーマについて、発表者を中心にディスカッション。どういう視点で斬り込むかがやはりポイント。プロジェクトをたちあげる側から言っても、一部普及を目的にするものは除いて、プロジェクトデザインをする段階が勝負だ。



発表交換に先立って行われた水越先生からの基調講演では、

「後輩諸君へのアドバイスー私の研究体験からー」と題して、

1、研究テーマとして、異質なものを複数もつ。

2、異なるグループに属した研究を遂行する。

3、ライバルを意識し、大事にして交流する。

4、研究の拠点は内外に複数もつ。

5,研究成果は定期的に小刻みにまとめて発表しよう

という内容について、お話くださった。

特に、人(2.3)や内容(1.4)についての行きつ戻りつがどれくらいかろやかに」できるかがポイントだとあらためて感じさせられた。

内容は具体的な実践を例に示してくださり、私だけではなく、修論、卒論をかかえた学生にとっても大変示唆にとんだお話だったと思う。

あらためて水越先生の凄さを感じた一日になった。



黒上さん、アレンジ、お疲れさまでした。






2006年02月16日

第五十八話:新世代黒板環境プロジェクトスタート!

ひさしぶりの投稿となった。



半年の準備期間を経ていよいよ「新世代黒板環境プロジェクト」がスタートした。

中核メンバーとして、もともとVol.1から参加してもらっていた6名に新たに7名(山中さん@和歌山、金さん@山形、八崎さん@石川、土屋さん@東京、米田さん@大阪、西田さん@千葉、小林@石川)の強力な実践研究メンバー、分析メンバーを加えた。

当面の目的は「電子情報ボードを活用した授業スタイルの確立」だが、足元の実践研究を行うのは当然だが、近未来の黒板環境をも構想していく。守秘義務もあるので、くわしくは書けないが、インターフェースの検討や交流実践研究、電子情報ボードと黒板の関係性など、テーマ別にゴールを決め、共同研究者のパイオニアからも多くのメンバー(デザイナーや開発メンバーも含む)も加わって各プロジェクトチームを組む。太田さんはじめパイオニアのプロジェクトチームメンバーは教育への熱い思いを共有している。これからがとても楽しみだ。

今後、研究会での発表や書籍の発行を予定している。

2006年02月20日

第五十九話:中川塾冬合宿無事終了

IT活用実践研究中川塾の2期生冬合宿が2月18,19日の両日にわたって行われた。

まさに今年度の集大成にふさわしい密度の濃い合宿になった。

師範の3人のコメントは今回もとても示唆に富んでいた。また、1期生の3人(石井、佐野、鈴木)のつっこみやミニ講演もこれまでの成功、失敗の経験から具体的に語られていてまさに1年多く関わっていることの重さを感じた。

そして、2期生の成長のあとも充分に見えた。5月の回答とは雲泥の差だ。

しかし、勝負はここから。まさに今日はスタートだ。塾は自己マネージメント力をつけるきっかけの場を提供しているに過ぎない。あとは本人次第だ。

今後の2期生の実践やコーディネートに期待したい。

2006年02月28日

第六十話:3月3日4日は東京有明へ

3月の3日、4日に国関係のICT教育等事業の成果発表会が相次ぐ。

まず、3月3日(金)は地上デジタル放送教育活用促進協議会成果発表会

文部科学省の委託を受け、全国の小・中・高等学校、放送局、教育委員会からなる地域コンソーシアムに対してモデル事業の推進がはじまっている。

この事業は3か年計画で現在、札幌市、千葉県船橋市、東京都港区・三鷹市、静岡市、富山県、兵庫県の6地域全20校に、受信設備を複数台導入している。まだコンテンツなどが十分とは言えないが、それでもどのような可能性が広がるかについてぜひいっしょに考えてみてはいかがか?

平成18年3月3日(金)14:45〜17:30に東京ファッションタウンビル(東京有明)東館9階906研修室にて。

私の役目は、パネルディスカッション「わかる授業を創り出す地上デジタル放送の利用とは」のコーディネート。当日は小坂文部科学大臣も出席される予定。



実は同じ東京ファッションタウンビルで3日4日の2日間にわたって平成17年度Eスクエア・エボリューション成果発表会が開催される。

Eスクエア・エボリューションは、学校現場において効果的かつ継続的に利用できるIT環境の整備に向けて、調査研究、実証実験及び授業実践と成果の普及を図る経済産業省の委託事業。毎回500名以上の参加者がある。

私の役目は、学校企画成果発表(ポスター形式)のとりまとめだ。オープニングとまとめの司会を行う。学校企画は、3日の14:35−16:40と4日の9:00ー10:40に行われる。D-proなどでおなじみの学校や実践者が多数発表する。

2006年03月10日

第六十一話:3/25(土)D-project春の公開研究会

例年約300名の人が集まるD-project春の公開研究会の季節になった。

今年のテーマは「デジタルとアナログの融合」。

東京の真ん中で、4つのテーマ別セッション、8つのワークショップ、ディスカッションを選択する方式。いつもながら「もったいないおばけ」の出るD-proとなる。講師陣も精鋭ぞろいだ。

今年も会場は広いがあと30名くらいで締め切る。懇親会の出席率も驚異的だ。9割以上が参加する。今年は大プレゼント大会の景品も豪華だ。

申し込みはこちら



ここれは、ワークショップ&ディスカッションだけ紹介しよう。



ワークショップ1)

クレイアニメーション 全校種:クレイアニメ

〈担当講師〉

江守 恒明(富山県立大門高等学校)/小林 祐紀(石川県 金沢市立高尾台中学校)

小さい頃、教科書やノートの隅に絵を描いて、ぱらぱらとめくって遊んだ経験がありませんか。

うまく動いて見えたとき、うれしかったことでしょう。一枚一枚の止まった絵は、時間と出会うことによって魂を持つようになります。アニメーションとは、まさに命を吹き込むことです。今回は、粘土の代わりに、毛糸を使ってアニメーション作りを体験します。アニメーションは、映像のように実写ではなく、創造し、
考えながら作ります。キャラクターに自分を投影させ、思いや内面を表現するよい方法だと思います。さあ、喜びと感動を一緒に体験してみませんか。



ワークショップ2)

四次元へのとびらをデジカメでGET

〜画像エフェクトを使って四次元世界を表そう〜 全校種:画像編集

担当講師〉

妻藤 純子/矢田 光宏(鳥取県 鳥取大学付属小学校)

身近なものでもよく見ると「こんなふうになってたんだ」なんて気づくことがありますが、このことは目に映るだけで実は見ていないと言えます。対象としっかり向き合い、自分から見ようとしなければものの本質は見えません。このワークショップは、子どもたちの「主体的にものをみる力」を育てるための授業実践の一つです。撮影のときに自分のフィルターを通して感じたものを、写真加工により表現します。



ワークショップ3)

どうしたらいいの?

はじめての動画編集15秒でメッセージを伝えよう 全校種:動画編集

〈担当講師〉

飯田 淳一(石川県 金沢市立大徳小学校)/山本 直樹(京都府 京都市立新林小学校)

国語科や社会科の教科書にビデオ番組を作ってみようという単元が登場してきました。確かにパソコンで手軽にビデオ編集できる時代です。でも、つけたい力は? 授業でどう取り組めばいいの?

そもそも動画編集ってどうやるの?そんな疑問に答えるワークショップです。公共広告機構のCMのようなものを作ります。



ワークショップ4)

メディア・リテラシーを育てる国語の授業づくり

〜確かに伝えるポスターを楽しく作る〜 全校種:メディアリテラシー

〈担当講師〉

田中 靖浩(鳥取県 三朝町立西小学校)/有田 浩子(鳥取県 鳥取市立西郷小学校)

中橋 雄(福山大学)

『国語の教科書でたくさん設定されている情報発信の単元。でも、実際に授業でどのように取り組んだらよいのか困っています。』そんな声にお答えします。ポスター制作によってメディアリテラシーの力をつける授業モデルの提案です。画像とキャッチコピーの組み合わせによって、伝わることが変わってくる。そんな授業作りを体験していただきます。



ワークショップ5)

デジタルとの出会い

〜気軽にできる!子どもも先生もにこにこデジタル活用〜 小学校低学年

:デジタルとの出会い

担当講師〉

水木 靖(富山県砺波市立出町小学校)/辻 和久(石川県 金沢市立大野町小学校)

「低学年にデジタル利用はまだはやい」「低学年はお絵かきができれば十分」と思っている先生方。そんなことありません。今回は、教科学習や日常的に活用できそうなデジタル活用法を紹介します。4月からの授業で気軽に使ってみませんか?



ワークショップ6)

子どもたちのデジタル表現を読む

〜『学校連画:絵のリレー』〜 全校種:学校連画・絵のリレー

〈担当講師〉

佐藤 幸江(神奈川県 横浜市立大口台小学校)/有馬 佳子(石川県 金沢市立犀川小学校)

細川 都司恵(石川県 金沢市立浅野川小学校)

D-projectではお馴染みの「学校連画:絵のリレー」です。

「絵は苦手」という先生が結構多いですよね。でも、「苦手」なんて言わずに、まずは私たち自身がデジタル表現に取り組んでみましょう。きっと、子どもたちが夢中になる意味を見出すことができることでしょう。そして「相手の絵から受け取るものは何なのか?そこから独自なものをどのように発信していくのか?」など、みんなで柔軟な思考をめぐらしてみましょう。



ディスカッション1)

田中龍三が探る『前田流デジタル授業設計』の秘訣 全校種:デジタル設計を考える

〈担当講師〉

司会進行:田中 龍三(大阪府 大阪教育大学)

発表者:前田 康裕(D-project副会長/熊本県 熊本市立飽田東小学校)

D-projectの重鎮である田中龍三が、 D-project副会長・前田康裕のデジタル授業設計の秘訣を参加者と一緒に探ります。第一部は「教師がデジタル教材を使う」。

第二部は「子どもがデジタル表現を行う」。第三部は「教師のデジタル授業設計力を向上する」です。デジタル授業設計のポイントは何なのか。そこには、どんな考え方が存在するのか。参加者のみなさんの実践や意見を交えながら、デジタル授業設計をデザインする方略を明らかにしていきます。さて、どんな話がとびだすでしょう!



ディスカッション2)

水谷・池田のツートップでお送りする

プレゼンのコツ・ツ ボ 全校種:プレゼン指導のポイント

(担  当〉

発表者:水谷 浩三(D-project副会長/三重県 暁学園 暁小学校)

池田 明(大阪府 大阪市立扇町総合高等学校)

去る2月11日、D-projectプレゼンテーションプロジェクトがユネスコプロジェ
クトとのコラボレーションで実施したワークショップが開催されました。全国から3校の小学生が招聘され、高校生がチューターとして参加。ここでのユネスコ活動プレゼンのブラッシュアップが、本公開研究会当日のユネスコタイムで発表されます。これらの活動記録をもとに、D-project副会長でユネスコプロのリーダー“水谷”と、プレゼンプロリーダーの“池田”が「プレゼンテーション指導のコツとツボ」について、皆さんとともに語り合います。日頃から、プレゼン指導に力を入れている方、どうしてもおざなりなプレゼンを作らせてしまう傾向にあるという方、プレゼンなんて・・・という方、どんな方でも参加歓迎。子どもたちの学びを検証しながらアツイひと時を過ごしましょう。

2006年03月11日

第六十二話:3/26情報教育マイスター養成研究会

D-projectの次の日は、「情報教育マイスター養成研究会」だ。

各学校には、情報教育担当リーダーがいる。本来、IT活用授業の推進役になるはずである。しかし、実際は、インターネットがつながらないとかパソコンの調子が悪いとかビデオカメラが壊れたとか、、、もう次から次へとやってくる機器のメンテナンス等に追われているのが現実だ。このことに追われるあまり、本来一番重要であるはずのITの効果的な活用場面がどうであるのかという議論がどこかにいってしまったり、校内の人的体制作りがままならなかったりする状況にある。このような機器対応は、教師の仕事から切り離すべきだし、近い将来そのような方向で進むと思う。ましてや担任をもちながらやっていると、結局やる気のあるリーダーがいるときだけパソコンが使われるという状況がずっと続くことになる。

IT活用が日常的に行われ、しかも授業力にうまくむすびつけている学校の情報教育担当リーダーは機器にくわしいよりは、校内マネージメントにすぐれていたり、

IT活用授業デザインやカリキュラムコーディネートにすぐれている。このように、「情報教育や教育の情報化を適切に推進するための以下の能力・知見を有している」情報教育マイスターを一人でも多くしたい、さらにレベルアップしてほしいという思いから、養成研究会を行うことになった。

当日は、「すぐれた情報教育担当リーダーのかくし味」を全国の特にマイスター(田中さん(鳥取):小学校事例として、前田さん(熊本):小学校事例として、岩崎さん(鳥取):中学校事例として、成瀬さん(宮城):教育委員会の事例として)よりそのコツをミニ講演で教えてもらったり、全参加者によるワークショップで実際に知恵を出し合い発表することも予定している。さらに、2人の研究者が情報教育の理念,授業力向上の立場から(藤村先生@鳴門教育大学)、カリキュラムコーディネートの立場から(木原先生@大阪市立大学)、鋭く斬っていただく。

今回の参加者は3割が教育委員会、センター指導主事であることが特徴だ。すでに定員いっぱいになっていて、申し込めてぎりぎりあと3,4名だと思う。迷っている人は今すぐ!

2006年03月15日

第六十三話:3/26(日)情報教育マイスター養成研究会は申し込み終了

3月26日(日)に開催の情報教育マイスター養成研究会は、昨日、定員になり締め切った。はじめての試みでしかも情報リーダのみ受け付ける会だ。どのくらい参加者があるかと心配だったが、杞憂に終わった。藤村さん、木原さんという講師陣、4人の特任マイスター等発表者の充実や問題意識の高い参加者に引きつけられたのではないか。参加者によるMLも開始した。現在はキャンセル待ち受け付け中。

前日の3月25日(土)のD-project春の公開研究会もここに来て、申し込みが一気に増えてきた。懇親会の場所がぎりぎりか。

2006年03月20日

第六十四話:国語と情報教育プロジェクト

MKJ(国語と情報教育プロジェクト)のメンバー会議が某教科書会社会議室で行われた。今年度、2回目の会議だが、いつも終了すると放心状態になる密度の濃い会議だ。

今年度のタスクは、デジタル教科書の活用効果の検証と次期開発に関わる検討、などだ。

内容がどう進んだかは、ここでは語れないが、メンバーの実践の充実はもとより、実践研究集団としての質が確実にあがってきている。あたりまえのことだが、デジタルコンテンツの有効活用は教師が少しでも授業をよくしたいという強い思いとたしかな授業デザインがあってこその相乗効果で生み出される。コンテンツが急に授業をよくしてくれるわけではない。しかし、今日の会議では、機能の見せ方によって教師の授業への新たな視点を気付かせてくれることなどが明らかになった。

今後は、いくつかの発表、公開の場を用意している。次年度は検証や開発の佳境を迎える。

2006年03月29日

第六十五話:大盛況!D-project春の公開研究会終了

3月25日(土)朝から公開のリーダー会議、ユネスコプロジェクトリーフレット制作表彰式、ユニバーサル・デザインコンテストが行われ、午後からはD-project春の公開研究会が行われた。当日は、文部科学省からは初中局の伊藤調査官がずっと参加してくださった。また、松下教育研究財団の三田さんもかけつけてくださり、幼稚園から大学までの教員、教育委員会などの行政関係者、協賛などの企業の方、学生、マスコミ関係者、発表を行う子どもたち、その保護者など、本当にさまざまな年齢、立場の人が一堂に会し、250名を超す参加者でおおにぎわいの1日となった。

今回のテーマは、「デジタルとアナログの融合」。

D-proのこれまでのプロジェクトを軸にしたテーマ別セッションでは、4つの切り口(1:デジタル表現を核にした授業力アップ、2):デジタル表現と確かな学力、3):ホンモノとのコラボレーション、4):デジタル表現で思いをつなぐ)で議論が進んだ。

その後のワークショップ&ディスカッションでは、8つもの部会から1つだけを選択。議論に参加したり、実技に挑んだりした。私はずっと全部の場所をまわっていたが、講師は本当に質の高い2時間を提供していたのがよくわかった。また、一部ディスカッションでは、子どたちやその保護者も参加して、本当にD-proならでは、のセッションになった。

最後のまとめでは、新年度からのD-pro2についての趣旨説明と現副会長はじめ、新副会長に就任した中橋君@福山大学、事務局長をまじえてのパネルディスカッション。大きな模造紙に意見を書き込み、そのまま懇親会でVer.2を行った。

なお、

ユニバーサル・デザインコンテストプレゼン大会

ユネスコ・リーフレット制作プロジェクト報告およびコンテスト表彰式

の模様は、毎日新聞ニュースに掲載されている。

2006年04月12日

第六十六話:ワンセグがおもしろい!

とうとう新年度がはじまった。

大学の授業開始は明日からだが、すでにいろいろとはじまっている。

今年度はまちがいなく、自分にとっては「耕し」の一年になると思う。



さて、3月の末に、ワンセグ対応のケータイを購入した。これがおもしろい。

ワンセグに対応している、というのは、地上デジタル放送がケータイで見ることができるということだ。地上デジタル放送は6MHzの帯域を1つのチャンネルに割り当て、13のセグメントに分割されて放送される。そのうちの1セグメント(ワンセグ)を利用してケータイ向けに放送サービスを行っているのだ。

横浜の自宅最寄り駅から羽田空港まで動いている電車の中でも鮮明にテレビ放送を見ることができる。地上デジタル放送なので、画面が小さくても、画面の下の方で、番組の情報を得たり、こちらから送信したりすることもできる。また、ケータイの機能にもよるが、大事なシーンを一時保存したり、録画&画面キャプチャーもとることができる。

うまく進めば、校務や授業の準備を行きや帰りの電車の中でできるようになるのではないか。そんな可能性をいろいろ感じさせるワンセグ対応ケータイの登場だ。




2006年04月13日

第六十七話:情報活用の実践力の積みあげを考える

 金沢は今が桜満開だ(※写真参照。地元の人、どれがどこだかわかる?)。市内は至るところで桜が咲いていて、この時期は車で走り回るのが楽しい。今週いっぱいくらいは散らないだろうから、誰か仕事で来る人いない?



 多くの学校の授業研究アドバイスに入ってみると,子どもたちが自分のテーマをもって、課題を解決しようとしたときに,情報活用の実践力,いわゆる「つかむ、調べる、まとめる、伝えあう」ことに関する力が十分に育っていないことが目につく。生活科や総合、他教科のカリキュラムをにらみ、情報活用の実践力が育つ活動場面の「縦のつながり」を意識しながら、積みあげを検討していく必要があるのだ。以下に、総合的な学習の情報教育の基礎・基本を問われたある雑誌に書いた一部を紹介する。

 たとえば、伝える力で考えてみよう。6年生になって相手に応じて効果的な伝え方でわかりやすく伝えることができるようになるために、4年生でコンピュータでプレゼンソフトを使って発表する機会をもつとか、低学年では近くの人(先生とかクラスの友だち)に自分の思いを伝える場が充分用意されている、というように。つまり、「誰に伝えるか」という対象を徐々に広げていったり、どのような方法で発表するかというバリエーションが増えていったりするようなカリキュラムになっていることが重要だ。

 伝えあうことがより高まる要素として、

 ・伝えたくなるような内容である(課題の切実感)

 ・伝えあいやすい雰囲気である(学級経営など)

 ・伝えあえる基本スキルが育っている(教科や総合でねらうもの)

 ・伝えあえる応用スキルが育っている(場数)

の4つをあげることができる。これらが、それぞれの学年の教科学習や総合に位置づけ、しかけていくことが重要なのである。つまり、これらを意識しながら、

 ・何を(内容)

 ・誰に(対象)

 ・どのように(道具)

 ・どんな形態で

 ・どんなシチュエーションで(場の経験)

について、広がったり深まったりするように活動に埋め込んでいくわけである。



 特に総合では、この育ちがなかなか校内で共通理解がもてず、結局、表面的な毎年のお決まりの学習活動に終始することになる。研究リーダーであれば、再点検をおすすめする。




2006年04月17日

第六十八話:教育用ソフト開発プロジェクト

横浜の高台の自宅から見えるところに関東学院大学釜利谷キャンパスがある。

そこに、数年前まで金沢大学教育学部で同僚だった大澤善信先生が異動されていらっしゃるので、久しぶりに会いに行ってきた。何か金沢におられたときよりも血色(?)が良くなっている気がした。いつも学生の方を向いている教育者で、魅力的な研究者なので、またどこかで一緒に仕事がしたいと思った。



某社との教育ソフト開発に関する共同研究プロジェクトがスタートした。主査である私を入れて研究者3人、精鋭の実践者4人に加え、某社からは社長もこのプロジェクトメンバーとして参加されている。さらに営業だけでなく開発からも中心メンバーが参加。その意気込みを充分に感じることができた。

現在、教育ソフトは大変苦しい状況だ。なかなか売れないし、そこそこ売れていたとしても、ごく一部の教師にしか使われない。そのソフトが校内にあることすら知らない教師も少なくないと思う。そんな中、これまでの資産をリセットしてでも、多くの教師に使われるようなより良質のソフト開発にゴーサインを出したことに敬意を表したい。それとともに、責任も重い。がんばろうと思う。今日の会議では、忌憚のない意見でまたく時間がたりなかった。それだけそれぞれの立場で思いもあるし、現状分析もある程度行ってきた。開発が落ち着いたら、それに付随する教材パッケージ作成や研修方法の検討、公開研究会の実施までプロジェクトで議論していく予定だ。

2006年04月25日

第六十九話:実践研究論文構想指導の会

先週の土曜日に、実践センターで「実践研究論文構想指導の会」があった。今回からはセンター主催行事として、学部教員を通じて、公開とした。



構想発表を行ったのは、16人に及んだ。センターの部屋がいっぱいになるほど、全国から集まった参観者も多かった。講師は、これで3年目になる藤村さん@鳴門教育大、林さん@椙山女学園大学に加え、村井さん@金沢星稜大学、それにセンターの加藤君だ。講師からは16人それぞれに、するどい指摘が容赦なくとんでいた。

さらに私の方からは、「どうする5つの課題」として、

課題1:研究の目的と実践やプロジェクトの目的をごっちゃにしてしまう

課題2:研究で明らかにすることをタイトルにたてられない

課題3:内容を「てんこもり」しすぎ

課題4:研究の方法のケタが大きすぎる

課題5:言葉にゆらぎがある

の5つを指摘した。

講師の4人からは、構想をたてる手順やてんこもりにならない工夫など、ポイントをおさえたアドバイスが続いた。



特に、自分の実践や学校をフィールドにする場合は、実践がはじまってからでは、もう遅い。いかに構想をしっかりたて、どんな準備が必要か、どんなデータをどのようにとるべきか、充分に「今」計画をたてておくことが重要だ。そうじゃなければ、明らかになることがぼんやりしてしまう。

もちろん、実践者は研究をすることが目的ではない。しかし、実践を研究として考えてみることで、実践を対象化してみることができる。そういう「筋肉」を鍛えることが自分の実践をみつめなおすのにも必要だと思う。



構想発表はまさにここからがスタートだ。まもなく、「ところでどう進めている?メール」を16人に出すことにしよう。

それにしても、この時期に身銭をきって参加した人たちに敬意を表する。きっと実践にもプラスにしていくはずだ。



それにしても学生はよく働く。こういう会の運営は3を言えば、自分達で考えきちんと10こなしてくれる。だんだんセンターイズムが浸透してきた感じがすることがとてもうれしい。

2006年04月28日

第七十話:教育ブログ活用入門本が出るぞ!

教育において、ブログの活用例の報告が聞かれるようになってきた。

学校の情報公開・説明責任が叫ばれている中、手軽に開設でき、更新も簡単であるブログの活用で、教師の情報発信能力を高めることができ、同時に、保護者や地域などの第三者との交流も図れるという利点を含むのがブログは、今後も活用する、また活用してみたいという教師が増えるであろう。

そこで、パソコンに苦手意識をもつ教員にも分かりやすくブログを解説し、教育現場でどのような活用ができ、どのような成果が得られるのか、何に留意すれば良いのかについての指南書を明治図書から世に出す。

参考になる事例はもちろん満載だ。これからはじめようとしている人、はじめたけど先進的にやっている人の事例を参考にしたい人は必見。



明治図書のサイトから予約申し込みができる。ここから



主な目次は以下の通り。

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はじめに〜ブログをはじめませんか?〜



1 ブログで情報発信!の予備知識

1)ブログを使った教育情報の発信はここが違う!

2)こんな問題にどう対応するの?学校におけるブログ留意点



2 とにかく開設!ブログの作り方



3 どんなブログがあるの?全国における教育ブログ先駆的事例

事例1 授業でブログを使う

○わたしたちとユニバーサルデザイン

○デジタルポートフォリオそして学習交流サイトとしての活用

○ネット上での人と人とのつきあい方を学ぶ

○weblog(ブログ)を使った情報の発信・交流

事例2 学級通信としてブログを使う

○学級通信の補助として

○紙面の学級通信を補うブログ

事例3 学校通信としてブログを使う

○幼稚園におけるblog活用

○学校の「今」を伝える校長ブログ

○学校ブログで毎日が授業参観

○ブログで楽々!学校ホームページ毎日更新

事例4 教育関係者のブログ実践

○教育用ブログの開発

○教育実践ポートフォリオで自分を磨こう

○教員研修の場としての活用

○教育プロジェクトでのブログ活用

○教育活用の一環としての水族館長からのブログ



4 なんでもわかるブログQ&A



コラム豆知識:ブログにおける用語解説

2006年05月19日

第七十一話:松下教育研究財団教育助成・助成金贈呈式

先日、小松ー羽田間を飛行機で往復していてはじめて「コワイ」と感じた。

風でゆれるのは小松ー羽田便の世の常だが、着陸直前に大きく左右に揺れたのだ。

あれはさすがに緊張した。羽が地面につくかと思った。

いつもは着陸まで熟睡なのに、たまたまちょっと前に目をさましたらあぁいう目にあった。今度からさまさないようにしよう。



さて、先週の金曜日に、東京の芝ホテルで松下教育研究財団教育助成・助成金贈呈式があった。

私は審査員をしているのと、中川塾の特別プロジェクトで大変お世話になっているので、一も二もなく参加させていただいた。

当日は、たくさん知っている顔があった。と同時に、初エントリー、初受賞の方々も多く、それはそれでうれしかった。

当日は、くるま座セッションという初めての試みが行われた。受賞者を校種やテーマでグループに分け、そこに審査に関わった人間がコメンテータとして入った。私は小学校グループで、最後に、「もっと年間の研究内容をしぼること(総花的でゴールが見えない)」「成果だけでなく課題もきっちりと明らかにすること(同じような試みをしようと思う人の参考にならない)」ことの2点を私から指摘した。



特にIT活用の分野では、学校や研究会で何か新しい試みをしようと思ったら、機器やソフト等に予算がかかる。しかし、なかなか学校の予算だけではままならないのが現状だ。このような助成制度は、本当にやる気のある学校や教師をストレートにサポートする意味のあるものだと改めて感じた。



さぁ明日は、中川塾合宿だ。

2006年05月23日

第七十二話:中川塾第3期春合宿

この土日に中川塾第3期春合宿が行われた。しかし、小松空港上空の天候が最悪で財団や師範、3期生の多くが乗った飛行機がなんと羽田に引き返してしまった。

そのため、予定を大幅に変更して1日目を行う。

今回の課題は、「4月〜7月のIT活用における自分のイチ押し実践案(本時を中心に)を提案せよ。その場合、(1)教科等&単元タイトル、(2)単元の概要、(3)本時のねらい・流れ、(4)IT活用の意図、(5)本実践のウリについて述べよ。1000字以内におさめること。なお、上記の条件を満たした実践が複数存在する場合は、自分が一番自信をもって望む予定のものを記述せよ。」というものだ。これを、5分でプレゼンする。

1日目の提案では、特に、「なぜここでIT活用なのか」「ケタが大きすぎて意図がわからない」という指摘を受ける塾生が多かった。これを受けて、2日目に改善案を出す(夜中や早朝に準備しなくてはならない)。しかし、きっちり改善案を出してきたのには、師範、1期生、2期生ともども絶賛。なかなか根性がある。

2日目は、今年の目玉の1つである、師範・1期生・2期生・3期生を縦断したプロジェクトの実施だ。こちらの方の進捗は今後、ご報告する。



羽田に飛行機がひきかえしたにもかかわらず、中川師範@徳島、児玉師範@宮崎においては、次の日の運動会で羽田で引き返す完田さんをつかまえ、羽田空港で指導の後、金沢にかけつけてくれた。なんといって感謝して良いかわからない。また、山本さん@北海道、木村さん@神奈川も1往復半の飛行にもかかわらず、それでも参加してくれた。また、則常さん@松下財団も日帰りにもかかわらず、かけつけようとしてくれた。この状況での学生の対応も臨機応変によくやってくれた。

それぞれの人がそれぞれの立場、やり方でこの中川塾の充実させてくれていることもあらためて感謝したい。

2006年06月01日

第七十三話:New Education Expo 2006

以下のように、今週末New Education Expo 2006が東京で行われる。

プログラムは毎年、充実している。



私は一昨年は大喜利をやり、昨年は情報教育の中川さんに終結してもらい、「中川一族の野望」と題してパネルを行った。



今年度の私の役目は、「教科教育におけるICT活用〜PISA型読解力の対応を考えて〜」というパネルディスカッションのコーディネートだ。ウリは、その直前に、筑波大学附属小学校の子どもたちと先生(国語:白石先生、算数:田中先生)による、公開授業がなんと会場で行われることだ。これを受けてのパネルになる。

打ち合わせが思うようにできず、当日の流れは私にも把握できない(泣)が、井上先生@文部科学省、清水先生@筑波大学をまじえての熱いパネルになると思う。

ぜひ、ご参加を。

イベント詳細は下記URLを。

URL: http://expo.uchida.co.jp/



6月3日(土) 15:50−17:50

◆場所

 東京ファッションタウン

 http://www.tokyo-bigsight.co.jp/tft/

◆セミナーカテゴリ

学校教育の情報化

◆セミナータイトル

【シンポジウム】

教科教育におけるICT活用

〜PISA型読解力の対応を考えて〜

-

◆セミナー内容

国語、算数の授業を受けてのシンポジウムは、「教科教育におけるICT活用」と、

指導要領改訂に向けて注目を集めている「PISA型読解力」についてです。

「PISA型読解力」世界1位のフィンランドはICT活用の先進国でもあり、これらは、

これからの教育を考える際のキーワードになります。

教科教育でのICT活用と学力向上の関係を考察し、PISA型読解力とはどのような

力なのかを解説していただきながら、読解力向上のために踏まえておくことは何

か、どのような単元構想が必要なのかを議論していただきます。

2006年06月06日

第七十四話:JST IT科学技術・理科教育シンポジウム

土曜日のNew Education Expo 2006の役目は無事終了。当日までが大変だったが、知っている顔をあちらこちらにみつけてうれしかった。が、昼前に東京に入り、終了後帰るという日帰り強行組がけっこういたのには驚いた。

しかし、やはり、実際に子どもたちがそろっての公開授業に勝るものはない。2人とも筑波大附属小のベテラン教師。授業設計にしてもICT活用の効果も課題もいろいろと持ち帰るものがあったのはないだろうか。

会場は途中で急遽椅子がだいぶたされたが、それでも立ち見でいっぱいだった。

パネルでは、清水先生@筑波大学の授業分析の視点がとてもてねいで大変参考になった。



今週末は今度は、JST IT科学技術・理科教育シンポジウムー先端的科学技術・理科教育用デジタル教材の開発・提供ーが東京の国際会議場で開催される。

私の役目は、理解増進の普及促進をあずかる主査として、2日目の趣旨説明と実践をからめたパネルのコーディネートだ。1日目(6/9金)がコンテンツの発表やポスターセッション、2日目(6/10土)がその活用に関するワークショップやパネルディスカッションだ。先週のEXPOとは微妙に客層がちがうように思うが、理科や総合で活用できる良質のコンテンツが満載だ。今年は特に小学校を対象にした新しいコンテンツが充実している。

ぜひ参加されてはいかがだろうか。申し込みはこちら。参加者には、展示コンテンツの中から3点を選んでCD-ROMまたはDVDでもらえるサービスがある。


2006年06月13日

第七十五話:魚津市国語研究部会

12日は魚津市国語研究部会講師のため、横浜→羽田→小松→魚津→富山→羽田→横浜という強行軍。金沢と横浜の2台の車もフル稼働。



中川塾2期生の此川さんが公開授業を行った。国語スイミーの4の場面。

「だけど、いつまでもそこにじっとしているわけにはいかないよ」という言葉を発したスイミーの心情に迫る。此川さんはクラスの実態から積極的に発言をさせていきたいと願っていた。子どもたちはよく考え、自分の考えをしっかりと言っていた。私からは「つなげる」という観点での教師の出について熟慮すること、子どものつなげ方のモデルになる子をもっととりあげることについて指摘した。また、話し合いの場の質の向上について、ふれる。

それにしても、スイミーワールドが教室いっぱいに広がっていた。此川さんの国語に対するなみなみならぬ意欲を感じた。



以前から依頼されていた授業の助言。約束が果たせて良かった。本日これからイギリスに出発。

2006年06月19日

第七十六話:Fairway Primary School訪問

先週の火曜日から現地時間の土曜日まで、英国ブライトンにICT活用校の視察に行く。しかし、ブライトンのホテルでは(古くて?)アクセスできず。日本に戻ってからアップすることに。1校目はブライトン市内にあるFairway Primary Schoolを訪問した。



授業では

授業はちょうど3,4年の複式学級の算数のSUDOKUの授業をみた。どうも全校の人数と予算の関係でどこかの学年が少ないとこういう措置をとるらしい。予算の目安は350人で、それ以下だと、今回のような複式などの工夫を学校個々で検討するようだ。複式は上についていく意欲を高める上で良いというのが対応してくれた教頭先生の見解だ。ただ、明らかに今日見た授業では低位の2グループには授業内容がつらそうだったが。学級の人数は17人。4つのグループにわかれており、クラス内で習熟度別になっている。授業はいっしょに進めるが、TAがついていたり、問題がちがったりしている。



黒板とIWBの活用

ICT環境であるが、黒板の上にホワイトボードとIWB(e-黒板)が設置されている(写真参照)。この数年でどんどん従来の黒板からIWBの各教室への導入が進んでいるらしい。PJはあたりまえのように天つりだ。英国では、IWBが教室に入ると、これだけで授業をするパターンが多いらしいが、たまたま見た授業では、担任のMrs.S.Chambers先生は、ホワイトボードに、考え方を示すカードを順番に貼っていき、IWBでは、算数の問題を提示して、そこに子どもたちの発言(回答)を書き込んでいた。どちらかというと、日本的(?)な活用方法だが、これはめずらしいのかな?それにしても、教師の説明(発言)時間がどの授業も長い。この形式だと逆にIWBだけで黒板は必要ないかもしれないと感じた。



メディアに関する教育と国語

メディアに関する教育は国語(English)とLiteracyという科目の中にいくつか盛り込まれており、これをきっちり系統立てて行うのはいわゆる中学のころ(ステージ4)のMedia
Studyという科目で、だ。(日本でこのきっちり系統立てては、本来高等学校の教科情報でやるべきだと思うのだが、教科書の内容、教員の意識、ICT環境の貧弱さなどが原因で、そうはなっていない)

アレンジしてくれたキースさん@ブライトン大学(奥さんはこの学校の音楽の先生らしい)によると、国語の中でデジタルカメラで学校の紹介や絵や写真と組み合わせたデジタル日記を作成しているが、メディアの特性と言語活動の関連づけを考えた授業を行っている教員は残念ながら少ないという。キースさんや同僚のアブリルさんは、もっとたくさんのメディアとふれる機会を小学校学年(ステージ1や2)のうちから作りたいと願っているようだ。



ICT活用指導力とICT環境

5年くらい前からイギリスの学校ではPC導入がさかんに行われている。3年くらい前にNew Opportunity
Skillという全国一斉(財源は宝くじ基金)のICT活用に関する教員研修と認定制度が導入されたが、現在はなくなったようだ。結局、実施内容や徹底度に地域の差が出てきて、有名無実になった。スキルアップそのものを行うのは今も日本でもあるが、これはなかなか定着しないと思う。なぜなら自分の授業カイゼンに直結しないものを教員が本気で受け入れる切実感がないからだ。

日本もイギリスもスキル的な面は外部のテクニカルサポーターを充実させるべきだと思う。ここについても聞いてみた。イギリスは政府が昨年度は各校に9000ポンド、本年度は4000ポンドを配っている。しかし、これらは使用用途が決まっており、昨年度はハードに、今年度はソフトの購入に限られている。つまり、ここからテクニカルサポーターを雇うわけにはいかない。来年度は人につくかどうかはわからないようだが、野中さんによると、学校によっては、校長の力で人や予算をもってきて、テクニカルサポーターを何人もかかえている学校もあるようだ。

予算がたりない学校は活用授業が充実できずに悪循環になっている感じがした。



国語とメディアの関係、ICT指導力教員の問題など、もちろん背景等ちがうことも多いが、抱えている問題は共通点がだいぶあるように感じた。



今回、7人という大所帯での訪問となったが、現地にいる野中さん@和歌山大学には、学校のアレンジからアブリルさんご夫妻とのディナーまで、本当にお世話になった。ありがとう。




2006年06月20日

第七十七話:教育ブログ活用本、ランキング15位!

教育ブログの本が発売になってから約10日。そろそろ反響もかえってきている。

著者陣が充実しているおかげで、6/20付けの明治図書書籍ランキングで15位になっている。アマゾンでも購入可能

編著者代表インタビューはこちら




2006年07月19日

第七十八話:夏の研修等情報

そろそろ夏の研修の予定がつまってきたころかと思う。

以下に、関連の研修等の情報を載せておく。

県外に1つでも出てみてはいかがだろうか?





教育ソリューションフェア2006

7月24日(月)、25日(火)10:30−17:00

情報教育関連は25日(火)13:00〜

「IT教育日常化へのロードマップ」と題して

教室での日常活用、情報モラル、学校全体の取り組みなど

私の役割は全体のナビゲート

申し込みはこちら





松山市第2回情報教育研修会

7月26日(木)13:00−17:00

テクノプラザ愛媛大ホール

テーマ:「つなげ・ひろげよう」愛媛の情報教育−分かる・楽しい授業づくりをめざして−

内容:「校内ネットワークの活用講座」「ICTを活用した授業実践発表」「パネルディスカッション」など





D-project2(デジタル表現研究会)夏の全国会会研究会in北海道

7月29日(土)10:00−16:40

国語、英語、総合のワークショップ等

申し込みはこちら





情報教育セミナー2006

8月1日、2日

日本科学未来舘

主催:学習ソフトウェア情報研究センター

私の役目は、

1日(火)の「ユビキタス社会における学校と携帯電話の関係をさぐる」のコーディネート

西田さん、佐和さん、林さん、水谷さんが登壇

2日(水)の「授業におけるデジタルコンテンツの効果的活用」のコーディネート

佐藤さん、辻さん、岩崎さん、石井さんが登壇

招待券があるので、参加希望者は私まで連絡を





メディア教育セミナー

8月11日(金)10:00−16:35

主催:かごしま県民大学中央センター、鹿児島県マルチメディア教育研究会

場所:かごしま県民交流センター

テーマ:「今,求められるメディア活用術」?学力向上のためのコンピュータ・インターネットの使い方?

私は、パネルディスカッションと総括講演が役目





読解力セミナー2006

8月19日(土)

主催:金沢大学教育学部教育実践総合センター、石川教育工学研究会

場所:石川県野々市町フォルテ

PISA型読解力育成のポイントを6つの実践から明らかにしていく





情報教育ソリューションセミナー2006

8月23日(水)14:00−17:00

エプソン販売(株)東京・新宿

主催:JAPET

4人の教師の大判プリンタやチルドレンライブラリを活用した実践発表

画像活用のワークショップなど

私の役割は基調講演

申し込みはこちら

2006年08月15日

第七十九話:鹿児島県マルチメディア教育フォーラム

11日に、かごしま県民大学中央センターと鹿児島県マルチメディア教育研究会(鹿マ研)主催のフォーラムが行われた。

午前中に、ギャラリーにて教育実践や社会教育活動、高校生や企業のブース発表があり、午後には午前中の発表の中からコンペにより舞台での発表が企業・教師・生徒という3つのジャンルから1組ずつあった。北さんの実践発表はICTの効果的活用のポイントが端的に述べられていて実に良かった。

その後のパネルでは、園屋先生@鹿児島大学の絶妙なコーディネートで私を含めた4人の登壇者(富岡さん@鹿児島市立学習情報センター指導主事、益田さん@入来中学校、泊さん@加治木高校)により、「つけたい力、つけられる力〜コンピュータやネットワークを活用した学力向上の方策を考える〜」というタイトルで行われる。最後に私の講演。特にICTの効果的な活用と日常性についての関連に時間をさいて述べた。

当日は午前、午後で約400名の参加があったようだ。主催した鹿マ研をはじめとする実行委員メンバー(永正委員長お疲れさま!)の企画力と動員力のたまものだと思う。特に、高校生・企業・社会教育関係者、そして教員はじめとした学校教育関係者がいい割合で集まり、同じ土俵にたった(立てた)取り組みは秀逸だった。このやり方は、今後一つのスタンダードとして確立するのではないかと思う。

個人的にも、有村さん@霧島、野村さん@盲学校、渡邊さん、小島さん@宮崎に最後の最後まで大変お世話になった。ありがとう。

2006年09月12日

第八十話:メディア・リテラシー国際研究シンポジウム

だいぶ前の更新から期間があいてしまった。ブログ本では、「更新が大事!」と自分で言っているのに。。ちなみに、ブログ本は9月8日(金)の読売新聞の朝刊で紹介されていた。ありがたい。

さて、関連する秋の研究会・セミナー等の情報第一弾だ。



メディア・リテラシー国際研究シンポジウムが9月24日(日)9:00-17:00(パーティ18:00-20:00)に学習院女子大学やわらぎホールにて行われる。

この取り組みは、2006年日豪交流年の公式イベントとして認定を受けている。

メディア・リテラシーの先進的な取り組みをしている西オーストラリア州の研究者、実践をお招きしての日豪合同セッションだ。私もパネルに登壇することになた。中村敦雄氏、藤森裕治氏、足立幸子氏 奥泉香氏、中村純子氏、入部明子氏など、私以外のメンバーはメディア・リテラシーと国語教育に関する第一線の研究者、実践者ばかりだ。せっかくお声かけいただいたので、精いっぱいがんばろうと思う。

シンポジウムのテーマは「これからのことばの学びには何が必要か」。

バリー・マクマホン氏、ジャン・マクマホン氏、ジュリー・キーン 氏などの講演は大変聞き応えがあると思う。申し込みは以下に。



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◇シンポジウム:2,000円(研究紀要代として)。当日申込も可能ですが、事前に「郵便郵替」についてご協力いただけますと大変に助かります。

◇パーティ  :8,000円。事前申込された方のみ参加できます。

◇シンポジウム+パーティー:10,000円。事前申込された方のみ参加できます。

ご参加の方は「郵便振替」にて、9月19日までに事前参加申込をお願いいたします。

○口座番号「00130-3-666339」

○加入者名「メディア・リテラシー国際研究シンポジウム」

 当日は、「北門」、および「会場」入場時に必要になりますので、「半券」(郵便振替払込請求書兼受領書)をお持ちください。

○シンポジウムについて当日申込で参加される方は、「北門」にて担当者にパンフレットをお示しになるか、その旨お伝え下さい。

2006年11月16日

第八十一話:School Of The Future World Summit

えらくひさしぶりの更新になってしまった。書くことはいっぱいあるのに。。



フィラデルフィアで行われたSchool Of The Future World
Summitに参加した。マイクロソフトと連携してプロジェクト等を行っている政府関係者、NPO、教育委員会、教員等が集まってのサミットだ。今回は48カ国が参加した。日本からは清水先生@NIME以下、7名が参加。私にとっては、客員を勤めているNIMEの主担当プロジェクトであるNEXTの初仕事でもある。メンバーはとてもアクティブで一緒にいて楽しい。

テーマは未来の教室だが、主に、その環境の有効性を含めたビジョンについて、各国の取り組みを講演、パネル、ディスカッションの形でプレゼンする。途中にアクティブなセッション等が仕組まれており、カリキュラムについて、自国以外の人をみつけて討論するなど、だ。我々はインドネシア、マレーシアチームとセッション。

今回、日本チームは、フォーマルな発表はなかったが、エントリーしているNEXTプロジェクトの提案が通ると、私が来年発表することになるようだ。

今回、各国の取り組みで話によく出てくることが「フレキシブルな環境の実現」だ。たとえば、タブレットPCの活用をどのように学習にむすびつけるのか、机などの可動式の教室でどのように効果をあげるか、など。考え方も、ICT環境の話もさることながら、批判的な思考をどのようにつけるか、児童・生徒のモチベーションをどのようにあげるか、コラボレーションが成立するためのプロジェクト学習のあり方などがいみじくもどの国の発表からも聞かれた。School
Of The Futureは、インフラの話から学習環境そのものやカリキュラム、授業方法へ、ということだろうと思う。



滝田さん@マイクロソフトには特にいろいろと世話になった。ホテルも快適だった。



1:3日間のスケジュール。朝から夕方までびっちりだ。

2:MSの教育担当のトップであるLindsay Sparkの基調講演。

3:MSの技術担当Bill Buxtonの未来の黒板に関する講演。

4:講演の後は、必ずQ&Aの時間がとられている。

5:1日目の夜は韓国チームと一献。

6:日本チームは朝から仕事モード。

7:シンガポールの2015年までのビジョン。実に明快だ。




2006年11月19日

第八十二話:たかが校舎されど校舎

そういえば、School Of The Future World Summitの会場になっているところが、フィラデルフィア郊外の高等学校だ。この9月に開校したばかりの高校で、なんと学校名が『School Of The Future』そのもの!

こんな学校名をつけるところがアメリカらしい。



フィラデルフィア教育区では、40年ぶりの学校の開校となった。総工費は約75億円。2003年から開校のための準備がはじまっていた。

マイクロソフトはお金を出している訳ではないが、人的サポート、特にどうやって教員を雇うか、どのような考え方で学校経営を進めるか、望ましい学習環境はどのようなものか等、どんな学校を創るかそものものについてのコンサルタントとして積極的に関わっているようである。特に、この地域に通う予定の生徒達の特性を事前に分析してそれを学校創りに反映させるべく教育委員会や準備委員会に積極的に提言を行ってきたようだ。例えば、モチベーションやリーダーシップがもっと持てるようなカリキュラムの提案や生徒同士が討論できるような教室内の工夫(統べ絵tの教室の机がすぎにセッションでききるように可動式になっている、など)を実現してきている。

この学校はある意味で、マイクロソフトがコンサルタントを行って学校設立のパートナーとして関わる実験的な取り組みである。この試みが成功すれば、他の地域に展開できることを目標としている。

また、マイクロソフトUSの社内で活用している部署ごとのスキルチェックシートを今回教員向けにカスタマイズし、活用しているようだ。このチェックにより、個々の教師の弱点を研修等で個別に補っていくらしい。

教員は一人1台のPCを持っており、校務等では特に紙のテキストでの配付等はない(つまりすべてデジタルデータのやりとり)でまかなっている。もっともこの件(校務の情報化)については、最近日本でも、地域によっては積極的に進められようとしている。

この高校は4学年あり、生徒一人ひとりにも学校からPCが入学と同時に貸与される。一応、卒業に返却のようだが、どうも聞いているとそのまま返却なしということになる可能性が高いようだ(まだ1年生しかいないので、あくまでも可能性の話だが)。ちなみに、一学年は170名。生徒はPCを家にも持って帰るらしく、地域のフリーアクセスポイントがあり、ネットにアクセスすることに関しての家庭での負担はない。

もちろん、校内は無線LAN完備でどこからでもアクセス可になっている。残念ながら、サミット会期中は学校が休みで、授業の様子は見れなかったし、情報担当の教師から直接話が聞けなかったのが残念だが、生徒達はビデオの様子からすると、毎日の授業中で自分のノートPCはよく使っている。



さて、そんな中でも特筆すべきことが2つある。1つは企業が学校創りのコンサルタントとして参加していることだ。日本では、あくまでも学校が主体で、企業がそのほんの一部(たとえば機器の提供)をサポートする例はたくさんある。また、企業が出資して学校を設立する例もある。つまりはこのどちらかに偏ってしまう。学校設立のパートナーとして、ある意味対等な立場で関わる例はほとんどないように思う。今後、企業がお金や機材を出すのではなく、人やノウハウを出しながら、学校経営に関わるという試みがもっと行われてもいいように思う。

もう1つは学習環境として校舎の設計の重要性だ。学校はどんなに設計がすばらしくても、実際に教師と子どもたちが過ごしやすく、学習効果が上がってなんぼのものである。すばらしい学校の環境というハード面にどのようなソフト面(学校の方針はもちろんのこと、カリキュラム、授業方法の工夫、教師の意識・力量、授業に使われるコンテンツなど)が持ち込まれるかで、良くも悪くもなるのは当然のことだ。ただ、学習環境がたとえば教師の意識や子どもたちの行動にに大きな影響を及ぼすことは私の経験からもわかっている。また、これまでのデータで、全米の学校の出席率が63%なのに対し、この学校では93%。試験を受けに来る率は、全米平均70%に対し、この学校では100%だそうだ。

いずれにしても、この数値は、今後の数年間がどうなのかが問われるところではあるが。



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1:普通教室。机はさまざまな形がある。

2:どの教室にも天釣りプロジェクター&インタラクティブボードが完備されている。

3:ランチルーム。円形で実にオシャレ。朝早く来る生徒もいてここで自習等をするようだ。そういえば、壁側の席にはすべてコンセントが1ケ所ごとに完備されている。まるで空港のラウンジのよう。

4:理科室。机はすべて可動式。

5&6:Interractive Learning Centerという図書室兼学習センター。ただ、写真5のように、団欒できる空間が満載。外には森が見え、いつまでもいたくなる。

7:美術室。プロジェクターが3台天釣りになっている。アナログとデジタルがうまく教室空間として融合している。

8:ダブルルームという教室。名前の通り、2つの教室がパーテションで区切られている。英語などでクラスを2つに分けるときに使うらしい。

9:今回サミットの全体会場になったホール。これもこの高校の設備の1つ。

10:普通の教室にはレンジや冷蔵庫もあった。

11:高校の入り口付近。このままランチルームとつながっている。実に開放的だ。

12:廊下の床はご覧の通りのカラフルさ。

13:入り口を外から見たところ。




2006年12月04日

第八十三話:松下教育研究財団の研究助成

財団の研究助成の応募が今年もはじまっている。実践の思いをしっかりもっていたり、研究会活動をしっかりとやっていたりするのに、なかなか機材を含めた活動費が確保できない、という例も少なくないのでは?ぜひ応募してみてはいかがか?全国の実践者とヒューマンネットワークを構築できるのも魅力だ。応募はここから。

2006年12月17日

第八十四話:情報教育マイスター研究会

11月に情報教育マイスター研究会を行った。この会は、バディコミュニケージョンズが事務局となり、私と藤村さん@鳴門教育大、木原さん@大阪市立大を中心に行っている。また、4人の特任マイスターに毎回担当会を決めて模範事例などを示してもらっている。第2回になった今回も企業参加者を含め80名以上の参加となった。

情報教育マイスター研究会は、学校教育での情報化を推進する上でのリーダーを養成するために企画・運営している。しかし、いわゆるICTの授業や校務の活用に関する情報化リーダの養成ではない。機器やシステムの運用などではなく、校内マネージメントや情報教育(ICTだけではない)授業デザインやカリキュラムコーディネートの力量アップを目的としている。

さらに、「産官学民」と、立場の違う人同士が互いに理解し知恵を分かち合う協働の場を広げることを目指して活動している。

はなまるworldライブ報告で、詳細な記事をあげてくれた。

2006年12月31日

第八十五話:吉岡さん先端授業、プロジェクター活用の研究会、そして鹿児島研究会メンバー来研

今回は長いタイトルになってしまった。

12/25は今年度で最後になる「先端科学技術の近未来」の授業。今回は、日本教育新聞の吉岡さんが、「新聞を読む」というテーマで、新聞記事をどのように作っていくのか、どのような着眼点で何を課題としているのかを話してくださった。読者は、紙面を右上から左下に読む傾向があるため、この方向で記事を作成する事。左上をスルーするので、ここに連載などの囲み記事を入れる事など、とても興味深い話をたくさんいただいた。また、この授業から、鹿児島マルチメディア研究会のメンバー6名(プラス赤ちゃん)が中川研究室に来研され、受講された。(この授業の最年少受講年齢を樹立!)

次の日は、石川県のICT活用研究会。総勢11名の実践発表、その後、参加者全員でのパネルディスカッションと休みもそこそこの充実した半日だった。今回のテーマはプロジェクターの日常的活用。アビオの書画カメラ付きのプロジェクターを使っている発表者が多かったので、その実践は、敷居は低いのだが、実に多義にわたった。特に、「知識・理解の補完に動くものをどう写す(書画カメラにはさむ)か」という発表では、大変盛り上がった。私からは、まとめとして、スタンダードとエクストラの活用をきっちり意識して分ける事が校内での普及には必要不可欠である事などを話した。

この研究会の様子は、日本教育新聞で掲載の予定。また、プロジェクター活用の実践は、日本アビオニクスとの共同研究のサイトに掲載予定。掲載されたら、またご報告する。



写真:上段は吉岡さんの授業風景。下段はプロジェクター活用の研究会の様子。




2007年01月01日

第八十六話:再スタート

新しい年が明けた。

今年はどんな年になるのだろうか?

私にとって一番大きな出来事は、7年間暮らした金沢を3月で離れることであろう。

研究者になってこの7年間、走り続けてきた。

D-projectをはじめ、数々のプロジェクトをたちあげてきた。そのプロジェクトは今も続いているものも多い。

しかし、なんといっても、私を研究者として育ててくれたのは、水越敏行先生、吉田貞介先生、そして黒上さんが築いた石川のメディア研究の風土であり、岡部先生、村井先生@金沢星稜大学をはじめとする石川の実践者のメンバーだ。学校に入り実践研究をともに進める、研究会で平日の夜遅くに集まって実践を中心に議論する、、そんな日常の1つ1つが、私自身を少しずつではあるが、成長させてくれた。石川に来て、本当に良かったと思う。そしてこれからも、石川の実践メンバーと一緒に切磋琢磨していきたい。

7年ぶりに、関東に戻る事になった。まさに再スタートだ。新しい職場でも一生懸命がんばりたいと思う。

2007年01月02日

第八十七話:普通教室でのICT活用、なぜ日常化しないか(前編)

 ある会の原稿として、以下の内容の寄稿をした。2回に分けて全文をご紹介する。



 パソコンやプロジェクター、そしてプリンタ、デジタルカメラなどのICT機器は、たしかに子どもたちが調べてまとめて伝えるための道具としてさまざまな場面で効果的だ。しかし、普段使ってなかったり、ICT機器に慣れてなかったりする教師が、校内に機器があるというだけで授業に活用するようになるのだろうか?わざわざICT機器を教室に運んでくるのだろうか?日常的な活用は「効果」と「透明性」の両面から進める必要がある。



 あまりICT機器になじみのない教師にとっては、『使ってみましょう』と言われても「どうしてわざわざ機器を使う必要があるのだろう」と思うものだ。しかし、日ごろ活用している教師を見ていると、機器の特徴をうまくいかしている。うまく活用するポイントは、効果を具体的に校内の教師に示す事だ。ここでは、前編で「効果の追究」として4観点を、後編として「透明性の追究」として4観点を述べる。



効果の追究1:大きいことは、いいことだ

 これは拡大提示することによって、焦点化や共有化がはかれる、ということだ。例えば、算数の授業において、プロジェクターに投影し、はかりの目盛りの一部を大きくすることによって、一点に集中する。

 教科書をそれぞれ見ていると、それだけで時間がかかる。「本当は他のことに時間を費やしたいのに」というときに、「ここを見て」ということで、つぎに進めることはよくある。もちろん、拡大提示はデジタルに限ったことではない。大判プリンタを使ったり、模造紙に書き込むことでも大きくすることは可能だ。この場合、コストや手間はかかるが、授業終了後に、教室掲示ができる利点がある。また、グループで書き込みをいれたり、コメントを貼ったりするときにも、紙は便利だ。



効果の追究2:動く事は、いいことだ

 動くことで言うなら、デジタルは得意だ。例えば、書き順。教書で1つ1つ増えていくよりも、デジタルコンテンツをなぞっていった方がわかりやすいに決まっている。教室にパソコンが設置してあるならそれこそ、子どもたちは楽しみながら休み時間に覚えてしまうのではないか。また、あさがおの夜の様子を短く編集して見せたり、分子の動きを見せたりと、普段体験することのできない世界を提示するなどの活用場面が考えられる。動くことで、知識・理解の補完になるのだ。

 また、作り方や完成のイメージをつかむ例もある。

 最近の図画工作科の教科書は、子どもたちの発想を刺激するような作りとなっていて、あまり作り方などが詳しく説明されていないし、説明されていたとしても図示である。そこで、教師が実物を事前に作成し、動かしながら提示するのであるが、繰り返したりいくつもの完成品を示したりすることはできにくい。しかし、教科書デジタル化教材を活用することで、アニメーションで作る過程を繰り返し見たり、いくつもの完成品を見て自分の作品のイメージ広げたりすることが可能となる。



効果の追究3:意図を把握するのは、いいことだ

 たとえば、デジタルコンテンツを活用するする場合にもその意図があるはずだ。それは以下の4つに集約されるだろう。

○知識・理解の補完・定着

 ・なかなか体験できないことを疑似体験する

 ・くりかえし練習する

○イメージや意欲の拡充

 ・見ることで想像力を刺激する

 ・実際の体験の意欲を促す

○学び方の補完

 ・うまくいくポイントをつかみやすい

 ・実験の手順がわかる

○課題や疑問への発展

 ・見ることでさまざまな疑問がわいてくる

 ・学習課題に収束するようなきっかけになる

 この4つのどれにもあまりヒットしないのであれば、それは使わない方が絶対に良い、ということになる。



効果の追究4:選択・組み合わせを検討するのは、いいことだ

 ただし、 仮にヒットしたとしても、 知識の表面的な補完のみに終わらないようにすることが大切だ。授業場面1つとっても、「これが今日の授業の答えです」 と言わんばかりに水戸黄門の印籠みたいにしたり、45分の授業中ずっとデジタルコンテンツを使い続けたりしていると、いつのまにか子どもたちは 「わかったつもり」 になってしまうだろう。

 例えば、理科の「人のからだのつくりと働き」では、電子情報ボードで相談をしながら情報を集める子どもたちの傍らで、人体模型を見ながらからだのつくりを確認する子どもたちがいるという光景も見られるというようなことも起こった。このように自分から情報に働きかけることで,調べる力がついたり,思考が深まったりする。

 うまく活用していく鍵は 「デジタルとアナログの選択・組み合わせ」 にあると思う。 実際のインタビューや実験などにうまく展開できるような、「わかる」「できる」
にうまく効くようなデジタルとアナログの行きつ戻りつがどのように授業デザインできるかがポイントだ。また、プロジェクターや電子情報ボードで拡大提示する場合も、板書との組み合わせをどのようにするのかが重要だ。すぐに消えてしまうデジタルの画像も焦点化するのには適している。しかし、45分間観点を整理しておくには板書が適している。このように、どちらが良いかではなく、バランスの問題なのだ。

 いかに普段の授業で子どもたちに実感をもたせられるか、 問題意識や追究意欲を高められるか、という授業デザインの問題なのである。




2007年02月02日

第八十八話:はじめて書きました

2007年02月04日

第八十九話:普通教室でのICT活用、なぜ日常化しないか(後編)

 ICT活用の日常化を考える上で、活用効果を追究することは、当然ながら重要なことである。しかし、一方で、準備に手間がかっかたり使いにくい状況であると、日常的な活用にはつながらない。抵抗感を感じるような意識がなくなるようにすること(透明性)が重要である。特に情報担当リーダを中心に校内のICT環境整備などを考慮しないといけない。



透明性の追究1:手軽さ

 手間をかけないちょっとした工夫のおすすめも必要だ。例えば、最近のプロジェクターは性能が良くなっているので、三脚のついたスクリーンを使う場所まで運ばなくても、壁があれば十分にそのままうつせる。黒板に写したっていい。「スクリーンも準備しなければならない」と思ったとたんに敬遠する教師もいる。
デジタルカメラだって、撮った画像をパソコンに入れなくても、テレビにはすぐ映せる。こういうことも知らないで、「パソコンにとりこまなくちゃならないなら使いたくない」と思い込んでいる教師もいるかもしれない。また、大きくすることの効果はデジタルだけではない。紙で大きくできるのであれば、掲示したり書き込んだりできるので、大判プリンタがあるのなら、これも活用したい。



透明性の追究2:いつも使える状態

 たしかに、効果的ではあるICT機器も、準備等に大変な負荷がかかるなど、使いにくい環境にあっては何にもならない。たとえば、デジタルカメラはいつも使えるように充電されているだろうか。使い終わったクラスが充電するような、あるいは、使い終わった電池入れがあって後で担当が充電しておくような「システム」が確立していればすむことだ。また、各階に1台しかないプロジェクターはいちいちケーブルをつなぐのが面倒だという教師も少なくない。だったら、カートにひとまとりにしておいて、DVDデッキなどとつないだままにしておく。これだと、教室にひっぱってくるだけで、電源を入れるとすぐに使える。また、高学年だと、このような準備を係の子どもにしてもらうことも良いかもしれない。



透明性の追究3:軽重

 学校によっては、よく使っている教師とあまり使っていない教師の差が明らかになってくることも少なくない。このような時に、わざと使っていない学年や学級のところに、数が限られている機器(プロジェクターなど)を常備させ、活用の活性化を促している学校がある。一方、限られている機器だからこそ、使っているところに常備させ、校内研究会や保護者会で状況を公開している学校もある。いずれのやり方が適しているかは、その学校の実情にもよるので、一概には言えないが、いずれにしても台数などが限られている場合は、より活性化するための工夫が必要であることは確かだ。



透明性の追究4:慣れ

 どこに置いてあるかが重要である一方で当然のことながら、ICT機器等と子どもたちをどのようにかかわらせるのかというのは大きなポイントだ。例えば、電話やFAX。改築したある学校では職員室ではなく図書室にFAXが置いてある。使うときの敷居の低さという点ではこの効果ははかりしれない。しかしながら、まだ普通の学校ではFAXは職員室にあるだろう。置き場所は職員室でも、「どのように子どもたちとかかわらせるか」でだいぶ状況は変わってくる。また、子どもたちの使う頻度が増すと、故障する可能性も高くなる。しかし、使い方の指導は大切だがこれを言いすぎると、担任の教師は使わせにくくなる。「壊したら直せばいい」くらいの構えでいたいものだ。



 いろいろと述べてきたが、情報担当リーダの役割は重い。具体的な授業場面で子どもたちの姿で効果を示す事は何よりも大事なことだし、日頃、使う安くしていくのもリーダの采配がものをいうことが多い。最後に述べた「慣れ」にしても、使いはじめのバイアスはいつしかとれて、どんどん効果が見えてくる事がある。活用の効果はともかく、ここまで使わせる辛抱が情報担当リーダには必要になってくる。

 また、パソコン等のICT機器はできるだけ身近にあることが望ましい。 十分なコンピュータの台数がある学校はほとんど皆無だろう。それでも、 校内にあるコンピュータの一部を空きスペースや廊下などに配置し、わざわざコンピュータルームまで行かなくても子どもたちが 「ちょっと使える」 環境を保証している学校がある。 調べ活動などでは、
何も全員がコンピュータを使う場面だけではない。 使いたい子だけが使えれば良い。教科に関連するデジタル化教材もこのような身近な環境で活用するのがベターだと考える。

2007年02月16日

第九十話:パース1日目ーOcean Reef Snior High Schoolー

今週は、シンガポールを経て、パース(西オーストラリア州)に、メディアリテラシーの実践校の視察と、今後の自分の研究の資料集めに来ている。

9月に知り合ったJanさんにコーディネートしてもらい、一番ホットな学校をめぐる1週間だ。今日はまず、その第一弾で、公立の中高等学校を訪問した。



【学校規模】

90名の教師。1350名の生徒。ただ、敷地が広いので、そんなにたくさんいるような感じはしない。チャイム(?)が日本でいうと、防災訓練のサイレン。ちょっとはじめはびっくりする。



【科目】

必須は国語などほんの少しで、ほとんどの科目は選択授業だ。われわれが見せてもらったメディアスタディ(ICT活用に限らず、メディアリテラシーの授業を行う科目)も選択科目の1つだ。選択科目は25名が定員。



【Media Studyの授業】

22名が受講。Year12(高校2年生)。

まずは撮影の基本を学ぶ授業だった。撮影の基本とは、フレームをどうするか、一人だけが映っているときは肩から上を映すなどのきまりを、古典的な映画の映像を見せながら学習。

選択でYear8からメディアスタディを選択している生徒がほとんどであるが、はじめての生徒や学習内容を忘れている生徒が多いため、改めて基本から学習することにしたと言う。

この授業では、「メディアとは何か」「チームワーク」「メディアで使われる言葉」などを参加する(生徒自ら撮影してみる)ことで学ぶ。例えば、広告を見るだけでなく、「どうやって作られているか」「どんな道具を使っているのか」「どういうふうに影響を与えるのか」などについては、作らないとわからないという。このへんは、私も同感。読み取るだけではダメだと思う。

生徒は教師の説明を聞いた後、グループに分かれ、ビデオカメラを持って校内で撮影をした。教師は授業終了20分前に戻ってくるように伝達。普段の撮影時は撮影の様子を見て回る。撮影に対してアドバイスをする。

教室に戻ってきた生徒の作品を見て、教師はシートにコメント、及び評価をすぐに書く。その場で書いてあることが大事だと言っていた。

設備が整っていない中でどのように工夫するかということにビンセント先生は尽力している。公立でも設備な整っていなくても、ここまでできるということを示したいのだと思われる。



板書には、以下のように書いてあった。

Back to Basic Task(基本に立ち戻ろう)

FOCUS(注目点)

-common skils(ズーム禁止などの共通の技術)

-smooth transition(滑らかに移動)

-group organization(チームワーク)

-working with time constration(時間制約)

-media etiquette(メディアエチケット)



オーストラリア学校事情予備知識1

【学校種や年度】

西オーストラリアの学校は、7-3-2制である。

5才から入学、17才で高校最終学年になる。日本と比べると、1年早く入学し、1年早く高校を卒業することになる。

中学校1年生はYear8、高校最終学年はYear12。

オーストラリアは1月下旬〜2月上旬が新年度。

Year10までは義務教育。Year11からは仕事がある生徒は卒業できる。








2007年02月18日

第九十一話:パース訪問2日目ーMt Lawley Senior High Schoolー

今回のパース訪問では、2つの小学校、5つの中高等学校、1つの幼稚園から高等学校までの一貫校、1つの大学、1つの映画協会、そして2つの書店をまわる。タイトだが、JanとJulieが少しでも多くの関係箇所を訪問できるようにアレンジしてくれた結果だ。



訪問の2日目からMt Lawley Senior High Schoolを紹介する。ここも公立の中高等学校だが、どうやら1日目のOcean Reef Senior High Schoolよりは、予算のある地域のようだ。

1956年創立で音楽、語学をウリにしている学校だ。オーストラリアの場合は、何をウリにしているかと、特に中高等学校の場合は、強調する傾向にある。政府からたくさんの援助をもらっていて、40億で最近、新校舎が再建された。Year8/9(いわゆる中学校)と
Year10-12(いわゆる高等学校)は建物が分かれていて、中央に共有スペースがある。Year8/9とYear10-12では、大きく指導方針がちがうようだ。きちんと生活指導等に重点を置くために、Year8/9、ではチームワークで指導にあたっている。これに対し、Year10-12になると、興味関心がそれぞれでてくるので、教師はそれぞれに対応する授業方針を持っている。ちなみに、Year8/9のメディアの教科名は、そのものずばり「Media」。Year10-12では、これを「Media
Production and Analysis」とよぶ。行う内容もうかがい知れる。そういえば、Year10-12の必修は国語だけだそうだ。

なお、2年間で両方の教員が入れ替わり、中学校部分と高等学校部分をすべての教員が経験する。

Media Production and Analysisは、他の学校等同様に、選択授業の1つなので、この授業を選択している生徒は、メディア制作などがとても好きであるか、またはこの種類の上級学校に進学を予定しているものがほぼ選択してくるようだ。

TEEという高校卒業試験があり、昨年からここに高校のメディアの授業の学習成果を成績に考慮してくれるになったという。



この選択方式はとても良いと思う。興味のある生徒は徹底的にこの分野を選択できる。以下にも示すように、メディアの授業では、作ってみて考えるパターンが多い。これがとても重要であると思う。日本の教科情報もこのようなシステムになっているはずだが、なかなか時間をかけて制作する授業は多くないように思う。もっとも、日本の場合は必須であるが。

オーストラリアでは、中高等学校の場合、国語で約1/4にViewingが入っていて、制作まではいかないまでも、日本でいうメディアリテラシーの部分をここで学ぶことができる。ただ、どの程度までやりきっているかは、残念ながら学校(教師)によるようだ。



Year11の授業

授業内容はポップカルチャー研究。自分たちの好きな音楽や映像を鑑賞し、その後制作に入るようだ。ここでは、Googleを使用 していた。日本のOrangeRangeをピックアプしている生徒もいて、日本のグループもなかなかの人気らしい。

メディア担当のビル先生は、生徒が何か困ったことがあったらアドバイスをするというやり方を徹底している。ちなみに、ここで使われているメディアの教科書の筆者は、なんと今回お世話になっているJanとJulieだ!(写真右上)

毎回の授業で必ずラーニングジャーナルという活動記録兼評価表を提出させ、それで教師の評価している。

ホワイトボードに全て学年の生徒の指示が記入されている。

ちなみに、この学校でも使われているPCはMacだった。



西オーストラリア予備知識2

TAFEというMedia,Healthなど職業の専門学校などの試験がある。筆記試験はなく、面接とラーニングジャーナルやいままで作ったCG等のポートフォリオを提出すればよいそうだ。

ちなみに、オーストラリアの場合、大学進学は15%位である。




2007年02月19日

第九十二話:Mt Lawley Senior High Schoolの校舎

今回は、第九十一話のMt Lawley Senior High Schoolを紹介する。

増築に学校1つ分の予算をかけるだけあっていろいろと設備が充実している。

国語以外のすべての教科が円滑に行われるような選択科目用の専用の部屋が用意されている。これを見ると、学習効果を生むのは、人(教師等)であることはもちろんだが、学習環境もとても大きな要因であると考えさせられる。特に、きれいな学校は生徒の使い方もちがうように感じた。




2007年02月20日

第九十三話:Churchlands Primary School

パース5日目の訪問校3校のうちから、Churchlands Primary Schoolをご紹介する。今回の訪問ではじめて国語の中でのメディアを位置づけた授業を見ることができた。



国語の担当は、Jennifer Kennedy先生。アワードもとったことのあるベテラン教師だ。クラスは30人であるが、Year6とYear7の混成クラスだ。Year6の人数が少ないためにとなりのクラスの同様の日本でいうところの複式になっている。

学年では割っているが、個々のレベルにあわせて、複数の課題を提示することが多いという。しかし、参観した授業については、同じテーマで行っていた。

必須である国語は毎日2コマ(1コマは原則40分)あるようだ。

参観した授業は、国語のViewingの授業。この小学校でも、国語の1/4の時間をかけてViewingを行っている。ちなみに、残りの3/4は、日本での国語に領域としては似ている。

授業のはじめに、記事の読み合わせを行ったようだ(残念ながら、間に合わなかったので、Jennifer Kennedy先生が説明してくださった)。

ドイツの女性がパラグライダー中に積乱雲(上昇気流)に巻き込まれ、上空まで上がってしまい、凍えてしまったが、無事生還できたという話の新聞記事を見せ、

「なぜこのような写真を使っているのか」「なぜこのような見出しなのか」などについて分析させた。

この手のことはどうやらショートスパンでViewingの時間に行っている。Viewingでは、毎回の積み重ねと、次に示す大(中)単元をうまく組み合わせているように思えた。

次に、1枚の写真(土曜日の地域新聞に載った写真:シアトル警察の警官が、路地で黒人の子どもに話しかけている場面)を配布して、この一枚の写真から想像したことをまず書き出させた。その後、3人グループで話の構成を練らせる作業に入った。構成を考えるにあたって、グループに1枚「ストーリーボード」とよばれる6−9カット分がかけるワークシートを配布。一人一人異なった想像の書き出しから話し合いで1つにまとめることに。まさにD-projectでいうところの「建設的妥協点」を見いだしながらの活動となる。このような協調性を育む活動をJennifer
Kennedy先生はとても大事にしているようだ。もっとも、なかなか時間がなくて、共同作業は大変のようだが。

最終的には、これをムービーに仕上げる。ただ、先に示した写真を6シーンのうちのどこかに入れるように教師が再度が確認。

内容からいくと、バイオレンス的な内容に流されがちな子どもたちだったが、「女の私が夫といっしょに行って楽しめるような内容にしてちょうだい」と、なかなか高度(?)な注文を子どもたちにつけていた。



このように、映像と言葉を何度も行き来させるような活動は、日本でも国語の学習内容として各学年で随所に扱っている教科書もある。ただ、系統的に組み入れられているとは言いがたく、つながりがまったく見えない場合が多い。しかし、現実には(日本の国語でも)このような内容が多く入ってきているわけなので、スパイラルにレベルアップしていく見通しを教科書や指導書で示す必要があると思う。

オーストラリアのように、国語の領域にViewingが位置づけられ、「話す・聞く」「書く」「読む」との関係を明確に示してあることが理想だとあらためて思った。




2007年02月21日

第九十四話:普段着のIT活用セミナー

平成19年3月21日(祝・水)13:00〜17:00に東京の内田洋行 東京ショールーム地下1階で表記のセミナーを開催する。西田実行委員長@柏以下、関東の実行委員メンバーががんばって計画をたてている。対象はICT活用初心者だが、校内の同僚にどのようにすすめていったら良いか悩んでいる人にもおすすめだ。



紹介文を載せておく。

「パソコンで授業をやると効果があるの?」「学校にプロジェクターがあるんだけど面倒じゃないの?」 こう思われたことはありませんか?また、このように校内で言われたことはありませんか?

本セミナーでは、普段着のICT活用のヒントがいっぱいもらえます。模擬授業をはじめ参加型のワークショップ、日ごろの悩みを解決するよろず相談コーナーなど、内容充実の半日です。また、アイディア満載のカンタン活用シートなどのおみやげもあります。

ぜひ、勢いでお越し下さい!



IT活用セミナー2007春「これならできる!普段着の活用」の申し込みはこちら。今日から!

2007年05月25日

まもなく再開

異動もあってしばらく開店休業でしたが、サイトもリニューアルし、まもなく再開します。

2009年08月20日

50

明日8月21日で、とうとう50歳を迎える。
考えてみると、10年前、40歳を前にしてまだ研究者にすらなっていなかった。ちょうど横浜市教育委員会で夏期研修の佳境で、準備や司会・講師で走り回っていた。それから10年。研究者に転身したばかりか、その後3つの組織を渡り歩くとは思ってもいなかった。しかし、とてもめまぐるしく充実した時間だったと思う。やりがいのあるプロジェクトや研究にも関わることができた。すごい人にもたくさん出会った。自分のやりたいことをやれてきた10年間だったと思う。それもこれもたくさんの方々との出会いと支えがあってこそ、だ。一番の財産だと思う。
これから10年。60になったときに、どうふりかえっているかな?

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